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GMOワールド|宗谷 敏

神聖FDA帝国は安泰か〜GM食品安全性評価ガイドライン案

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2004年11月29日

 11月19日、米国FDA(食品医薬品局)は、食品使用を目的とする新たな植物品種の開発者(産業)のための安全性評価ガイドライン案を公表し、官報告示日の11月25日から60日間のパブリック・コメント受付期間に入った。本ガイドラインが主に対象とするのは、もちろんバイオ工学を用いて開発された食品である。

参照記事1
TITLE: FDA Proposes Draft Guidance for Industry for New Plant Varieties Intended for Food Use
SOURCE: FDA Talk Paper
DATE: Nov. 19, 2004
 ガイドラインの名称は「食品使用のために意図された新しい植物品種によって生産された新しい非農薬のタンパク質について早期食物安全評価のための産業に対するレコメンデーション」という長いものだ。ここで言う「食品使用」には動物用飼料も含まれ、「非農薬の」と断っているのは、例えばBt作物(Cryタンパク質)のような農薬使用が目的の場合、安全性評価はEPA(環境保護局)の管轄となるためである。
 現行の規制は、新規食品の安全性や品質は開発企業が責任を持ち、商品化前承認は不要とされ、販売の120日前にFDAへの届け出、安全性などについてコンサルテーションを受けることが奨励されている。しかし、増加する一方の屋外試験栽培は、花粉によるクロスポリネーションや播種用種子のコンタミネーションといったリスクが起きる可能性を高める。
 この結果、FDAのコンサルテーションでは評価されない微量のアレルゲンや毒性を持つタンパク質が食品に混入するリスクの可能性も否定し得ない。開発企業は、初期の段階(屋外試験栽培に先立ち)で新しいタンパク質の安全性に関する安全性評価を自主的に行い、その結果をFDAに提出するよう提案するというのが、ガイドライン案の骨子である。
 このガイドライン案に対するリアクションとしては、バイオインダストリー協会(BIO)など産業グループが歓迎なのに対し、食品安全センター(the Center for Food Safety)や地球の友(Friends of the Earth)などの食品安全や環境保護に係わる市民活動グループからは、激しい批判の声が上がっている。
参照記事2
TITLE: FDA to Issue Guidelines On Evaluating Biotech Food
SOURCE: Washington Post, by Michael S. Rosenwald
DATE: Nov. 24, 2004
参照記事3
TITLE: Crop Testing Rules Menace Food Supply, Say Critics
SOURCE: IPS, by Stephen Leahy
DATE: Nov. 25, 2004
 試験栽培前に義務的な安全性試験が完全に行われることを求めてきた市民活動グループからの批判は、このガイドライン案は試験栽培から食品への微量な物質のコンタミネーションを容認するものであり、事故が起きた場合には企業が責任を免れてしまうなどというものだ。
 ところで日本では先月、FDAの食品分野バイオテクノロジーコーディネーターであるJames H. Maryanski博士が来日され、長期滞在のかたわらGM食品の安全性評価方法を中心に、各地で何回か講演を行った。下記は、その1つの記録である。
参照記事4
TITLE: ミニ講演会「リスク評価とリスクコミュニケーション」レポート
SOURCE: くらしとバイオプラザ21
DATE: Nov. 11, 2004
 筆者も2度ほど拝聴する機会を得たが、植物体のGMとして初の市販商品となった94年のフレーバーセーバートマトにおいて徹底的な安全性評価が行われた結果、組み込まれるホスト側のリスクとしてはタンパク質の安全性にさえ留意すれば良いというFDAの基本方針が確立された点などが印象深かった。科学的に、ケースバイケースで、在来品種との比較をプロダクトベースで行うという現在の安全性評価法や長年にわたる知見の蓄積に、FDAは揺るぎない絶対の自信を持っているようだ。
 参照記事3の最後にもある通り、米国の消費者もFDAに対しては絶大な信頼を寄せている。しかし、GM食品に関しては、現在の開発企業が提出する安全性データに基づきペーパーワークで審査が行われる仕組みを知らず、すべてFDAが実際にテストを行っていると消費者は誤解しているのではないか、というのが記事にある指摘だ。このあたりも含めて、パブリック・コメントの行く末は興味深いところである。(GMOウオッチャー 宗谷 敏)

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