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GMOワールド|宗谷 敏

米国が感謝祭休みでもEUは結構忙しい〜ドイツの共存法案ほか

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2004年12月6日

 米国では、11月25日がクリスマスに次ぐ大事な年中行事である感謝祭に当たり、この前後はGMO関連報道もさすがに閑散としていた。しかし一方、ヨーロッパの方では、今後を占う上で重要な動きがいくつかあったので、簡単にまとめておきたい。

参照記事1
TITLE: German GM farmers to be liable for contamination
SOURCE: New Scientist
DATE: Nov. 26, 2004
 論議の的だったドイツのGM・非GM作物共存法案が、11月25日連邦下院を通過した。この結果、上院および州議会の採択を経て、年内にも成立する可能性が出てきた。この法案は理論上GMOの商業栽培を許すが、内容はデファクト禁止令だと言われるほど厳しい。クロスポリネーションの予防義務は当然として、非GM農家に経済的損失が生じた場合はGM農家に賠償責任がある。更に損害を与えたGM農家が特定できない場合でも、近隣のGM農家全てが連帯責任を負って弁済する。
 環境保護団体などが一応評価しつつも、まだこれでも足りないと主張しているのに対し、農家団体やGM開発企業は一斉に反発している。BASFは、ドイツのバイテク部門に壊滅的影響を与え、科学者の頭脳流出をもたらすであろう、試験栽培もままならないようなら自分たちも出ていくかもしれないとコメント(04.11.27. AFX)している。更にGM推進派の欧州委員会も、このドイツの共存法案は「極端すぎる」として警戒しつつ成り行きを注視してきており(04.9.14. Reuters)、欧州裁判所へ提訴というシナリオも現実味を帯びてきた。
参照記事2
TITLE: Expert committee refers GM maize proposal to EU ministers
SOURCE: European Union Business News
DATE: Nov. 29, 2004
 Monsanto社の鞘翅目害虫抵抗性トウモロコシMon863について輸入を認可(つまりは加工や食品・飼料用として域内で上市)する欧州委員会の提案を審議した専門家会議は、11月29日その合意に失敗した。加盟25カ国のポジションは、賛成8カ国、反対12カ国、棄権5カ国であった。本案件は、閣僚会議へ送付され3カ月以内に結論を出すことが求められる。なお、欧州食品安全庁(EFSA)は、04年4月19日にMon863の安全性を承認している。
 EU のGMO承認手続きでは、もうすっかりお馴染みのお約束となり、様式美すら感じさせる?3幕芝居の始まりだ。つまり、第1幕 欧州委員会提案を専門家会議否決→第2幕 付託された関連閣僚会議は3カ月以内に結論出せず→第3幕 差し戻された欧州委員会の強権発動で認可→拍手とブーイングが入り交じるなか、緞帳(どんちょう)下りる・・・
参照記事3
TITLE: Study finds benefits in GM crops
SOURCE: BBC, by Richard Black
DATE: Nov. 29 2004
 農業現場では、連作障害を防ぎ地味を痩せさせないため、作物のローテーションや休耕が通常行われる。英国政府は資金を提供し、この農業現場と同じ条件にGM作物を加えて、環境影響や生物多様性にどのような相違が現れるかを4年間にわたり科学者に研究させた。対象としたGM作物は、除草剤耐性ナタネとサトウダイコン(シュガービート)である。
 これらを同じ畝(うね)でコムギやオオムギと交互に栽培してみた結果、GM作物による雑草の生物多様性に対する悪影響は見いだされず、除草管理も容易に行えるというポジティブな結論が、11月29日に公表された。本実験コーディネーターからの「生物多様性に対する影響は(GM)作物それ自身のせいではなく、作物のマネージメントによるものだ」「生物多様性を評価するには全体論的なアプローチが必要であり、人々には農業システム全体を見て欲しい」(04.11.29. Nature)などという指摘は重要である。
参照記事4
TITLE: EU: Decision on national GMO bans to be referred to Council
SOURCE: just-food.com(全文読むには事前登録が必要)
DATE: Nov. 30, 2004
 その他、EUが認可したGM作物の禁止を解かない5カ国(オーストリア、ドイツ、ルクセンブルグ、フランスおよびギリシャ)に対し、欧州委員会は解除令草案を閣僚会議へ送致するだろうという11月30日の報道や、
参照記事5
TITLE: EU Food Safety Agency Attacked for Pro-GMO Bias
SOURCE: Reuters
DATE: Nov. 29, 2004
 Friends of the Earth Europeから、11月29日出された欧州食品安全庁(EFSA)がGM開発企業寄りだという批判と、これに対するEFSAの反論などもなかなか興味深い。また、EFSA絡みでは、EUでGMOやその製品を市場に導入することを望む企業への包括的ガイドライン公表を準備している(04.12.1.The Food Navigator)というトピックも、押さえておきたいところだ。(GMOウオッチャー 宗谷 敏)

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