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今月の質問箱|瀬古 博子

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消費生活アドバイザー。食品安全に関する広報業務に従事して十数年。個人の考えを書いています

ヨリトフグ、食べられる部位は?

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2018年1月22日

愛知県で、販売が禁止されているフグの肝臓が、切り身と一緒にパックされて販売されていたことがわかり、回収騒ぎが起きた。

           販売されていたフグ(愛知県報道資料より)

販売されていたフグ(愛知県報道資料より)

フグの食中毒では死者が出ることもあるので、ひやりとさせられたが、幸いなことに健康被害はなかったようだ。

フグの扱いは難しい。
食用にできるフグは22種類に限定されていて、種類ごとに食べられる部位(販売してもよい部位)が決まっている。
その中で、今回販売されたのは、ヨリトフグだった。

●2パックは消費済み

1月16日、愛知県蒲郡市形原町の販売店に対し、県の保健所が立ち入り調査を行った。
わかったことは、
・販売店は1月15日に、形原水産物地方卸売市場からフグを仕入れた。
・様々な魚が混在したものを一括購入したものだった。
・販売店のフグ処理師(県知事が認めた資格)は、ヨリトフグの肝臓は無毒であり、販売しても差し支えないものと思い込んでいた。
・健康被害の報告はない。

1月18日の時点で、フグは、消費期限を1月19日とするものが少なくとも6パック販売されたことが判明、うち4パックが回収済み。残り2パックはすでに消費済みだった。

また、消費期限を1月15日とするパックも回収され、この販売店では、以前からフグの肝臓を販売していたことが明らかになった。

愛知県 有毒部位の混入したフグの切り身パックについて(1/16)

回収状況(1/18)

●ヨリトフグとはどんなフグか
ヨリトフグやじるしjpg
ヨリトフグは、写真で見る限り、わりとかわいい外観を見せている(写真)。
図ふぐ
厚生労働省「フグの衛生確保について(局長通知)(S58.12.2)」によると、可食部位について、ヨリトフグは、「筋肉〇 皮〇 精巣〇」となっている(〇は可食部位)。「筋肉」のみが〇のコモンフグやクサフグに比べると、可食部が多いというか、全部の部位が〇のように思えてしまう。

しかし、そうではない。

この可食部位の表は、処理(卵巣や肝臓など有毒な部位を取り除く)等を行えば食べられるフグの種類と部位なのであって、食べられるのは〇の部位だけ。それ以外の部位は食べられないし、販売等は禁止される。

フグの漁獲海域についても、日本の沿岸域、日本海、渤海などと制限があり、それ以外の海域は適用外となる。
さらに、フグの処理は、有毒な部位を確実に取り除けると都道府県知事等から認められた者・施設に限って行うこととされている。

フグの肝臓については、有毒部位として、フグの種類を問わず、また、天然や養殖に関わらず、販売が禁止されている。

●毎年起こる、フグの食中毒

フグの食中毒では、しびれ、運動麻痺等の神経症状が現れ、重篤な場合には呼吸停止により死亡することもある。死亡するまで、意識が明瞭な時間が続くというのだから、おそろしい。

では、食中毒はどのくらい起きているのか。
2014~2016年の3年間では、フグによる食中毒の事件数は73件、患者数は110人、死者数2人。フグによる食中毒事件の約74%が、家庭で起きている。

2017年のフグ食中毒事例(下表:厚生労働省 食中毒統計 平成29年(2017年)食中毒発生事例(速報)より作成)を見ると、原因食品はフグの煮物、唐揚げ、吸い物、内臓の味噌汁、丸焼きなど、多岐にわたっている。そして、やはりほとんどは家庭で起きている。
ふぐ統計

今回は、プロのフグ処理師がいる販売店で問題が起きたが、フグについては、家庭での食中毒が多いことも大きな問題だ。釣ったフグやもらったフグを自分で調理すること、つまり素人のフグ調理により、家庭での食中毒が起きてしまう。釣ったフグ、もらったフグを素人判断で調理することは、とても危険なことだ。
また、フグは自然の生き物なので個体差もある。今回は大丈夫だったとはいえ、次回も大丈夫という保証はない。自然のもののおそろしさを認識しておきたい。

厚生労働省 フグによる食中毒発生状況

厚生労働省 食中毒統計

<参考>
厚生労働省 有毒部位の混入したフグの切り身パックについて(情報提供)

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