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虫愛でる爺|池田 二三高

どんなコラム?
定年退職後も静岡県を中心に各地で害虫防除を指導している筆者が、虫の発生や生態、被害を受けた作物を見事にとらえた写真でつづる虫エッセイ
プロフィール
1941年静岡県生まれ。65~2001年、静岡県農業試験場、病害虫防除所などで農作物害虫の発生生態や防除法の研究に従事

カブラヤガ・幼虫はネキリムシの真犯人

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2011年4月14日
カブラヤガの成虫

カブラヤガの成虫

 ネキリムシと呼ばれる犯人は色々あり、その被害も様々です。本当に根や芋だけを食害するのはコガネムシの幼虫です。秋に大根の発芽直後の茎を食べるのはエンマコオロギの成虫で、これもネキリムシと呼ばれることがあります。多くの場合は、野菜や花の苗を植えた翌日株元を切断されたり、種子の発芽後の細い茎を囓られ枯れてしまったという被害が多いでしょう。これは、カブラヤガやタマナヤガの幼虫による被害です。一般には農耕地ではカブラヤガが多く、牧草地やゴルフ場ではタマナヤガが多いので、家庭茶園でネキリムシの犯人と言えばカブラヤガになります。

カブラヤガ成熟幼虫

カブラヤガの成熟幼虫

  カブラヤガの成虫は、イネ科雑草の葉に産卵するので幼虫はその葉を食べて育ちます。小さな幼虫は日中でも葉にいますが、大きくなると昼は土中に潜り夜行性となり食害量も多くなります。葉を食い尽くすと周りの広葉雑草の葉も食べ、更にそれらがなくなると根まで食害を始めます。口器が丈夫のためどの植物でも食害可能です。日本の大地は、更地にしても直ぐに色々な雑草が生えてくる豊穣の大地で、これは世界に誇れる自然財産です。

幼虫に根元を切られたキャベツ

幼虫に根元を切られたキャベツ

 イネ科雑草は必ず生えるので、カブラヤガはどこで発生しても不思議ではありません。キャベツ苗の定植準備で丁寧に雑草を抜き十分に耕耘すると、この圃場にいたカブラヤガの幼虫は餌なしになります。すると、そこに定植されたキャベツの苗は幼虫にとっては格好の餌になり、葉は食害され茎は囓られたり切断されて被害発生です。当然のことながら、カブラヤガの幼虫はネキリムシと言う悪名になります。

刺激を受けると丸くなる幼虫

刺激を受けると丸くなる幼虫

 被害株の周りの土中を掘り大きな黒っぽい幼虫が見つかったら、これがネキリムシの正体です。被害にあわれた方は、こんなに大きな幼虫が耕耘や定植作業の中でどうして見えなかったのだろうかと言われます。ネキリムシは大きくなると体色は土と似た色になり、昼は土中で身をひそめています。ところが除草や耕耘時に体が地表に出されると、くるりと曲がり数分間も動かなくなります。その姿は小さな土塊や小石とよく似ています。擬態と保護色と夜行性で身を守っています。ネキリムシは見つからないように、いくつもの自衛手段を持っています。
 
 防除対策は、常日頃圃場に雑草を繁茂させないことが一番です。繁茂したら根まで枯れる除草剤を散布して、土中のネキリムシが絶食死する約2週間後から耕耘し、播種や定植をすることです。

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