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農薬の今3|石島 藤夫

どんなコラム?
食の安全・安心問題で、常に消費者の関心を集める農薬。でも、間違った情報や誤解が数多くあります。消費者の声に耳を傾け、疑問に答えて行きます。
プロフィール
農薬メーカーに37年間勤務し、現在は(公社)緑の安全推進協会で、農薬の使用者等を対象とした講習会や電話相談などを担当している

電話相談にみる農薬への不安

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2015年6月4日

 私は、公益社団法人緑の安全推進協会(以下 当協会)に勤務しています。協会の活動目的とその主たる事業についてご紹介します。
 当協会は、農作物等(樹木・芝及び農林産物等を含む)の病害虫・雑草防除に使用される農薬に関する正しい理解や効率的かつ安全な使用技術等の普及を図り、その適正使用の推進に資し、農業生産の安定、国民の健康の保護及び生活環境の保全に寄与することを目的に活動しており、この目的を達成するために、主に以下の6つの事業を行っています。

1.農薬の適正使用の普及指導を行う「緑の安全管理士」の認定
2.農薬の適正使用に関する教育研修、普及啓発のための講師派遣
3.農薬電話相談室の設置
4.農薬の適正使用に関する図書印刷物等の発行
5.農薬の適正使用に関する各種情報の収集及び提供
6.官公庁関係機関団体との連携強化

 これらの事業のうち、今回は、私が担当している農薬電話相談についてご紹介します。

 農薬会社の中には、農薬を使用する皆様からの質問や疑問にお答えするために、電話等による相談の窓口を設置しているところがありますが、当協会でも農薬相談窓口を設けています。相談の多くは使用者からの薬剤使用に関するものですが、一般の方(殆ど農薬を使用されたことが無い方)からも多種多様な相談が寄せられます。内容については、農薬会社に寄せられるものと似ていると考えられますが、今回は当協会に寄せられた電話相談事例を基に、その傾向について纏めてみました。

<相談の傾向について>

midori1-1 過去3年間における電話相談(818件)の内訳は右図の通りで、52%が農薬使用者、18%が販売者、9%が農薬の指導者でした(行政は指導者に、農薬製造会社は販売者に、それぞれ含む)。しかし、21%(174件)は一般の方からでした。以下では、一般の方々からの相談について見てみることにします。

平成24年4月〜27年3月に寄せられた電話相談の内容の内訳(計818件)

平成24年4月〜27年3月に寄せられた電話相談の内容の内訳(計818件)

 一般の方の多くは、「ここに相談すれば良いと紹介された」とか「インターネット検索で電話番号を見つけた」と話され、相談内容の殆どは「農薬の安全性や健康影響への不安」でした。
 一般の方々が抱かれる、不安は以下の2つに大別されました。

(1)農薬散布時の飛散等による健康影響(周辺住民としての立場)
 代表的なものは、
・「体調が悪いのは隣家で農薬を撒いたからではないか」
・「近所で農薬が散布されたが(自分は)癌にならないだろうか」
・「農薬を散布している近くを通ったが健康に問題は生じないか(相談時点では自覚症状はない)」
・「農薬が散布されたことが判っている場所に近づくだけでも不安だ」
・「農薬散布者が触ったところに触れたが健康に影響ないか」
等でした。

(2)食品中の残留農薬による健康影響(消費者としての立場)
 代表的なものは、
・「果物を良く食べているが、果物は残留農薬が多いので身体に悪いとインターネット上に書かれていたので心配」
・「(農薬が付いていると思う)ミカン皮を素手で剥いて、その手でミカンの房を触って食べても大丈夫か」
等でした。

 平成24年度から同26年度の3年間における電話相談では、上記の(1)周辺住民としての立場と(2)消費者としての立場の比率が、約3:1であり、(1)が多くを占めていました。

 同様な相談は、農薬ネット等にも見られますので、やはり一般の
方々は、「農薬は危険だ」や「使用された時の影響が心配だ」と不安を持たれている方が多いと考えられました。

 では、一般の方からの相談は、何故前述のような内容が多いのでしょうか。
 それに答えるためにも、次回は、電話相談の続きとして一般の方々が農薬を不安に思う原因、農薬製品や使用時の安全確保等について考えてみたいと思います(緑の安全推進協会相談室長、石島藤夫)。

<お知らせ>
農薬について、気軽にご相談ください。疑問にもお答えします。電話番号は03-5209-2512。相談受付時間は午前9時から午後5時まで (土、日、祝祭日は除く)です。

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