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GMOワールドⅡ|宗谷 敏

どんなコラム?
一般紙が殆ど取り上げない国際情勢を紹介しつつ、単純な善悪二元論では割り切れない遺伝子組 み換え作物・食品の世界を考察していきたい
プロフィール
油糧種子輸入関係の仕事柄、遺伝子組み換え作物・食品の国際動向について情報収集・分析を行っている

米国各州のGM食品表示法案と住民発議の現状(下)

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2013年10月18日

 米国各州で検討が進んでいる遺伝子組換え(GM)食品表示関係の動きを整理し、3月11日18日に纏めたものの半年後を探っている。

 以下は、個々の州別の動き(ABC順)、年号がない月日はすべて2013年。連邦議会とアラスカ州からミネソタ州までの動きを追った上編から続く。

<中西部ミズーリ州>

2015年9月1日までに、州内で生産され、ヒトの消費のために販売されるすべての肉と魚製品にGM表示を必要とする法案SB155が、Jamilah Nasheed上院議員から1月に提案され、農業・食糧生産・屋外資源委員会でペンディング。穀物主産地なので、作物類は問題としないらしい。

<西部ネヴァダ州>

 5名の下院議員が支持したGM食品表示法案AB330は、保健福祉委員会が承認せず4月13日に廃案となった。

<東部ニューハンプシャー州>

 5人の下院議員が支持する2014年7月1日からGM食品と農産物に表示を必要とする法案HB660が1月3日に提案され、2月28日に環境と農業委員会を通過、小委員会が審議中だが2014年1月に下院の投票が見込まれている。

<東部ニュージャージー州>

 下院で、2012年5月21日に提案され5人の下院議員が支持した州内で販売されるGM成分を含むすべての食品への表示を義務づけるA2955が、消費者問題委員会でペンディング。
 上院でも、同じ主旨のS1367が、2012年2月6日に提案され8人の上院議員が指示を表明しているが、こちらは上院健康・社会福祉と高齢者委員会でペンディング。
 さらに下院では、2012年7月30日に提案され下院議員10名が支持する上記2法案と同趣旨のA3192が、委員会で審議中だ。
 2012年1月10日に提案され下院議員3名が支持するクローン動物と子孫由来食品への表示を必要とするA1192も、下院健康と高齢者委員会が審議中だ。

<南西部ニューメキシコ州>

 Peter Wirth上院議員がGM食品表示法案SB18を提出し、1月15日に上院社会問題委員会を5票対3票で通過した。しかし、上院は1月18日に社会問題委員会報告を採用しないことを票決し廃案とした。

<北東部ニューヨーク州>

 47名もの州議員が支持していたにも拘わらず、GM食品表示法案A3525は、6月3日に立法委員会の票決で否決された。
 9名の上院議員が支持したGM表示すべき食品を明確化するS3835は、上院消費者保護委員会で5月8日からペンディング。

<西部オレゴン州>

 2002年11月5日に全米初のGM食品表示義務に対する州民投票が実施されたが、7割以上が反対し法案導入は見送られた。
 下院議員4名が支持するGM食品表示法案HB2532が1月に提案され、下院農業と天然資源委員会が審議中だ。
 郡にGM製品を禁止する地域を確立する権限を与えるHB2715、州内におけるGMアルファルファの栽培を禁止するHB3290、一定の安全性条件を満たさないGM作物の栽培や流通を禁止するHB3292、GM表示無しにGM魚の販売と消費を禁じるHB3177なども、下院農業と天然資源委員会が審議中。
 一方で州議会は、市や郡など地方によるGM規制を禁止するSB863を、賛成17票、反対12票、棄権1で10月2日に議決し、州知事は10月8日に署名した。これによりレイン郡とベントン郡はイニシャティブを阻止されるが、既に1月10日に2014年5月のGM栽培禁止住民投票が決まっているジャクソン郡は除かれる。

<東部ペンシルヴェニア州>

 3月12日Daylin Leach上院議員らが提案し、上院議員12名が支持するGM食品表示法案 SB653が、上院農業・農村委員会でペンディング。

<東北部ロードアイランド州>

 下院議員5名の支持を得たGM食品表示法案H5278が、2月6日に、 2名の下院議員によるGM食品表示法案H5849が3月6日に、各々提案されたが、下院保健・教育と福祉委員会が両法案はさらに研究が必要として4月24日に保留。

<南部テネシー州>

 Frank Nicely上院議員とJoe Towns下院議員が、2月に連名でGM食品表示に関する法改正を目的とした同僚法案SB894HB1168を提案した。上院は総務小委員会で、下院は農業・天然資源小委員会が継続審議中。

<東部ヴァーモント州>

 2011年と2012年に下院がGM食品表示法案立法を試みたが、いずれも失敗している。2012年は4月20日に下院農業委員会が9票対1票で法案を通過させたが、バイテク産業ロビイストが州政府に訴訟を警告したため、州議会は法案を廃案とした。
 2013年は47名の下院議員が支持するGM食品表示法案H112が1月に提案され、3月1日に農業委員会を8票対3票、5月7日に司法委員会を7票対4票で通過した。5月7日、下院は99票対42票でこの法案を可決した。上院の審議は次の会期からとなる。
 上院でも、上院議員11名が支持するGM食品表示を含むGM規制改正案S89が、上院農業委員会でペンディングになっている。

<西部ワシントン州>

 今や全米で最大の関心事となっていて報道量も多いのが、11月5日に住民投票が行われるGM食品表示を求める住民発議Initiative522だ。Yes on 522No 522が、各々470万ドルと1,720万ドルという高額な寄付金を集め熾烈なPR合戦を展開している様は、1年前のカリフォルニア州のProp.37の再現である。
 事前の世論調査は圧倒的に賛成が多く、一方で有力地方紙が反対を表明していることなどもProp.37と似ている。大きな論点の一つはコスト問題だが、州政府の諮問に答えて10月9日公開された同州科学学会の報告書は、州政府の管理コストは高額で、食品価格も上昇するがどの程度かは不明と述べた。

 州議会の動きとしては、1月に上・下院で、表示を含むGM規制を郡や市の地方自治体に許す改正法案としてHB1407SB5167が提案されているが、下院農業と天然資源委員会と上院農業・水資源と地方経済開発委員会で各々ペンディングになっている。
 上院では、1月に提案され5人の議員が支持するGM食品の情報開示に関する法案SB5073も、農業・水資源と地方経済開発委員会でペンディング。
 なお、サンフワン郡(人口約16,000人)は、2012年11月6日の住民投票で、GM作物郡内栽培禁止令Prop.2012-4を、賛成5,183票対反対3,329票で成立させている。

<東部ウェストヴァージニア州>

 2月13日に、Mike Manypenny下院議員が提案したGM食品表示法案HB2153が、下院農業委員会でペンディングになっている。

 以上、農業州が並ぶ中西部も含めて地方自治体内部ではGM食品表示を巡り激しい動きがあることが分かる。もちろん注目は、11月5日ワシントン州のI-522州民投票だ。もし、これが成立すれば、国政も含めて様々なリアクションが加速すると思われる。

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