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虫愛でる爺|池田 二三高

どんなコラム?
定年退職後も静岡県を中心に各地で害虫防除を指導している筆者が、虫の発生や生態、被害を受けた作物を見事にとらえた写真でつづる虫エッセイ
プロフィール
1941年静岡県生まれ。65~2001年、静岡県農業試験場、病害虫防除所などで農作物害虫の発生生態や防除法の研究に従事

マメコガネ アメリカでトウモロコシの害虫になった日本の固有種

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2011年9月8日
Japanese beetle imago

マメコガネの成虫。体は硬く、玉虫色の金属光沢がある

 マメコガネは、体長11mm程度で、玉虫色の金属光沢を放つ綺麗な甲虫です。成虫は年に1回発生し、6月から9月まで長期にわたって見られます。成虫は土の中に産卵し、幼虫は植物の根や芋、腐食部分を食べて成長するので、時々農作物に大きな被害を与えることもありますが、最近は大きな被害を聞いたことがありません。
 ところが、日本ではなく、今年はアメリカのイリノイ州やミズリィ州では大発生しているとの情報を松永和紀さんから頂きました。(stltodayの記事「Japanese beetles threaten gardens and crops in Missouri, Illinois」
 それを読んだところ興味のあることが二つほどありました。

Japanese beetle larva

卵と1齢幼虫。卵は白く弾力がある。幼虫は胸脚が発達し活発に動く

 マメコガネは日本固有種ですが、1916年にアメリカのニュージャージーに持ち込まれて定着しました。その後は何年かに一度、農作物や家庭の芝、花壇に大害を与え、昔からジャパニーズビートルと呼ばれて、侵入害虫の代表的悪役として恐れられています。
 元来広食性ですから、アメリカに渡っても何か食べる植物はあるはずで、以来したたかに生きながらえているのでしょう。今年は、アメリカの主要作物である大豆畑とトウモロコシ畑で成虫が大発生したので、それで大騒ぎをしているようです。マメコガネは日本でも大豆害虫ですが、トウモロコシを囓ったという事例を筆者は聞いたことがないので、これには驚きました。

Japanese beetles-rose

バラの葉の被害。葉脈を残して網目状に食害する

 侵入害虫が母国と違った食性を示すことは多々ありますが、アメリカのマメコガネもその例にあたります。実は日本でも非常に多くの侵入害虫が発生し、色々の農作物に被害を与えており、これとよく似た事例もあります。この現象は害虫学的に見ても不思議なことですが、その理由ははっきりしていません。

 もう一つの興味は、発生予察についてです。アメリカでもマメコガネが侵入して約百年経ち、ずっと重要害虫だと言われ続けているので、未然に発生を予察する技術を研究しているはずです。しかし、記事を読む限り、どうもまだ確立されていないように思われます。
 マメコガネを含めコガネムシ類の食性は、成虫と幼虫では多くの場合、一致しないので、大豆畑やトウモロコシ畑に飛来した成虫は、幼虫時代は別の植物で発生しています。しかし、幼虫は土中におり広食性でもあるため、どこでどのくらい発生しているのか、日本と同様アメリカでもその実態把握に苦しんでいるようです。マメコガネの発生予察技術の確立は、やはり難しい。そのことを、アメリカの記事から改めて思い知らされました。
(写真をクリックすると、大きな写真が見られます)

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