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今月の質問箱|瀬古 博子

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消費生活アドバイザー。食品安全に関する広報業務に従事して十数年。個人の考えを書いています

学校でのジャガイモ食中毒をなくすために

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2018年3月22日

農林水産省が、学校等向けに、ジャガイモによる食中毒予防のリーフレットを作成した。そう聞くと、「ジャガイモで食中毒なんて、そんなに起こるのか」と驚く方もいるかもしれない。

しかし、ジャガイモによる食中毒は、毎年起こっていて、しかも原因施設は学校がほとんどだ(下表参照)。

ジャガイモによる食中毒(厚生労働省食中毒統計より) http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html)

ジャガイモによる食中毒(厚生労働省食中毒統計より)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html)


●未熟なジャガイモが原因食品に

ジャガイモには、ソラニンやチャコニン等の有害物質が含まれ、これを多く食べることにより食中毒が起こる。ソラニン等は、ジャガイモの芽や皮(特に緑色の部分)に多く含まれる。

未熟なジャガイモ、光が当たって緑色になったジャガイモは、ソラニン等が多くなっている可能性がある。

普通は、ジャガイモの芽は取り除いて食べるし、ジャガイモの皮ばかり多食することはありえない。皮が緑色のジャガイモは販売されていない。だから、ジャガイモによる食中毒など起こるはずがない。

しかし、初心者が家庭菜園で作ってみると、超ミニサイズのジャガイモや見事に緑色となったジャガイモができることもある(我が家の体験です)。また、保管が悪くて日が当たったりすると、緑色になってしまう。

子どもたちがつくるジャガイモが未熟なものだったり、保管が悪かったりすれば、やはりソラニン等の含有量が多いことが心配される。

安全な食べ方――芽は取り除く、緑色の皮は厚めにむく――などを子どもたちに教えることができればよいが、過去の食中毒事例から、学校の教育現場で、おとなの側にもそういった知識が十分あるとは限らないことがわかっている。

●ジャガイモの食中毒対策

毎年食中毒が起こることから、保健所等でも

・芽を十分取り除く

・緑色の皮は厚めにむく

・小さなジャガイモ、未熟なジャガイモは多量に食べない、皮ごと食べない

・長期間保存しないで早めに食べる

・保管するときは暗くて涼しい場所で

など、注意喚起してきた。

しかし、これらはジャガイモを保管・調理・食べるときの注意であり、学校菜園で栽培するときにどうしたらよいかという、農業側からの資料は、これまであまり見当たらなかった。

●学校で栽培するときの参考に
無題
今回発行された農林水産省の資料は、そうした穴を埋めるもので、ジャガイモ栽培について、

・不要な芽を抜き取る「芽かき」をしよう

・イモが地面の外に出ないよう「土寄せ」をしよう

など、具体的なポイントがイラスト入りで説明されているほか、より詳細なウエブ情報へのリンクも示されている。右図のようにツイッターでの発信もわかりやすい。

実際に学校菜園で栽培するときに役立ちそうだ。毎年続いている学校でのジャガイモ食中毒が、これでストップできるよう願いたい。

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