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新・斎藤くんの残留農薬分析|斎藤 勲

どんなコラム?
残留農薬分析はこの30年間で急速な進歩をとげたが、まだまだその成果を活かしきれていない。このコラムでは残留農薬分析を中心にその意味するものを伝えたい
プロフィール
愛知県衛研や東海コープ等で食品分析に40年近く従事。2015年度より日本農薬学会レギュラトリーサイエンス研究会にも関わる

「皮付」桃子さんが農薬専門学校に転入してきた

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2013年9月20日

 今年の8月6日国からの連絡で、新たに農薬専門学校に「皮付」桃子さんが転入してきた。農薬専門学校は140人を超える生徒がおり、研修の場所としてはアセフェート組、アセタミプリド組など800を超える研修場所を持っており、生徒や研修場所の増減もしょっちゅうで先生も正確な数を把握できないのが実情である。しかし、桃家の子供はもともと「皮無」で生活をしており、皮付桃子はピリメタニル組の仕事のために入ってきた異例の子である。

 ピリメタニル組の仕事は少し変わっており、通常の農薬としての仕事以外に食品添加物(防かび剤)としての仕事も兼ねることになった。畑で収穫した後に仕事をした場合、この国では農薬と呼ばず食品添加物と呼ぶ規則になっているからだという。ややこしいのは、2005年に農薬の仕事をこの国では辞めたが、他の国ではやっているらしい。更に、他の国では桃家の子供はどのクラスの仕事も「皮付」でおこなっており、ほかの国のこの生活スタイルに合わせて「皮付」となったが、他の仕事の時は皮無のままである。

 話がややこしくなるのはこれからである。毎年、みんながきちんと仕事をしたかどうかを全クラスあげて一斉にテストすることが最近では多くなっている(これを残留農薬多成分一斉分析という)。通常、桃家の子供は皮無のスタイルで試験を受け、データで良し悪しの評価をされる。そうすると今回桃家のピリメタニル組は皮付スタイルに変更されたので、皮無では判定ができなくなり、再度別室で試験を受けることになる。2度手間となってしまう。

 学校も運営が厳しい中、たくさん試験をする余力はないので、一斉テストの結果で判断しようとすると、桃家の子供の成績は皮無スタイルでやって多くの農薬としての仕事を評価し、ピリメタニル組の仕事は皮無での判定なので、参考データとして取り扱うしかないだろう。一斉分析で桃家の子供から微量のピリメタニルが検出されたら、皮付で再度基準を超えていないかどうか判断する必要が出て来る。

 また、食品添加物の防かび剤としての仕事は、売り場から近い仕事なので残っている濃度も高い可能性があり、流通時に商品選別の段階で桃家以外の商品に移染して、この国では仕事をしては駄目なのに、ピリメタニル組の仕事をしたような誤認される危険性も出てくる。

 今後、海外との関係が増えていくが、検査する部位の異なるものはややこしい。桃家のピリメタニルの場合は皮付のように検査する部位が変更されるものも出てくるので、それに応じて基準値を変更する面倒な作業も発生するだろう。

 ことほど左様に、一人の「皮付」桃子の転入のために、農薬専門学校の運営が厄介なものになり、一斉試験をする現場の先生たちは試験項目の取り扱いで困っている。

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