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	<title>FOOCOM.NET &#187; リアル消費者道</title>
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	<description>科学的根拠に基づく食情報を提供する消費者団体</description>
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		<title>黄色い食品どうなる？未審査添加物リボフラビン問題</title>
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		<pubDate>Thu, 02 Feb 2012 16:49:06 +0000</pubDate>
		<dc:creator>森田 満樹</dc:creator>
				<category><![CDATA[リアル消費者道]]></category>

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		<description><![CDATA[　リボフラビン（ビタミンB2）は医薬品原料として知られていますが、食品の世界では食品添加物の着色料、栄養強化剤として広く使われています。たとえば、スポーツ飲料の蛍光色の強い黄色はリボフラビンの色。スポンジケーキやドーナツ、天ぷらなどのほんのりした明るい黄色を演出する場合などにも用いられます。ケーキや天ぷらが白かったらおいしくなさそう…。着色料として食品の嗜好に関わる大切な役割を果たしています。 　さて、このリボフラビンに現在、黄信号がともっています。厚生労働省は2011年12月22日、BASFジャパン社の食品添加物リボフラビンについて、必要な安全性審査を経ていないことから、安全性審査が終了するまでの間、輸入、販売を禁止しました。リボフラビンの市場を世界的にみると、BASF社を含む数社しか製造をしておらず、寡占状況となっています。昨年末の厚労省の対応を受けて、国内ではリボフラビンが入手しづらい状況が続いているのです。 　なぜ、今回の問題は起きたのでしょうか。BASF社のリボフラビンは、製造工程で生産効率を高めるために、遺伝子組換え微生物を用いていました。遺伝子組換えといってもこの場合、「組換えDNA技術によって最終的に宿主に導入されたDNAが、当該微生物と分類学上の同一の種に属する微生物のDNAのみである場合」（いわゆるセルフ・クローニング）に該当します。この同一の種、というところがミソです。国際的にみると、遺伝子組換えと定義されるのは、異種の遺伝子が導入されている場合です。CODEX委員会のガイドラインでも、セルフ・クローニングを遺伝子組換えの対象とはしていません。 　ちょっと古い話ですが、食品安全委員会ができて間もない2003年から2004年にかけて、セルフ・クローニングを遺伝子組換えとして取り扱うかどうか、大いにもめました。結局、2004年3月に定めた「遺伝子組換え微生物を利用して製造された添加物の安全性評価基準」では、セルフ・クローニングのように導入されたDNAが同一の種に属する場合、遺伝子組換え評価の対象としないことになりました。 　だったら、審査なんていらないのでは？と思われるかもしれません。しかし、日本においては、「遺伝子組換え評価の対象としない」ための手続きが必要なのです。つまり手続きは2種類あって、セルフ・クローニング等に該当する遺伝子組換え微生物は「遺伝子組換え評価の対象としない」簡易バージョンの安全性審査の手続きだけ、異種のDNAが導入されたものは遺伝子組換え評価のフルバージョンの安全性審査となります。前者の場合は高度精製であることが確認されるといった一定の要件を満たしていれば、迅速な審査が可能です。 　この手続きは日本独自のものです。国際的にはセルフクローニング等の遺伝子組換え微生物は、遺伝子組換えに該当しないので法的な手続きは必要としません。このため、日本で遺伝子組換え微生物を用いている可能性のある添加物を輸入・販売する事業者は、製造方法を製造者に確認するといった管理が求められます。もし用いている場合はデータを揃えて、法的な手続きをしなくてはなりません。 　同様の事例は既に起きていました。2011年12月5日、厚労省は韓国CJ社が製造した「5’-グアニル酸ナトリウム」などのうまみ調味料について、食品衛生法に基づく安全性審査を経ていなかったとして、輸入、販売のストップを命じています。厚労省は同日、食品安全委員会に諮問を行って手続きを開始、食品安全委員会の遺伝子組換え食品等専門調査会は2011年12月16日、2012年1月13日と2回、超特急で審議を行って安全性評価書案をまとめました。現在パブリックコメントを求めているところです（2012年2月17日まで）。 　厚労省ではこの件を受けて同様の事例がないかどうか、昨年12月から今年1月にかけて各検疫所、各都道府県等に調査を命じました。そして、今回のリボフラビンの一件が明らかになって発表されたというわけです。厚生労働省は、2012年1月6日にBASF社リボフラビンの食品健康影響評価について食品安全委員会に諮問しました。その後開催された1月13日の遺伝子組換え食品等専門調査会で提出されて、現在継続審議となっています。BASF社のリボフラビンの輸入、販売が解禁されるのはもう少し時間がかかりそう、リボフラビンが足りない状況は続きそうです。 　さて、この問題をさらにややこしくしているのが、厚生労働省の対応のわかりにくさです。BASF社のリボフラビンの安全性については、厚生労働省の12月22日のプレスリリースで「すでに国外を含め広く使用されている中で安全上問題となる情報は確認されていません」としています。しかし、安全性にいくら問題がなくても、食品衛生法上、審査の手続きが未了なものを流通させるわけにはいきません。そこで、BASF社に対しては手続きが終了するまで、輸入、販売を取りやめるよう指示しましたが、この着色料を用いた加工食品については、回収等の指示はありませんでした。 　これとよく似た一件が2002年に起きた、フェロシアン化物の問題です。食塩に含まれる食品添加物「フェロシアン化物」は安全性に問題が無いものの、日本における手続きが未了でした。厚労省は市場を混乱させることがないよう、直ちに手続きを開始し、自主回収などは行われませんでした。こちらは遺伝子組換えとは関係ありませんが、例外的な措置が講じられたという意味では同様です。 　一方、リボフラビンとともに未審査であることが12月22日に発表された、製パン改良剤キシラナーゼについては、それを用いた加工食品まで全て回収となっています。この差はいったい何なのでしょう。このことについて、1月19日に厚生労働省が開催した「輸入食品の安全性確保に関する意見交換会」で、厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課輸入食品安全対策室の道野　英司室長は次のように説明しています。 　「簡単に申しますと、食品安全委員会の安全性審査については２種類あって、非常に簡易なものとフルのものとある。簡易なものに関してはナチュラルオカレンスとか、セルフクローニングだとか、高度濃縮とか、一定の要件を満たしているものは割と迅速な審査が可能。