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めんどな話になりますが…|松永 和紀

どんなコラム?
職業は科学ライターだけど、毎日お買い物をし、家族の食事を作る生活者、消費者でもあります。多角的な視点で食の課題に迫ります
プロフィール
京都大学大学院農学研究科修士課程修了後、新聞記者勤務10年を経て2000年からフリーランスの科学ライターとして活動

6. わかめ上級者は、産地によって使い分け〜わかめをめぐる9つのストーリー

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2014年4月5日

Q.三陸産と鳴門産、どちらが上質?
A.海の条件や養殖方法の違いなどにより、味に特徴が産まれます。どれがいいかはお好み次第

 味噌汁に小さなペラペラのわかめが2、3片。気のおけない食堂のまさに定番ですね。だしに味噌を溶いて、刻んだネギを少し、乾燥わかめをパラッ、で立派な汁ものになります。こうした使われ方をすることで、日本人のわかめの消費は急増しました。食堂にとっても、便利このうえない食材です。でも、これではわかめのお味はよくわからないかもしれません。

理研食品資料、「CraftMAP」(http://www.craftmap.box-i.net/)提供の地図素材を基に作成

理研食品資料、「CraftMAP」(http://www.craftmap.box-i.net/)提供の地図素材を基に作成

 わかめ、実は産地によって味、食感に大きな違いがあるのです。
 理研食品によれば、三陸産わかめは葉が厚めでシャキシャキとした歯ごたえ、わかめの味をしっかりと楽しむ刺身やサラダ、酢の物などにお勧めです。一方、鳴門産は滑らかでしっかりとした食感。もちろん、サラダや酢の物などによいのですが、春のお楽しみ、竹の子と合わせた若竹煮がやっぱり絶品だとか。

 海の条件や養殖縄で育てる場合の苗と苗の間隔、どの程度の沖合で養殖するかなどによって、葉の形や厚さなどに違いが出てくるそうです。それが、産地によるわかめの味わいの違いにつながるわけです。

 昔から日本と同様にわかめを食べていた韓国でも、おいしいわかめができています。特徴は、滑らかでツルッとした歯ごたえ。韓国ではわかめスープは、お産のあとに3週間、回復食として伝統的に毎日食べるもの。体力が回復してお乳の出もよくなる、という言い伝えがあるとか。機能性の研究もとても盛んです。

 一方、中国ではもともと、わかめは食べられていませんでした。しかし、こんぶの養殖は盛んで、1970年代には日本や韓国むけのわかめの養殖も始まったようです。
 自分達は食べないだけに、中国は品質ではなく量を多くとることを重視しがち。養殖密度が高かったり、水温が低い海域で無理して長く養殖したり、さまざまな条件が品質を左右します。でも、輸出相手国である日本側の指導に基づき改善を図り、十分に間引きをして養殖された中国産の品質は高く、軟らかい食感が特徴だとか。

 理研食品で、いろいろな産地のわかめを試食させていただきました。同社は、価格や食べ方に応じて、さまざまな産地を使い分けて、多種類の製品を作っています。
 確かに、料理によって適した産地があるように思いました。三陸産は、圧倒的な食べ応えがあります。それが、すべての料理に合う、とは言い難いのです。同じスープに乾燥三陸産わかめと、乾燥中国産わかめを入れたものをそれぞれ味わってみました。同じわかめ、同じ量なのになんだか違う。中国産の方が、ツルッとするする食べられました。三陸産になると、ちょっとわかめのインパクトが強すぎるかなあ、という感じ。
 これはもちろん、私の主観。それに、スープが変われば印象も異なることでしょう。このあたりが、料理の面白さです。あなたも産地、使い分けてみませんか?

 それにしても、気になるのはやっぱり、輸入量が急増している中国の動向です。中国産の品質はピンからキリまで。その品質の幅は、日本産や韓国産の比ではない、というのが、日本のわかめ関係者の率直な意見です。では、どう違うのか? 次回、具体的に説明しましょう。

<参考文献>
「わかめ入門」(日本食糧新聞社)
理研ビタミン資料

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