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虫愛でる爺|池田 二三高

どんなコラム?
定年退職後も静岡県を中心に各地で害虫防除を指導している筆者が、虫の発生や生態、被害を受けた作物を見事にとらえた写真でつづる虫エッセイ
プロフィール
1941年静岡県生まれ。65~2001年、静岡県農業試験場、病害虫防除所などで農作物害虫の発生生態や防除法の研究に従事

アブラムシの天敵 ナミテントウ

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2013年3月28日
Harmonia axyridis imago

成虫

colony

越冬集団

Harmonia axyridis larva

アブラムシを捕食中の1齢幼虫

larva&Aphidoidea

アブラムシを捕食中の成熟幼虫

 ナミテントウは昔から呼ばれていた「テントウムシ」のことで、最近はこのように呼んでいます。ナミテントウは、同じ種でありながらハネ(翅)の模様は千差万別で、星(斑紋)が何もない黒一色から多数の星がある個体もあり、体色もカラフルです。越冬時に1カ所の集まった集団を見ると、形態の特徴が理解出来ます。

 ナミテントウは、庭、公園、畑、果樹園、荒れ地、雑木林など、人間の生活圏では何処でも見られる最も馴染みの昆虫です。成虫も幼虫もアブラムシを食べる天敵で、野外ではアブラムシが発生する4月から10月まで見られます。

 成虫は越冬に入る前に、家屋、コンクリート壁、石垣、採土地、崖など太陽の直射を受ける明るい場所に、数日間集まると言う珍しい行動が見られます。山地ではこうした明るいところは少ないので、白壁のある家は成虫の格好の集合場所になります。

 そこに白い洗濯物や布団があれば、多数の成虫が群がることもありますが、洗濯物に入って家の中に持ち込まれることはありません。本来の越冬場所は、そこからちょっと離れた石垣の中、家の戸袋や物置など暗い所です。写真は物置の木箱に集合した越冬成虫の一団です。一見すると体色や星(斑紋)が異なるので、多くの種が集まってきたように見られますが、全てナミテントウです。

 越冬成虫は4月に入ると越冬場所から離れ、アブラムシの群がる花や新芽に集まり天敵として活動を始めます。成虫も幼虫もアブラムシを食べるので、アブラムシはあっという間に減ってしまいます。近年、害虫防除で天敵を保護しようという機運がたかまっていることから、このナミテントウは某社が天敵昆虫として市販する予定で、その効果が期待されます。

 しかし、ナミテントウの幼虫は親とは似つかぬ形態をしていて、グロテスクに見えるので、気味が悪い虫、害虫かもと間違えられて叩きつぶされる悲劇も生じます。親子が極端に違うのが、昆虫の特徴でもあります。天敵の役割を発揮させるには、成虫と幼虫の姿形を正確に覚えることも大切です。
(写真をクリックすると、大きな写真が見られます)

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