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めんどな話になりますが…|松永 和紀

どんなコラム?
職業は科学ライターだけど、毎日お買い物をし、家族の食事を作る生活者、消費者でもあります。多角的な視点で食の課題に迫ります
プロフィール
京都大学大学院農学研究科修士課程修了後、新聞記者勤務10年を経て2000年からフリーランスの科学ライターとして活動

輸入食品の安全性シンポジウム 10月11日午後、練馬区役所で

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2014年10月9日

 また、週刊文春が中国製食品警告キャンペーンを始めた。「学校給食に中国産を使っているのはけしからん」という内容だ。
 今回は、中国産に加えて、「あなたの子どもが知らずに食べている」というキャッチコピー。文中には「未来を背負う子どもたち」というフレーズも。相変わらず、読者の興味を引くのがうまい。

 海外で作られる日本向けの食品については、多くの場合、日本の商社や食品メーカー等が指導や管理・監視をしており、中国産の十把一絡げの扱いには無理がある。中国からの輸入件数が多いのでたしかに違反件数も多いが、違反の割合は諸外国平均より低い・・・。そんなことをFOOCOMで繰り返し書いてきた。だが、「中国だからダメ」のわかりやすい主張はやっぱり強い。

 そうはいっても、その単純さは結局、私たちのためにならない、と思うのだ。たとえば今回とりあげられた給食。給食費はどの自治体も1食二百数十円だ。この額で食材費と光熱費の一部、食材の検査費などのランニングコストをまかなうのが普通だ。中国産はやめろ、と高らかにうたうのはよいが、中国産をやめてどこ産のものを買うのか。

 国産に切り替えれば確実に食材費は上昇する。安く地元産を購入できる地方自治体ならともかく、都会で、品質が均一、規格も均一の国産食材を大量に、しかもずいぶん前に決められた献立表通りに確保するのは、意外に難しい。調達できるにしても、コストが跳ね上がる。
 産地を追求して、その分上昇した給食費を保護者が負担できるのであればよいだろう。だが、そんなご時世ではないのはご承知のとおりだ。では、自治体が負担するのか? そんな余力はあるのか?

 今までどおりの食材費の額でまかなうとして、中国産食材の代わりに2倍、3倍の価格の国産食品を購入すれば、別の食材はより安いものを買わざるをえない。あるいは、高い食材を使うメニューは献立表から外す、ということも考えなければいけないだろう。それは、給食全体の質や安全性の低下に直結するのではないか。

 
 もう少し問題を俯瞰して見てもよいのでは、と思う。私も子どもを公立校に通わせ給食のお世話にもなったけれども、母親として言わせてもらえば、その中国産食材が危険、という根拠はないのに中国産バッシングにより給食全体が栄養学的に貧しくなる、とか、味がまずくなる、という構図は勘弁してほしい。週刊誌が売らんかなで中国産たたきをするのは結構。でも、実生活者はもう少しきちんと地に足を着けて、問題を考える必要がある。

 その際に参考になりそうなシンポジウムが11日(土)、練馬区役所である。区主催で、輸入食品の安全性をテーマにリスクコミュニケーションを行う。実にタイムリーな企画だ。

 まず、厚労省輸入食品安全対策室長の三木朗さんが「輸入食品の安全性確保について〜最新の状況と今後の動向〜」と題して基調講演する。三木さんはたしか、マクドナルドやファミリーマートで問題になった上海福喜食品の使用期限切れ鶏肉問題でも、中国側と協議したはずだ。
 
 日本向け食品が海外でどう作られ、どのような手続きを経て輸入されるのか、検査をどのような考え方に基づき実施しているのか、検査以外の監視・指導の方法をどう組み合わせているのかなど、解説してくれるだろう。

 その後に、パネルディスカッションがあり、三木さんのほか東京都の担当者、事業者業界を代表として「日本輸入食品安全推進協会」の方、それに地元消費者団体からお一人が登壇する。私がコーディネーターとなり、議論する。

 中国産に賛成とか反対とかを言う前に、知るべきことを知りましょう、というのがシンポジウムの主旨である。輸入検疫にしても、事業者による自主的なチェックにしても、当然完璧ではない。しかし、相当に緻密な取り組みがなされている。

 そして、これは断言するが、国産食品の衛生管理や残留農薬検査などよりも、日本に入ってくる中国産食品に対する指導管理の方がはるかに厳しく、検査頻度も高い。それは、国や自治体、企業などの取り組みについて、おしなべて言えることだ。

 事実を知ってから、輸入食品をどうするか、中国産にどのように対応するか、考えてもよいのではないか。来場者からの質問にも応じる。遠慮なく、三木さんや登壇者に尋ねてほしい。中国産に不安を抱いている方々にぜひ、11日のシンポジウムに参加いただきたい。

練馬区食の安全・安心シンポジウム 
日時:10月11日(土)午後2時〜4時
場所:練馬区役所地下多目的会議室
参加費:無料
参加申込み:9日までとなっているが、まだ空席があり、当日参加も可能

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