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新・斎藤くんの残留農薬分析|斎藤 勲

どんなコラム?
残留農薬分析はこの30年間で急速な進歩をとげたが、まだまだその成果を活かしきれていない。このコラムでは残留農薬分析を中心にその意味するものを伝えたい
プロフィール
愛知県衛研や東海コープ等で食品分析に40年近く従事。2015年度より日本農薬学会レギュラトリーサイエンス研究会にも関わる

有機リン剤アセフェートの残留基準が改正、使えなくなる作物も

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2018年11月23日

2014年頃から残留農薬の急性参照用量(ARfD)を用いて、短期暴露評価を行う取り組みが進んでいる。短期暴露評価には、個別の食品の摂取量の97.5パーセントタイル値に、作物残留試験成績における最大残留濃度(試験成績3例以下は残留基準、日本の場合はこの事例が多い)を掛け合わせてARfDと比較して判定する。残留基準が高く、かつ最大摂取量が多いものは、削除または使用時期、使用変更が行われることとなる。

この方法により有機リン系殺虫剤アセフェートの短期暴露評価も行われ、作物残留試験3例以下なので残留基準を用いて計算すると、急性参照用量を少し超える値となる作物があり、対応が必要となった。実際のところ、作物残留試験を4例以上行って最大残留値で評価すればARfDを超えることはまずないが、今さらお金をかけて試験を行って登録を更新しても、それほど儲からなければメーカーはすぐに登録抹消にしてしまう。

このため、家庭園芸でも普通に使われていたアセフェート(商品名オルトラン、ジェイエース等)が、水和剤はかんきつ 、トマト 、ミニトマト 、ブロッコリー 、なす 、だいこん、かぶ 、はつかだいこん、粒剤はミニトマト 、はつかだいこんで使えなくなり、話題となった。

農薬の登録は農薬原体ではなく、それぞれの使い方の異なる薬剤で登録申請が行われるので、こういった対応となる。粒剤は根元にパラパラと撒いて根から吸収されて作物全体に移行するので、上から散布する薬剤と違い初期の高濃度の残留はすくないが、後から作物中濃度が上がってくる。

これら適用削除や使用方法変更を受け、今年10月18日厚生労働省は食品衛生法第11条の規格基準で、アセフェートや分解物又は海外では使用されるメタミドホスについて、対象食品と残留基準値の改正を通知した。

内訳は、農薬の適用が削除されたかんきつ、ウリ科野菜(キュウリを除く)、セロリなどセリ科野菜、しゅんぎく等キク科の一部、きのこ類、綿実などが一律基準に移行した。当然のことながら、かんきつ等は5.0ppmから一律基準0.01ppmである。残留基準値も軒並み数値がかなり下がっているが、唯一未成熟インゲンだけは3.0ppmから5ppmになった。

5.0ppmの残留基準であったトマト、ナス、ブロッコリーは0.03、0.05、0.05ppmと厳しくなり、茶も10ppmが0.2ppmとなっている。この状態では、基準違反が起こっても急性参照用量にははるかに届かず短期暴露評価では十分安全ということになる。ミニトマトはアセフェート水和剤、粒剤ともに使えなくなった。しかし、残留基準はトマトしかなく、食品分類上ミニトマトはトマトの残留基準で判断される。もしも間違えて(ありうることだが)、ミニトマトに粒剤をパラパラと使ってしまって、そのミニトマトがたまたま市販流通品の通常検査で0.02ppmという数値が出た時、トマトの残留基準0.03ppmと比べて適合で処理されていくだろうが、アセフェートの適用作物の情報などを、なまじ知っていると農取締法上は違反と分かり対応が悩ましい。

いずれにせよ、アセフェートの残留基準は軒並み下がってきているので、使用する場合は新しい使用方法で注意して使う必要がある。農林水産省国内農産物における農薬の使用状況及び残留状況調査では、2008~2011年の調査でトマト26件中6件から平均0.038~0.07ppm検出されており、以前の使い方ではアウトである。

また、個人的なお願いであるが、ニンジンは以前から適用がないので一律基準0.01ppm適応である。アセフェートを使用する場合は近くにニンジンがないことを確認してから使用していただきたい。

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