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今月の質問箱|瀬古 博子

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消費生活アドバイザー。食品安全に関する広報業務に従事して十数年。個人の考えを書いています

肉のホルモン剤が心配ですか?(1)

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2016年12月7日

輸入食品を不安視する情報は、インターネットの中では、相変わらずたくさん見られます。最近、特に目につくのが、牛肉等の肥育ホルモン剤に関する情報です。

例えば、
「日本では禁止されているのに、輸入肉には含まれていて、野放しだ」
「肥育ホルモン剤には健康リスクがあり、世界中で禁止されている」
「EUでは肥育ホルモン剤を禁止してから、乳がん死亡率が下がった」
など。

ご存じのとおり、インターネットの情報は、玉石混交です。
何が事実なのか、確認してみましょう。

●肥育ホルモン剤とは何か

ホルモンは生体内で生産される物質ですが、畜産の分野では、繁殖や治療などに使用されます。その一方で、家畜の成長を促進するために使用するものがあり、これを「肥育ホルモン剤」と呼んでいます。
肥育ホルモン剤には、元々動物の体内にあるものを製剤化した天然型と、化学的に合成される合成型があります。

肥育ホルモン剤

また、畜産動物の体重増加等を目的に使用される飼料添加物(塩酸ラクトパミン)があります。

●日本、海外では使用されているのか

・米国、カナダ、オーストラリアなど
肥育ホルモン剤は、米国、カナダ、オーストラリアなど、世界の主要な牛肉輸出国で、使用が認められています。カナダでは1960年代から、オーストラリアでは1979年から、肥育ホルモン剤を使用しています。これらの国々では、繁殖及び治療用のホルモン剤も認められています。

・日本
日本では、1960 年代から天然型の肥育ホルモン剤が承認され、使用されていましたが、1998 年に製造・輸入が中止され、それ以降承認の申請がないまま、現在は、肥育ホルモン剤は使用されなくなっています。
繁殖及び治療用のホルモン剤は、日本でも承認され、使用されています。

・EU
EUでは、肥育ホルモン剤の牛への使用を禁止しています。
なお、治療目的でのホルモン剤の使用は、EUでも可能とされています。

●安全なのか

肥育ホルモン剤も、飼料添加物のラクトパミンも、国際機関であるコーデックス委員会が、国際的な残留基準を設定しています。これを踏まえ、日本でも、厚生労働省が薬事・食品衛生審議会での検討を経て、肥育ホルモン剤の残留基準を設定しました。
残留基準は、人が一生涯にわたって毎日、摂取したとしても健康への悪影響がないとされる量(一日摂取許容量)をもとに、設定されています。一日摂取許容量は、一般的に、動物試験の結果等から毒性がないと確認された量(無毒性量)を、安全係数(通常100)で割って、設定されます。
残留基準の範囲内であれば、食品の安全性は確保されています。

<肥育ホルモン剤の基準値>

・合成型
合成型ホルモン

・天然型
天然型ホルモン

【(2)に続く】

参考
食品安全委員会 ファクトシート

厚生労働省 輸入食品Q&A(Q10に肥育ホルモン剤とラクトパミンの基準値、検査実施状況)

内閣官房TPP政府対策本部 TPPに関する参考資料(農業関係①)18-21ページ

コーデックス基準値データベース(動物用医薬品)

米国食肉輸出連合会(基準値等)

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