そういったものであるということの見通しがあるもの（編集部注：リボフラビンなど）については、迅速に安全性審査をやってもらって対処するということにしているのですけれども、それがやはり、データの不足等々で見込めないもの（編集部注：キシラナーゼ）については、食品衛生法違反という違法状態を長期化させないという観点もございまして、関係食品の回収というような対応に至っているわけです」 　そういう整理のしかたなのか。この説明を聞いてわかりました。流通量の多寡や影響力の大きさで決めていたわけではなかったのです。しかし、プレスリリースだけでは、そこまで読み取ることはできません。 　それでは、BASF社のリボフラビンを用いた加工食品、スポーツ飲料やケーキが、これまでどおり販売されているのでしょうか。事業者によって、判断は異なるようです。厚生労働省の対応は、解釈が分かれるようです。たとえば地方のある検疫所では、この問題について「添加物及びそれらを含む食品」と捉えて、輸入者に調査を行っているといいます。また、ある保健所の人に話を聞いたところ「違反のものを含む食品が流通するのは、食品衛生法上おかしいのではないか」と言う声もきかれました。混乱するのは無理からぬことかもしれません。 　そういえば、今回の問題をめぐる報道は、フルバージョンの審査が必要な「遺伝子組換え微生物を用いて製造したもので、遺伝子組換えの評価が必要な食品添加物」と、簡易バージョンの審査で済む「遺伝子組換え微生物を用いて製造したもので、遺伝子組換えの評価が必要ではない食品添加物」の違いについて、明確に伝えているところはありませんでした。このため「安全性に問題がある遺伝子組換え添加物が出回っている」として、間違って伝わっているようなのです。 　一般に遺伝子組換えというと、トウモロコシや大豆といった農作物を思い浮かべがちですが、遺伝子組換え微生物によって医薬品や工業品を製造する技術も飛躍的に進んでいます。遺伝子組換え農作物のリスクコミュニケーションは行われてきましたが、遺伝子組換え微生物の理解は、なかなか進んでいなかったのではないでしょうか。日本独自の法的手続きが決まったときから、近い将来必ず問題になるだろうとも言われ続けていたのにもかかわらず…。 　これから先は事業者による管理の徹底とともに、国による情報提供と十分な説明、ステークホルダーの情報共有が求められています。消費者がよく事情がわからないうちに、黄色いケーキが白いケーキになってしまうような、無用な混乱を避けてもらいたいのです。（森田満樹） *2月3日に一部内容を修正しました。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>　リボフラビン（ビタミンB2）は医薬品原料として知られていますが、食品の世界では食品添加物の着色料、栄養強化剤として広く使われています。たとえば、スポーツ飲料の蛍光色の強い黄色はリボフラビンの色。スポンジケーキやドーナツ、天ぷらなどのほんのりした明るい黄色を演出する場合などにも用いられます。ケーキや天ぷらが白かったらおいしくなさそう…。着色料として食品の嗜好に関わる大切な役割を果たしています。</p>
<p>　さて、このリボフラビンに現在、黄信号がともっています。<a href="http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001yz82.html">厚生労働省は2011年12月22日</a>、BASFジャパン社の食品添加物リボフラビンについて、必要な安全性審査を経ていないことから、安全性審査が終了するまでの間、輸入、販売を禁止しました。リボフラビンの市場を世界的にみると、BASF社を含む数社しか製造をしておらず、寡占状況となっています。昨年末の厚労省の対応を受けて、国内ではリボフラビンが入手しづらい状況が続いているのです。</p>
<p>　なぜ、今回の問題は起きたのでしょうか。BASF社のリボフラビンは、製造工程で生産効率を高めるために、遺伝子組換え微生物を用いていました。遺伝子組換えといってもこの場合、「組換えDNA技術によって最終的に宿主に導入されたDNAが、当該微生物と分類学上の同一の種に属する微生物のDNAのみである場合」（いわゆるセルフ・クローニング）に該当します。この同一の種、というところがミソです。国際的にみると、遺伝子組換えと定義されるのは、異種の遺伝子が導入されている場合です。CODEX委員会のガイドラインでも、セルフ・クローニングを遺伝子組換えの対象とはしていません。</p>
<p>　ちょっと古い話ですが、食品安全委員会ができて間もない2003年から2004年にかけて、セルフ・クローニングを遺伝子組換えとして取り扱うかどうか、大いにもめました。結局、2004年3月に定めた「<a href="http://www.fsc.go.jp/senmon/idensi/gm_tenkabutukijun.pdf">遺伝子組換え微生物を利用して製造された添加物の安全性評価基準</a>」では、セルフ・クローニングのように導入されたDNAが同一の種に属する場合、遺伝子組換え評価の対象としないことになりました。</p>
<p>　だったら、審査なんていらないのでは？と思われるかもしれません。しかし、日本においては、「遺伝子組換え評価の対象としない」ための手続きが必要なのです。つまり手続きは2種類あって、セルフ・クローニング等に該当する遺伝子組換え微生物は「遺伝子組換え評価の対象としない」簡易バージョンの安全性審査の手続きだけ、異種のDNAが導入されたものは遺伝子組換え評価のフルバージョンの安全性審査となります。前者の場合は高度精製であることが確認されるといった一定の要件を満たしていれば、迅速な審査が可能です。</p>
<p>　この手続きは日本独自のものです。国際的にはセルフクローニング等の遺伝子組換え微生物は、遺伝子組換えに該当しないので法的な手続きは必要としません。このため、日本で遺伝子組換え微生物を用いている可能性のある添加物を輸入・販売する事業者は、製造方法を製造者に確認するといった管理が求められます。もし用いている場合はデータを揃えて、法的な手続きをしなくてはなりません。</p>
<p>　同様の事例は既に起きていました。<a href="http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001wzcp.html">2011年12月5日</a>、厚労省は韓国CJ社が製造した「5’-グアニル酸ナトリウム」などのうまみ調味料について、食品衛生法に基づく安全性審査を経ていなかったとして、輸入、販売のストップを命じています。厚労省は同日、食品安全委員会に諮問を行って手続きを開始、食品安全委員会の遺伝子組換え食品等専門調査会は<a href="http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20111216id1">2011年12月16日</a>、<a href="http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20120113id1">2012年1月13日</a>と2回、超特急で審議を行って安全性評価書案をまとめました。現在<a href="http://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc9_gm67_guanyl_240119.html">パブリックコメント</a>を求めているところです（2012年2月17日まで）。</p>
