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今月の質問箱|瀬古 博子

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消費生活アドバイザー。食品安全に関する広報業務に従事して十数年。個人の考えを書いています

園児にアレルギー症状? 保育所でヒスタミン食中毒が発生

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2018年10月4日

山梨県で「給食の直後に園児79人にアレルギー症状」(9/28)とのニュースを見て、ヒスタミンかなと思っていたところ、翌日には、食材のマグロからヒスタミンが検出されたことを県が発表。やはりヒスタミン食中毒だった。

アレルギー様の症状は、ヒスタミン食中毒の特徴だ。食後数分から30分くらいで、顔面、特に口のまわりや耳たぶなどが紅潮し、頭痛、じんましんなどの症状を呈する。たいてい6~10時間で回復する。

今回の山梨県のヒスタミン食中毒は、6つの保育所で、共通の食材であるマグロの「味噌がらめ」が原因で発生し、患者数はその後増え、92人(園児87人、職員5人)となった。

●化学物質ヒスタミンが原因

マグロ類、カツオ類、サバ類などの赤身魚にはヒスチジン(アミノ酸の一種)が多く含まれ、常温に放置するなど不適切な取り扱いをすると、付着していたヒスタミン産生菌が増殖して作用し、ヒスチジンからヒスタミンが生成される。ヒスタミンは熱に強く、加熱調理しても分解されない。魚の缶詰であっても、ヒスタミンが高濃度で検出されて回収となった事例もある。

ヒスタミン食中毒は、化学物質による食中毒に分類される。ヒスタミンの生成にはヒスタミン産生菌という微生物がかかわるが、ヒスタミン自体は化学物質だからだ。

化学物質による食中毒というと、原因は残留農薬などが多いかと思いがちだが、そうではなくて、実はヒスタミン食中毒が多い。厚労省資料(下図)によると2017年では、化学物質による食中毒は9件で、食中毒全体(1,014件)の1%にも満たないが、9件中8件がヒスタミンによるものだった(残る1件は日本酒と誤って提供された厨房用洗剤が原因)。

●患者の大半が14歳以下

気になるのは、保育園や学校など、子どもたちの給食の場で、ヒスタミン食中毒の発生が目立つこと。患者数も、成人よりも子どもたちが多い。2006~2015年の10年間では、ヒスタミン食中毒の患者総数が2,252人で、そのうち1~4歳が536人と、約4分の1を占めている。0~14歳では、全体の6割を超えてしまうほどだ。

今回の山梨県の保育所での食中毒でも、職員(30歳代から60歳代)は112名が喫食し、患者は5名だけなのに対し、園児(0歳~5歳)は590名が喫食し、患者は87名。子どもたちが多く発症している。

●食中毒を発症する摂食量は

食品中のヒスタミン濃度について、規制値は設定されていないが、食中毒を発症するのは食品100g当たりのヒスタミン量が100㎎以上の場合とされており、摂取量としては、過去の食中毒事例から計算して22~320㎎とされている。ただし、これはおとなひとり当たりの量なので、子どもはより少ない量で発症する可能性がある。

●食中毒を予防するには

温度管理をきちんとすることが基本だが、給食の場合では、食材の納入時に品温を確認したり、品温が高い場合はどうするかなど決めておくことも必要だろう。規模の小さな保育所など、やりにくいところもあるかもしれないが、給食関係者は食中毒予防対策についてよく知っておいてほしい。

食材が納入された時点ですでに汚染されていた場合など、試食により予防できる可能性もある。試食もきちんとしてほしい。下記は東京都HPに示された予防のポイント。

【ヒスタミン食中毒予防のポイント】
・ 生の赤身魚は常温で放置してはいけません。冷蔵でも、長期間の保存でヒスタミンの量が増えることがあります。冷蔵の場合でも、できるだけ早く食べてください。
・ 赤身魚の干物など加工品も、低温保存してください。
・ 冷凍した赤身魚を解凍する時は、冷蔵庫で解凍するなど、可能な限り低温で短時間のうちに解凍してください。凍結と解凍の繰り返しは避けてください。
・ 食品中にヒスタミンができていても、外見の変化や腐敗臭はありません。しかし、ヒスタミンが大量にできていると、食べたときに舌が「ピリピリ」することがあります。香辛料によるものでなければ、食べるのをやめてください。

参考

厚生労働省 ヒスタミンによる食中毒について

東京都 ヒスタミン食中毒の特徴/給食施設での ヒスタミン食中毒予防のポイント

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