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虫愛でる爺|池田 二三高

どんなコラム?
定年退職後も静岡県を中心に各地で害虫防除を指導している筆者が、虫の発生や生態、被害を受けた作物を見事にとらえた写真でつづる虫エッセイ
プロフィール
1941年静岡県生まれ。65~2001年、静岡県農業試験場、病害虫防除所などで農作物害虫の発生生態や防除法の研究に従事

コナガ 害虫になった歴史は浅い

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2011年6月16日
Diamondback moth imago

前羽に白い菱形の斑紋が鮮やかな雄成虫

 コナガはアブラナ科の野菜や花を食害する重要害虫です。雄成虫の羽には白い波形の模様があり、上から見ると菱形(ダイヤ)が連なって見えます。英名のダイヤモンドバックモスは、この斑紋の特徴から命名されました。

Diamondback moth-larva1

1齢幼虫が葉肉を潜行食害後に現れた絵描き症状(チンゲンサイ)

 幼虫は新芽、葉、花や蕾も食害するので、被害症状は様々です。新芽を加害すれば芯止まりになります。孵化幼虫は葉肉に潜って食害することがあり,葉が柔らかく葉肉の厚いチンゲンサイでは小さな絵描き症状の被害が生じ、ハモグリガの初期被害と間違われることもあります。

Diamondback moth larva2

太い葉脈と葉表の表皮が残ったチンゲンサイの被害症状

 2齢以降の幼虫は、葉裏から葉表の表皮を残して食害する性質が強いので、表皮の硬い野菜類では中肋(ちゅうろく、葉の中央を縦に通っている葉脈)や太い葉脈を残した、透けた葉の症状になります。

Diamondback moth stock

株全体が幼虫に食害されたストックの被害症状

 花のストックもアブラナ科のため、時にこの被害を受けることがあり、葉も蕾も食害され株全体がぼろぼろになることもあります。

 台湾やタイなどに多いことから亜熱帯性の害虫と言われていますが、暑さには弱いようで、日本では夏の発生は少なく春や秋に大発生をします。低温にはかなり強いので、関東以南の地方では冬でも発生が見られます。長距離を移動する害虫とも言われているので、夏季には北海道まで発生することがあります。また、農薬抵抗性を獲得しやすい性質があるので、アブラナ科野菜の産地では常に気になる害虫の一つです。

 現在は全国どこでも発生していますが、昔は、大根やキャベツの重要害虫ではありませんでした。静岡県の記録では、農作物の害虫として登場するのは昭和35年(1960年)からです。それも局地的で、全県に発生が恒常的に見られるようになったのは1970年代です。ダイコンの栽培の歴史は古く、戦中戦後の時代は今以上に家庭菜園も多く、全国いたる所でアブラナ科野菜を栽培したはずです。しかし、そうした時代にもコナガは害虫としては登場していません。コナガが増えていった原因はよくわかりませんが、時代により害虫の種類も変わるという典型的な例です。

(写真をクリックすると、大きな写真が見られます)

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