<p>　厚労省ではこの件を受けて同様の事例がないかどうか、昨年12月から今年1月にかけて各検疫所、各都道府県等に調査を命じました。そして、今回のリボフラビンの一件が明らかになって発表されたというわけです。厚生労働省は、2012年1月6日にBASF社リボフラビンの食品健康影響評価について食品安全委員会に諮問しました。その後開催された<a href="http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20120113id1&amp;fileId=410">1月13日の遺伝子組換え食品等専門調査会</a>で提出されて、現在継続審議となっています。BASF社のリボフラビンの輸入、販売が解禁されるのはもう少し時間がかかりそう、リボフラビンが足りない状況は続きそうです。</p>
<p>　さて、この問題をさらにややこしくしているのが、厚生労働省の対応のわかりにくさです。BASF社のリボフラビンの安全性については、厚生労働省の<a href="http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001yz82.html">12月22日のプレスリリース</a>で「すでに国外を含め広く使用されている中で安全上問題となる情報は確認されていません」としています。しかし、安全性にいくら問題がなくても、食品衛生法上、審査の手続きが未了なものを流通させるわけにはいきません。そこで、BASF社に対しては手続きが終了するまで、輸入、販売を取りやめるよう指示しましたが、この着色料を用いた加工食品については、回収等の指示はありませんでした。</p>
<p>　これとよく似た一件が2002年に起きた、<a href="http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/07/h0712-4.html">フェロシアン化物の問題</a>です。食塩に含まれる食品添加物「フェロシアン化物」は安全性に問題が無いものの、日本における手続きが未了でした。厚労省は市場を混乱させることがないよう、直ちに手続きを開始し、自主回収などは行われませんでした。こちらは遺伝子組換えとは関係ありませんが、例外的な措置が講じられたという意味では同様です。</p>
<p>　一方、リボフラビンとともに未審査であることが<a href="http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001yz82.html">12月22日に発表された、製パン改良剤キシラナーゼ</a>については、それを用いた加工食品まで全て回収となっています。この差はいったい何なのでしょう。このことについて、1月19日に厚生労働省が開催した「<a href="http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001z82y.html">輸入食品の安全性確保に関する意見交換会</a>」で、厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課輸入食品安全対策室の道野　英司室長は次のように説明しています。</p>
<p>　「簡単に申しますと、食品安全委員会の安全性審査については２種類あって、非常に簡易なものとフルのものとある。簡易なものに関してはナチュラルオカレンスとか、セルフクローニングだとか、高度濃縮とか、一定の要件を満たしているものは割と迅速な審査が可能。そういったものであるということの見通しがあるもの（編集部注：リボフラビンなど）については、迅速に安全性審査をやってもらって対処するということにしているのですけれども、それがやはり、データの不足等々で見込めないもの（編集部注：キシラナーゼ）については、食品衛生法違反という違法状態を長期化させないという観点もございまして、関係食品の回収というような対応に至っているわけです」</p>
<p>　そういう整理のしかたなのか。この説明を聞いてわかりました。流通量の多寡や影響力の大きさで決めていたわけではなかったのです。しかし、プレスリリースだけでは、そこまで読み取ることはできません。</p>
<p>　それでは、BASF社のリボフラビンを用いた加工食品、スポーツ飲料やケーキが、これまでどおり販売されているのでしょうか。事業者によって、判断は異なるようです。厚生労働省の対応は、解釈が分かれるようです。たとえば地方のある検疫所では、この問題について「添加物及びそれらを含む食品」と捉えて、輸入者に調査を行っているといいます。また、ある保健所の人に話を聞いたところ「違反のものを含む食品が流通するのは、食品衛生法上おかしいのではないか」と言う声もきかれました。混乱するのは無理からぬことかもしれません。</p>
<p>　そういえば、今回の問題をめぐる報道は、フルバージョンの審査が必要な「遺伝子組換え微生物を用いて製造したもので、遺伝子組換えの評価が必要な食品添加物」と、簡易バージョンの審査で済む「遺伝子組換え微生物を用いて製造したもので、遺伝子組換えの評価が必要ではない食品添加物」の違いについて、明確に伝えているところはありませんでした。このため「安全性に問題がある遺伝子組換え添加物が出回っている」として、間違って伝わっているようなのです。</p>
<p>　一般に遺伝子組換えというと、トウモロコシや大豆といった農作物を思い浮かべがちですが、遺伝子組換え微生物によって医薬品や工業品を製造する技術も飛躍的に進んでいます。遺伝子組換え農作物のリスクコミュニケーションは行われてきましたが、遺伝子組換え微生物の理解は、なかなか進んでいなかったのではないでしょうか。日本独自の法的手続きが決まったときから、近い将来必ず問題になるだろうとも言われ続けていたのにもかかわらず…。</p>
<p>　これから先は事業者による管理の徹底とともに、国による情報提供と十分な説明、ステークホルダーの情報共有が求められています。消費者がよく事情がわからないうちに、黄色いケーキが白いケーキになってしまうような、無用な混乱を避けてもらいたいのです。（森田満樹）</p>
<p>*2月3日に一部内容を修正しました。</p>
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		<title>福島の桃　おいしく頂きましたーその２</title>
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		<pubDate>Wed, 07 Sep 2011 23:59:23 +0000</pubDate>
		<dc:creator>森田 満樹</dc:creator>
				<category><![CDATA[リアル消費者道]]></category>

