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今月の質問箱|瀬古 博子

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プロフィール
消費生活アドバイザー。食品安全に関する広報業務に従事して十数年。個人の考えを書いています

鶏肉の生食も怖いわけ

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2011年5月10日

 富山、福井両県で発生した集団食中毒に関して、さらに被害の拡大が報じられています。いたましい限りであり、あらためて食中毒のおそろしさを思い知らされています。
 食中毒の患者数は毎年2万人を超えています。2006~08年の3年間で、合わせて17名の方が亡くなっています。09年と10年は、食中毒による死者はゼロとなっていたのですが、今年は今回のような深刻な集団食中毒事件が起きてしまいました。
 今回の食中毒事件に関し、牛肉の生食と腸管出血性大腸菌については、新聞等がいろいろな報道を行っています。しかし、牛肉や「ユッケ」の情報が中心のようです。

●生食のリスクは牛肉だけではない

 食中毒事件の発生件数で毎年第1位または第2位となるのが、カンピロバクターという細菌による食中毒です。カンピロバクターは、鶏をはじめとして、牛、豚などの腸管内に生息しています。食中毒の原因となる食品は肉が特に多く、その他、牛レバーなど、鶏以外の食肉や内臓で起こることもあります。

 カンピロバクターによる食中毒は、潜伏期が1~7日と長く、下痢、腹痛、発熱、頭痛、全身倦怠感などの症状を起こします。死亡率は低いのですが、合併症として神経疾患のギラン・バレー症候群などを起こすことがあります。ギラン・バレー症候群は、急激に手足の筋力が低下し、症状が進行する病気で、大部分の患者は症状が軽快するものの、一部の方は後遺症が残るといわれています。2年前に亡くなった女優の大原麗子さんが、一時この病気のために仕事を休んでいたと伝えられたこともあり、この病名をご存じの方も多いと思います。

 では、カンピロバクターの食中毒はどのようにすれば予防できるでしょうか。流通段階の鶏肉、鶏の内臓ではだいたい30%以上の割合でカンピロバクターが付着しているとされています。また、カンピロバクターは、菌の量が少しだけでも発症すると考えられています。しかし、カンピロバクターは加熱に弱く、65℃数分間以上で死滅します。したがって、「加熱」が予防のポイントになります。

・鶏さし、鶏わさなど鶏の「生食料理」を食べない
・鶏レバさしなど内臓の「生食料理」を食べない
・湯引きした鶏など半生の料理を食べない
・調理する際は、鶏肉は十分火を通す。加熱不十分な状態では食べない
・調理する際は、肉を切った包丁、まな板から菌が他の食品に移らないようにするなど、衛生管理に注意する

などのことが、カンピロバクターによる食中毒の予防対策として有効です。

 これから食中毒が増える季節です。鶏に限らず、牛なども含めて、肉や内臓の生食は「しない・させない」ことでリスクを低減していきましょう。

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