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		<description><![CDATA[　前回、「福島の桃　おいしく頂きました」というコラムを書いたところ、福島県の農業関係者の方からご連絡を頂いた。「震災後は応援ムードもあり、それなりに取引されてきていましたが、7月の牛肉での放射性セシウム検出を機に状況が悪化しています。福島県の桃は半数程度が個人の贈答向けに宅配便で売られていましたが、それが完全にストップして共選(森田注：共同選果のための作業場)に桃があふれています。価格も、通常3,000円程度である5キロ箱がいま800円です。再生産どころか経費も出ないという水準で、生産者は精神的にも非常に参っているという印象です」という。 　私が8月下旬に都内の量販店で購入した時は、1箱18個入り5キロ箱で1500円。風評被害の影響を受けているとしか思えない価格だったが、そこまで取引価格が下がっているとは思わなかった。大変な思いをしている桃農家を少しでも応援したい。桃のシーズンはもうすぐ終わってしまう。数年前の夏、福島市内の観光果樹園で桃狩りを楽しんだことを思い出して、早速出かけることにした。 　私のお目当ての観光果樹園は、福島内の北西部にあるフルーツラインとピーチラインと呼ばれる道路の、ちょうど交差するあたりにある。このあたりはその名のとおり、サクランボ、桃、ブドウ、リンゴなどの観光果樹園が道路沿いに立ち並ぶ。桃は最盛期を過ぎているが、それでも店頭にはたくさんの桃が並んでいる。さっそく話を聞いてみた。 　「お客さんは例年の2割程度でした。フルーツラインを通る車自体が少なかった。うちの果樹園は観光収入よりも、お得意さんからの注文販売が主流なのですが、贈答用の注文数が減りました。それでも最初のうちは、良かったんですよ。それが牛肉問題以降、急に注文が減り、7月20日ごろには例年の半額に引き下げなくてはならない状況になりました。8月中旬には農協に持っていくことにしましたが、例年の4分の1の取引価格にまで落ち込みました」。 　お盆過ぎに、東京の量販店で大売出しとなったのはそういう理由だったのか…。「それでも、桃は出荷停止にならなかったから本当に良かった。知り合いには、出荷停止になった農産物を作っていたところもありますからね。出荷停止になったら補償がもらえるからいいだろうと思われるかもしれませんが、JAに出荷せず個別に取引している農家の場合は、補償請求の交渉も自分たちでやらなければなりません。手続きも大変で時間もかかります。野菜の農家などは、これを機に農業を止めるところも出てきています。桃は、今年は採算があわなかったけれども、誰かが食べてくれるだけでもいい。果樹ですから、野菜のように植え付けをすぐやめるというわけにもいきません」。 　店頭に目を向けると、これまで見たことがないような品種のものが並んでいる。東京では福島県産の桃は『あかつき』という品種しか見たことがないと伝えると、「今の時期にしか取れない品種です。ピンクの果皮が濃いのが『ゆうぞら』、夕焼けのような色でしょう。こちらが果皮も果肉も黄色い『黄金桃』、こちらが白桃の『川中島』です」と説明してくれた。こちらの果樹園では10種類ほどの桃を栽培しており、7月の早生の時期から2週間おきにいろんな品種が出るという。桃狩りをしながら試食をする。 　ゆうぞらは、皮が赤くて産毛のような短い毛がたくさん生えている。皮を剥くと果肉はピンクで、実はしまって甘みが強い。流通量は少ないが9月いっぱいまで楽しめるそうだ。黄金桃は、マンゴーのようにねっとりとしていて、独特の芳香とさわやかな酸味もある。川中島は白桃の王道のような味だ。そのおいしさ、珍しさに驚いた。そして、日本の果物の栽培技術が、世界に誇れるものであることを思い出した。 　 　私は数年前、タイに2年間ほど住んでいたのだが、日本の桃が売られているのを高級デパートで見たことがある。１個1000円くらいだった。中国産や米国産のネクタリンの5、6倍はするが、日本の果物はその美しさ、おいしさに定評があり、タイの一部の富裕層に人気が高い。今回の原発事故の影響で、輸出用の果物も大変な打撃を蒙っている。ニッポンブランドの果物ファンの外国人も、さぞやがっかりしているだろう。 　そんなことを思いながら、私は自宅用、実家用、お世話になった人宛てに「ゆうぞら」を送った。宅配便の送料の方が高くなるほど、桃が安く販売されているのを見ると何とも申し訳ない気持ちになる。 　福島県は8月17日、農林水産業復興を目的に、「ふくしま　新発売」プロジェクトを始めた。福島県出身のタレントをサポーターにPR活動を行い、放射性物質の検査結果を検索できるウェブサイトを立ち上げるなど、農産物や水産物の安全性を広く発信するという。そういえば最近、近所のお店で、福島の農産物に県知事の写真入りのメッセージが表示されているのをみかける。そうした活動も結構だが、福島の農産物の検査結果の大多数が不検出か、暫定規制値を大きく下回っているという全体的なトレンドが何とか伝わらないものか。 　それにしても出荷制限を受けたことが無いような農産物まで、ここまで風評被害を蒙る現状をどう考えたらいいのだろうか。日本の農業現場は高齢化が進み、これを機に離農する人が増えれば技術の継承もままならない。これから福島の農家が農産物を作り続けるために、どんな情報が不足しているのか、それぞれがどう対応したらいいのか―答はまだ見つからない。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>　前回、「福島の桃　おいしく頂きました」というコラムを書いたところ、福島県の農業関係者の方からご連絡を頂いた。「震災後は応援ムードもあり、それなりに取引されてきていましたが、7月の牛肉での放射性セシウム検出を機に状況が悪化しています。福島県の桃は半数程度が個人の贈答向けに宅配便で売られていましたが、それが完全にストップして共選(森田注：共同選果のための作業場)に桃があふれています。価格も、通常3,000円程度である5キロ箱がいま800円です。再生産どころか経費も出ないという水準で、生産者は精神的にも非常に参っているという印象です」という。</p>
<p>　私が8月下旬に都内の量販店で購入した時は、1箱18個入り5キロ箱で1500円。風評被害の影響を受けているとしか思えない価格だったが、そこまで取引価格が下がっているとは思わなかった。大変な思いをしている桃農家を少しでも応援したい。桃のシーズンはもうすぐ終わってしまう。数年前の夏、福島市内の観光果樹園で桃狩りを楽しんだことを思い出して、早速出かけることにした。</p>
<p>　私のお目当ての観光果樹園は、福島内の北西部にあるフルーツラインとピーチラインと呼ばれる道路の、ちょうど交差するあたりにある。このあたりはその名のとおり、サクランボ、桃、ブドウ、リンゴなどの観光果樹園が道路沿いに立ち並ぶ。桃は最盛期を過ぎているが、それでも店頭にはたくさんの桃が並んでいる。さっそく話を聞いてみた。<br />
<div id="attachment_4837" class="wp-caption alignright" style="width: 160px"><img src="http://www.foocom.net/wp/wp-content/uploads/2011/09/fruits1-150x150.jpg" alt="" title="fruits" width="150" height="150" class="size-thumbnail wp-image-4837" /><p class="wp-caption-text">フルーツラインの観光果樹園</p></div></p>
<p>　「お客さんは例年の2割程度でした。フルーツラインを通る車自体が少なかった。うちの果樹園は観光収入よりも、お得意さんからの注文販売が主流なのですが、贈答用の注文数が減りました。それでも最初のうちは、良かったんですよ。それが牛肉問題以降、急に注文が減り、7月20日ごろには例年の半額に引き下げなくてはならない状況になりました。8月中旬には農協に持っていくことにしましたが、例年の4分の1の取引価格にまで落ち込みました」。</p>
<p>　お盆過ぎに、東京の量販店で大売出しとなったのはそういう理由だったのか…。「それでも、桃は出荷停止にならなかったから本当に良かった。知り合いには、出荷停止になった農産物を作っていたところもありますからね。出荷停止になったら補償がもらえるからいいだろうと思われるかもしれませんが、JAに出荷せず個別に取引している農家の場合は、補償請求の交渉も自分たちでやらなければなりません。手続きも大変で時間もかかります。野菜の農家などは、これを機に農業を止めるところも出てきています。桃は、今年は採算があわなかったけれども、誰かが食べてくれるだけでもいい。果樹ですから、野菜のように植え付けをすぐやめるというわけにもいきません」。</p>
<p>　店頭に目を向けると、これまで見たことがないような品種のものが並んでいる。東京では福島県産の桃は『あかつき』という品種しか見たことがないと伝えると、「今の時期にしか取れない品種です。ピンクの果皮が濃いのが『ゆうぞら』、夕焼けのような色でしょう。こちらが果皮も果肉も黄色い『黄金桃』、こちらが白桃の『川中島』です」と説明してくれた。こちらの果樹園では10種類ほどの桃を栽培しており、7月の早生の時期から2週間おきにいろんな品種が出るという。桃狩りをしながら試食をする。</p>
<p>　ゆうぞらは、皮が赤くて産毛のような短い毛がたくさん生えている。皮を剥くと果肉はピンクで、実はしまって甘みが強い。流通量は少ないが9月いっぱいまで楽しめるそうだ。黄金桃は、マンゴーのようにねっとりとしていて、独特の芳香とさわやかな酸味もある。川中島は白桃の王道のような味だ。そのおいしさ、珍しさに驚いた。そして、日本の果物の栽培技術が、世界に誇れるものであることを思い出した。<br />
<div id="attachment_4834" class="wp-caption alignright" style="width: 310px"><img src="http://www.foocom.net/wp/wp-content/uploads/2011/09/peach-300x225.jpg" alt="" title="peach" width="300" height="225" class="size-medium wp-image-4834" /><p class="wp-caption-text">左からゆうぞら、川中島、黄金桃</p></div>　</p>
<p>　私は数年前、タイに2年間ほど住んでいたのだが、日本の桃が売られているのを高級デパートで見たことがある。１個1000円くらいだった。中国産や米国産のネクタリンの5、6倍はするが、日本の果物はその美しさ、おいしさに定評があり、タイの一部の富裕層に人気が高い。今回の原発事故の影響で、輸出用の果物も大変な打撃を蒙っている。ニッポンブランドの果物ファンの外国人も、さぞやがっかりしているだろう。</p>
<p>　そんなことを思いながら、私は自宅用、実家用、お世話になった人宛てに「ゆうぞら」を送った。宅配便の送料の方が高くなるほど、桃が安く販売されているのを見ると何とも申し訳ない気持ちになる。</p>
<p>　福島県は8月17日、農林水産業復興を目的に、「ふくしま　新発売」プロジェクトを始めた。福島県出身のタレントをサポーターにPR活動を行い、放射性物質の検査結果を検索できるウェブサイトを立ち上げるなど、農産物や水産物の安全性を広く発信するという。そういえば最近、近所のお店で、福島の農産物に県知事の写真入りのメッセージが表示されているのをみかける。そうした活動も結構だが、福島の農産物の検査結果の大多数が不検出か、暫定規制値を大きく下回っているという全体的なトレンドが何とか伝わらないものか。</p>
<p>　それにしても出荷制限を受けたことが無いような農産物まで、ここまで風評被害を蒙る現状をどう考えたらいいのだろうか。日本の農業現場は高齢化が進み、これを機に離農する人が増えれば技術の継承もままならない。これから福島の農家が農産物を作り続けるために、どんな情報が不足しているのか、それぞれがどう対応したらいいのか―答はまだ見つからない。</p>
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		<title>福島の桃　おいしく頂きました</title>
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		<pubDate>Thu, 25 Aug 2011 05:33:06 +0000</pubDate>
		<dc:creator>森田 満樹</dc:creator>
				<category><![CDATA[リアル消費者道]]></category>

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		<description><![CDATA[　このところ、福島の桃を毎日食べている。 　きっかけは、放射能関連のシンポジウムで聞いた、ある福島県の農家の話だ。彼は意見交換の場で「風評被害に苦しみながら、消費者に少しでも安心してもらおうと自分たちでお金を出して検査をしてもらっている。先日、近所の農家が桃を検査したところ、放射性セシウム70 Bq/㎏が検出された。自分たちが持っている情報は隠したくはないが、こんな数字のものを、はたして消費者は受け入れるだろうか」と話した。 　放射性セシウム70 Bq/㎏の桃。厚生労働省が定めている暫定規制値は500 Bq/㎏だから、かなり下回っている。でも、暫定規制値そのものが緩いのよ、という人もいる。計算してみよう。たとえば1回でLサイズの桃を4個、1㎏を食べたら、70 Bq×実効線量係数（1.3×10-5）=0.00091ｍSv。10日間、4個の桃を食べ続けたら0.0091 ｍSv。これを1年間続けたら0.33mSv。 　もちろん1年間、食べ続けることはあり得ないが、ここまでくると多いようにも感じる数字である。しかし、原発事故とは関係なく、私たちはふつうの食生活で放射性カリウムなどの自然放射性物質をとり、年間0.4mSv程度被ばくしている。もちろん放射性物質の摂取は少ないにこしたことはないけれど、70 Bq/㎏の桃、私は受け入れられる。 　それでは、福島産の桃の汚染の程度はどのくらいだろうか。厚生労働省のウェブサイトでは、「食品中の放射性物質に関する結果」が県別に公表されている。福島県では、これまで4000件以上の食品が調べられて公表されているが、そのうち桃は76件の検査が行われている。 　その結果をみると、放射性ヨウ素は検出されていない。放射性セシウムは、一番高いものでセシウム134が79Bq/kg、セシウム137が82Bq/kgを示している。9割以上が10~30 Bq/kgの範囲に収まっており、ND（検出限界以下）は19件。出荷制限されたウメの検査結果に比べると、検出幅は小さく問題の無いレベルに留まっている。 　そんなに心配することはない。冒頭の農家の話を思い出しながら、福島産の桃が売られていたら買って応援しなくちゃ、そう思っていた。しかし風評被害の影響なのか、8月前半まで福島産の桃には、なかなかお目にかからなかった。普通のスーパーでは出回らないのかと諦めていたところ、お盆を過ぎた頃からか、八百屋やスーパーで目玉商品として売り出されるようになった。 　近所の大手量販店では、店の入り口に「東北を応援しよう」という旗を立て、8月17日ごろから福島産の桃の大売出しを始めた。1個128円、6個598円、ひと箱18個入り1500円。サイズはL～2Lサイズに相当する大玉である。一方、奥の果物売り場の他県産桃は、2個で698円である。福島産のほうが断然安い。しかもきれいで、贈答品にしてもおかしくないほどの桃だ。 　丹精こめて育てた桃がこんな値段で販売されたのでは、福島県の農家の人たちはたまらないだろう。せっかく買って応援したいと思っても、買っていいものか。せめて他県産と同じ値段で買わなければ、応援したことにならないのではないか。ますます産地は買い叩かれて疲弊してしまうのではないか。そんなことを思いながらも、目の前にはいかにもおいしそうな桃がある。まずは、ひと箱買ってみよう。桃を箱で買うなんて、生まれて初めてである。 　とにかくおいしい。いつもは小さなサイズの桃を家族で分けて、何口か食べるだけなのに、今回は1人１個。1日に2個ずつ食べても、まだ箱の中に残っている。子供たちも大喜びだ。こんなに桃をたくさん食べさせるのは初めてで、放射性物質の心配よりも、食物アレルギーにならないか(桃は食物アレルギーになる可能性があり、加工食品の義務表示項目にもなっている)心配したほど。子供たちにまた買ってとせがまれて、翌々日にはふた箱めを買いに行った。 　すると驚いたことに、福島産の桃はさらに安く売られていた。風評被害で皆が買わないから、安くなってしまうのだろうか？　心配になって売り場の人に聞いてみたら「うちだから、この値段で提供できるんです。皆さん、気にしないで買っていますよ。1日に1800個、うちは全国の店の中でも、一番売っているんじゃないかな」という。そうやってこの量販店では、福島産の桃が安く入荷できた6日間、大売出しを続けた。お店はたくさん売れてよかったのかもしれないが、「東北を応援しよう」ということになったのかどうか。 　そう思いながらもこの間、私はすっかり桃のおいしさにはまってしまい、桃を買い続けてしまった。家にはまだひと箱ある。何とか保存できないものか、松永に話したら「コンポートにすればいいじゃない」と言う。これは気づかなかった。果物のコンポートは時々つくるが、桃はもったいなくて、やったことがない。二つ割にした桃に、水と砂糖とレモンを入れて、煮るだけ。レシピとも言えないような簡単な作り方でできるのだが、こちらの味も格別だ。赤ワインをいれたら、きれいな色に仕上がった。 　そんなわけで高嶺の花だった桃、今年の夏は堪能させて頂いた。そういえば、これまで贈答用の桃を頂いたことはないし、自分で買うときは小さいものばかり、外れることも多くて、こんなにおいしい桃を食べたことがないことに気がついた。これから夏がくるたびに、私はこの味を思い出して、福島産の桃を箱買いするだろう。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>　このところ、福島の桃を毎日食べている。<br />
　きっかけは、放射能関連のシンポジウムで聞いた、ある福島県の農家の話だ。彼は意見交換の場で「風評被害に苦しみながら、消費者に少しでも安心してもらおうと自分たちでお金を出して検査をしてもらっている。先日、近所の農家が桃を検査したところ、放射性セシウム70 Bq/㎏が検出された。自分たちが持っている情報は隠したくはないが、こんな数字のものを、はたして消費者は受け入れるだろうか」と話した。</p>
<p>　放射性セシウム70 Bq/㎏の桃。厚生労働省が定めている暫定規制値は500 Bq/㎏だから、かなり下回っている。でも、暫定規制値そのものが緩いのよ、という人もいる。計算してみよう。たとえば1回でLサイズの桃を4個、1㎏を食べたら、70 Bq×実効線量係数（1.3×10-5）=0.00091ｍSv。10日間、4個の桃を食べ続けたら0.0091 ｍSv。これを1年間続けたら0.33mSv。</p>
<p>　もちろん1年間、食べ続けることはあり得ないが、ここまでくると多いようにも感じる数字である。しかし、原発事故とは関係なく、私たちはふつうの食生活で放射性カリウムなどの自然放射性物質をとり、年間0.4mSv程度被ばくしている。もちろん放射性物質の摂取は少ないにこしたことはないけれど、70 Bq/㎏の桃、私は受け入れられる。</p>
<p>　それでは、福島産の桃の汚染の程度はどのくらいだろうか。厚生労働省のウェブサイトでは、<a href="http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/shokuhin.html" target="_blank">「食品中の放射性物質に関する結果」</a>が県別に公表されている。福島県では、これまで4000件以上の食品が調べられて公表されているが、そのうち桃は76件の検査が行われている。</p>
<p>　その結果をみると、放射性ヨウ素は検出されていない。放射性セシウムは、一番高いものでセシウム134が79Bq/kg、セシウム137が82Bq/kgを示している。9割以上が10~30 Bq/kgの範囲に収まっており、ND（検出限界以下）は19件。出荷制限されたウメの検査結果に比べると、検出幅は小さく問題の無いレベルに留まっている。</p>
<p>　そんなに心配することはない。冒頭の農家の話を思い出しながら、福島産の桃が売られていたら買って応援しなくちゃ、そう思っていた。しかし風評被害の影響なのか、8月前半まで福島産の桃には、なかなかお目にかからなかった。普通のスーパーでは出回らないのかと諦めていたところ、お盆を過ぎた頃からか、八百屋やスーパーで目玉商品として売り出されるようになった。</p>
<p>　近所の大手量販店では、店の入り口に「東北を応援しよう」という旗を立て、8月17日ごろから福島産の桃の大売出しを始めた。1個128円、6個598円、ひと箱18個入り1500円。サイズはL～2Lサイズに相当する大玉である。一方、奥の果物売り場の他県産桃は、2個で698円である。福島産のほうが断然安い。しかもきれいで、贈答品にしてもおかしくないほどの桃だ。</p>
<p>　丹精こめて育てた桃がこんな値段で販売されたのでは、福島県の農家の人たちはたまらないだろう。せっかく買って応援したいと思っても、買っていいものか。せめて他県産と同じ値段で買わなければ、応援したことにならないのではないか。ますます産地は買い叩かれて疲弊してしまうのではないか。そんなことを思いながらも、目の前にはいかにもおいしそうな桃がある。まずは、ひと箱買ってみよう。桃を箱で買うなんて、生まれて初めてである。</p>
<p>　とにかくおいしい。いつもは小さなサイズの桃を家族で分けて、何口か食べるだけなのに、今回は1人１個。1日に2個ずつ食べても、まだ箱の中に残っている。子供たちも大喜びだ。こんなに桃をたくさん食べさせるのは初めてで、放射性物質の心配よりも、食物アレルギーにならないか(桃は食物アレルギーになる可能性があり、加工食品の義務表示項目にもなっている)心配したほど。子供たちにまた買ってとせがまれて、翌々日にはふた箱めを買いに行った。</p>
<p>　すると驚いたことに、福島産の桃はさらに安く売られていた。風評被害で皆が買わないから、安くなってしまうのだろうか？　心配になって売り場の人に聞いてみたら「うちだから、この値段で提供できるんです。皆さん、気にしないで買っていますよ。1日に1800個、うちは全国の店の中でも、一番売っているんじゃないかな」という。そうやってこの量販店では、福島産の桃が安く入荷できた6日間、大売出しを続けた。お店はたくさん売れてよかったのかもしれないが、「東北を応援しよう」ということになったのかどうか。</p>
<p>　そう思いながらもこの間、私はすっかり桃のおいしさにはまってしまい、桃を買い続けてしまった。家にはまだひと箱ある。何とか保存できないものか、松永に話したら「コンポートにすればいいじゃない」と言う。これは気づかなかった。果物のコンポートは時々つくるが、桃はもったいなくて、やったことがない。二つ割にした桃に、水と砂糖とレモンを入れて、煮るだけ。レシピとも言えないような簡単な作り方でできるのだが、こちらの味も格別だ。赤ワインをいれたら、きれいな色に仕上がった。</p>
<p>　そんなわけで高嶺の花だった桃、今年の夏は堪能させて頂いた。そういえば、これまで贈答用の桃を頂いたことはないし、自分で買うときは小さいものばかり、外れることも多くて、こんなにおいしい桃を食べたことがないことに気がついた。これから夏がくるたびに、私はこの味を思い出して、福島産の桃を箱買いするだろう。</p>
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		<title>食品安全委員会は役割を果たしたか</title>
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		<pubDate>Fri, 01 Apr 2011 09:05:29 +0000</pubDate>
		<dc:creator>森田 満樹</dc:creator>
				<category><![CDATA[リアル消費者道]]></category>

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		<description><![CDATA[●放射性物質に関する緊急取りまとめ 　 食品安全委員会は、放射性物質の指標値に関する食品健康影響評価について、３月22日から29日までにあわせて5回の会合を行い、29日に「放射性物質に関する緊急とりまとめ」として厚生労働省に答申を行った。 　食品安全委員会の結論が出るまでのこの約1週間、福島第一原発の影響で周辺地域では基準値を超えた野菜や水が次々と検出され、関東・東北4県では一部品目の野菜が出荷停止となった。品目外の野菜の風評被害も深刻となり「暫定基準値が厳しすぎるのではないか」として、基準値緩和を求める声が強まっていく。食品安全委員会の仕事は、この基準値を定めるものではなく、あくまで基準値の根拠となる指標を評価するものだが、食品安全委員会としてその数値を緩和すれば、当然基準値も緩和の方向で検討される。当然のことながら、その結果が大いに注目された。 　今回、評価の対象となる放射性物質は遺伝毒性発がん物質であり、本来であれば詳細な検討が必要で、評価に値する十分なデータと十分な時間が求められるべきものだ。両方とも欠けている中で、本当に評価ができるのか。未曾有の緊急事態で、政治的な背景もある。このプレッシャーの中で食品安全委員会は果たしてその役割を果たせたのだろうか。 ●放射性セシウム、5mSvか10mSvか 　今回の緊急とりまとめ文書は、食品安全委員会ウェブサイトに掲載されており、食品安全委員会第375回（放射性物質に関する緊急とりまとめ）として30ページにも及ぶものだが、取りまとめ評価のポイントは二つである。 ① 放射性ヨウ素について、年間50mSvとする甲状腺等価線量（実効線量として２mSvに相当）は、食品由来の放射線暴露を防ぐ上で相当な安全性を見込んだものと考えられた。 ② 放射性セシウムについて、自然環境下においても10 mSv程度の暴露が認められている地域が存在すること、10～20 mSvまでなら特段の健康への影響は考えられないとの専門委員および専門参考人の意見があったこと等も踏まえると、ICRPの実効線量として年間10 mSvという値について、緊急時にこれに基づきリスク管理を行うことが不適切とまで言える根拠も見いだせていない。 放射性セシウムについて少なくとも実効線量として年間５mSvは、食品由来の放射線曝露を防ぐ上でかなり安全側に立ったものである、と考えられた。 　問題は、アンダーラインの部分の表現である。最初の3行は10 mSvを事実上容認して、緊急時のリスク管理は10 mSvで基準値を定めてもよしと読める。しかし、後の2行の5mSvが結論だとも読める。この書きぶりがあまりにわかりにくく、当日、傍聴していた人たちも「やはり5ミリのまま緩めなかったね」「いや、専門委員は10ミリって言っている」「5ミリが結論で10ミリまでがのりしろってことだろう」と喧々諤々だった。 ● 厚労省に下駄を預けた 　混乱した記者から質問も相次いで、29日の取りまとめの後、急きょ記者会見が開かれた（その内容はこのサイトの「傍聴くんが行く」で紹介している）。記者会見で「セシウムの結論は、5mSVだ」と評価課長が繰り返し明言したので、私も記者会見に出席してようやく結論がわかったが、それでも腑に落ちない。 　もし仮に、ここで数値を緩めた結論としたら―？食品安全委員会のこれまで評価してきた膨大な評価結果の信用に関わることになるだろう。だから数値を緩めないことで、食品安全委員会は政治の圧力に負けない、科学的評価を行った。そうやってメンツを保った、はずであった。その一方で「緊急時には10mSvでリスク管理を行うことが不適切とまで言える根拠をみいだせていない」という評価内容をくっつけて、厚生労働省に下駄を預けた。結局、だれにでも理解できる明快な「リスク評価書」を出せなかった、出す勇気がなかった、これで評価の役割を果たしたと言えるだろうか。 　取りまとめが行われた29日夜、一斉にTVや新聞で報道されたその内容はやっぱり、報道各社によって異なるものだった。放射性セシウムの数値をめぐって「暫定規制値の緩和、セシウムも容認　食品安全委（日経新聞）」「セシウム規制値緩和（テレビ朝日）」とする「緩和」報道と、「セシウムも暫定基準支持　食品安全委員会（朝日新聞）」とする「現行のまま」報道に、二分されたのである。同じ緊急取りまとめ結果が報道されたはずなのに、伝え方がまるで違う。しょうがない。食品安全委員会がどちらとも読める書きぶりでとりまとめを行ったからである。 ● リスク評価機関として明記してほしかった 　食品安全委員会からすれば、「根拠となるデータが少なかった」ということなのだろう。しかしBSEの時だって根拠が足りなくても結論を出さなくてはいけないのに、食品安全委員会は結論を出せずに混乱を招いたのではなかったか。「入手できる最大限の情報の中でマネージメントの根拠となる見解を示す」のがリスク評価機関の本来の役割であり、「今の段階ではわからない」という結論はその役割を放棄していることにならないか。後で新たな知見が加わって結論が変わることはあるかもしれない、しかし、それを見越したコンセンサスのもと、現段階の判断をわかりやすく示すこと。これがリスク評価機関に求められる役割だと思う。 　「緊急とりまとめ」では最後の課題として、放射性物質について今後も継続して評価を行うとある。遺伝毒性の根拠が明らかになるには、まだまだ相当の時間がかかるだろう。それまでは、これまで蓄積されてきた知見（自然被ばく、医療被ばく、過去の事故による被ばくのデータ）と、現在置かれている緊急時の社会的な状況を睨みながら、どんな数字が妥当なのか、リスク管理機関だけでなく、リスクコミュニケーションを通して社会にわかりやすく示してほしい。5とか10とか、細かい数字の説明に終始するのではなく、指標となる数値がどれだけ低用量の中の議論であるのか、リスクの程度がどの程度か、俯瞰的にわかりやすく示してほしい。緊急時の今こそ結論を明記して、消費者に語りかけてほしいのである。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>●放射性物質に関する緊急取りまとめ<br />
　 食品安全委員会は、放射性物質の指標値に関する食品健康影響評価について、３月22日から29日までにあわせて5回の会合を行い、29日に「放射性物質に関する緊急とりまとめ」として厚生労働省に答申を行った。</p>
<p>　食品安全委員会の結論が出るまでのこの約1週間、福島第一原発の影響で周辺地域では基準値を超えた野菜や水が次々と検出され、関東・東北4県では一部品目の野菜が出荷停止となった。品目外の野菜の風評被害も深刻となり「暫定基準値が厳しすぎるのではないか」として、基準値緩和を求める声が強まっていく。食品安全委員会の仕事は、この基準値を定めるものではなく、あくまで基準値の根拠となる指標を評価するものだが、食品安全委員会としてその数値を緩和すれば、当然基準値も緩和の方向で検討される。当然のことながら、その結果が大いに注目された。</p>
<p>　今回、評価の対象となる放射性物質は遺伝毒性発がん物質であり、本来であれば詳細な検討が必要で、評価に値する十分なデータと十分な時間が求められるべきものだ。両方とも欠けている中で、本当に評価ができるのか。未曾有の緊急事態で、政治的な背景もある。このプレッシャーの中で食品安全委員会は果たしてその役割を果たせたのだろうか。</p>
<p>●放射性セシウム、5mSvか10mSvか<br />
　今回の緊急とりまとめ文書は、食品安全委員会ウェブサイトに掲載されており、食品安全委員会第375回（<a href="http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20110329sfc" target="_blank">放射性物質に関する緊急とりまとめ</a>）として30ページにも及ぶものだが、取りまとめ評価のポイントは二つである。<br />
①	放射性ヨウ素について、年間50mSvとする甲状腺等価線量（実効線量として２mSvに相当）は、食品由来の放射線暴露を防ぐ上で相当な安全性を見込んだものと考えられた。<br />
②	放射性セシウムについて、自然環境下においても10 mSv程度の暴露が認められている地域が存在すること、10～20 mSvまでなら特段の健康への影響は考えられないとの専門委員および専門参考人の意見があったこと等も踏まえると、<span style="color: #333333;">I<span style="text-decoration: underline;">CRPの実効線量として年間10 mSvという値について、緊急時にこれに基づきリスク管理を行うことが不適切とまで言える根拠も見いだせていない。<br />
放射性セシウムについて少なくとも実効線量として年間５mSvは、食品由来の放射線曝露を防ぐ上でかなり安全側に立ったものであ</span>る</span>、と考えられた。</p>
<p>　問題は、アンダーラインの部分の表現である。最初の3行は10 mSvを事実上容認して、緊急時のリスク管理は10 mSvで基準値を定めてもよしと読める。しかし、後の2行の5mSvが結論だとも読める。この書きぶりがあまりにわかりにくく、当日、傍聴していた人たちも「やはり5ミリのまま緩めなかったね」「いや、専門委員は10ミリって言っている」「5ミリが結論で10ミリまでがのりしろってことだろう」と喧々諤々だった。</p>
<p>● 厚労省に下駄を預けた<br />
　混乱した記者から質問も相次いで、29日の取りまとめの後、急きょ記者会見が開かれた（その内容はこのサイトの「傍聴くんが行く」で紹介している）。記者会見で「セシウムの結論は、5mSVだ」と評価課長が繰り返し明言したので、私も記者会見に出席してようやく結論がわかったが、それでも腑に落ちない。</p>
<p>　もし仮に、ここで数値を緩めた結論としたら―？食品安全委員会のこれまで評価してきた膨大な評価結果の信用に関わることになるだろう。だから数値を緩めないことで、食品安全委員会は政治の圧力に負けない、科学的評価を行った。そうやってメンツを保った、はずであった。その一方で「緊急時には10mSvでリスク管理を行うことが不適切とまで言える根拠をみいだせていない」という評価内容をくっつけて、厚生労働省に下駄を預けた。結局、だれにでも理解できる明快な「リスク評価書」を出せなかった、出す勇気がなかった、これで評価の役割を果たしたと言えるだろうか。</p>
<p>　取りまとめが行われた29日夜、一斉にTVや新聞で報道されたその内容はやっぱり、報道各社によって異なるものだった。放射性セシウムの数値をめぐって「暫定規制値の緩和、セシウムも容認　食品安全委（日経新聞）」「セシウム規制値緩和（テレビ朝日）」とする「緩和」報道と、「セシウムも暫定基準支持　食品安全委員会（朝日新聞）」とする「現行のまま」報道に、二分されたのである。同じ緊急取りまとめ結果が報道されたはずなのに、伝え方がまるで違う。しょうがない。食品安全委員会がどちらとも読める書きぶりでとりまとめを行ったからである。</p>
<p>● リスク評価機関として明記してほしかった<br />
　食品安全委員会からすれば、「根拠となるデータが少なかった」ということなのだろう。しかしBSEの時だって根拠が足りなくても結論を出さなくてはいけないのに、食品安全委員会は結論を出せずに混乱を招いたのではなかったか。「入手できる最大限の情報の中でマネージメントの根拠となる見解を示す」のがリスク評価機関の本来の役割であり、「今の段階ではわからない」という結論はその役割を放棄していることにならないか。後で新たな知見が加わって結論が変わることはあるかもしれない、しかし、それを見越したコンセンサスのもと、現段階の判断をわかりやすく示すこと。これがリスク評価機関に求められる役割だと思う。</p>
<p>　「緊急とりまとめ」では最後の課題として、放射性物質について今後も継続して評価を行うとある。遺伝毒性の根拠が明らかになるには、まだまだ相当の時間がかかるだろう。それまでは、これまで蓄積されてきた知見（自然被ばく、医療被ばく、過去の事故による被ばくのデータ）と、現在置かれている緊急時の社会的な状況を睨みながら、どんな数字が妥当なのか、リスク管理機関だけでなく、リスクコミュニケーションを通して社会にわかりやすく示してほしい。5とか10とか、細かい数字の説明に終始するのではなく、指標となる数値がどれだけ低用量の中の議論であるのか、リスクの程度がどの程度か、俯瞰的にわかりやすく示してほしい。緊急時の今こそ結論を明記して、消費者に語りかけてほしいのである。</p>
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