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GMOワールド|宗谷 敏

依然2桁台の伸び〜04年世界のバイテク作物栽培面積、ほか

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2005年1月17日

 祝日の関係からしばらくご無沙汰してしまったが、今年もよろしくお願いします。この間も、目まぐるしく様々なことが起きたGMOワールドだが、やはり新春吉例国際アグリバイオ事業団(ISAAA)の2004年度速報に触れない訳にはいかないだろう。

参照記事1
TITLE: Executive Summary-Global Status of Commercialized Biotech/GM Crops: 2004
SOURCE: ISAAA
DATE: Jan. 12, 2005
 フィリピンに本拠を置き、Clive James氏が会長を務めるISAAAは、バイテク農作物の商業栽培面積を世界的に調査している唯一の民間機関である。毎年の調査報告書作成費用は、ロックフェラー財団など2つの博愛主義グループによって賄われている。
 04年度におけるバイテク農作物の世界の商業栽培面積はおよそ8100万ヘクタール(2億エーカー)に達し(ちなみに03年度は6760万ヘクタール=1億6700万エーカー)、世界の耕作地面積15億ヘクタール(37億エーカー)の5%を占めた。増加分は1330万ヘクタール(3290万エーカー)で、これは史上2番目に高い伸び率20%(03年度は15%)に相当し、9年連続で2桁台の伸び率を維持したことになる。
 04年度を、初年度である96年の栽培面積である170万ヘクタール(420万エーカー)と比較すれば実に47倍である。また96年から04年までの延べ栽培面積は、3億8500万ヘクタールあるいは9億5100万エーカー(ほぼ10億エーカー)に達し、これは米国もしくは中国の領土面積にほぼ等しい。
 バイテク農作物を作付けた農家は、17カ国825万人(03年度は18カ国700万人)であるが、その90%はリソースが乏しい発展途上国の農家であった。なお、03年18カ国が04年17カ国となっているのは、インドネシアとブルガリアが落とされ、パラグアイが加えられたことによる。
 国別には、米国(総面積の59%)、アルゼンチン(同20%)、カナダ(同6%)、ブラジル(同6%)、中国(同5%)、パラグアイ(同2%)、インド(同1%)および南アフリカ(同1%)の8カ国が大部分を占めるが、ウルグアイ、オーストラリア、ルーマニア、メキシコ、スペインおよびフィリピンの6カ国が、5万ヘクタール(12万4,000エーカー)以上を栽培する大国(メガ・カントリー)として名を連ねる。
 Clive James会長は、17カ国中11カ国を占める発展途上国のバイテク農作物採用に強い関心を示す。特に5つの主要な発展途上国(中国、インド、アルゼンチン、ブラジルおよび南アフリカ)をキー・カントリーとして上げている。昨年のEUにおけるモラトリアム解除も途上国にとっては追い風であり、さらに中国がバイテク・イネの採用に踏み切れば、世界のバイテク農作物の継続的増加は止まらないだろう。
 あらゆる要因を考慮すれば、2010年にはおよそ1500万人の農家が最高30カ国でバイテク農作物を栽培し、その栽培面積は最高1億5000万ヘクタール(3億7500万エーカー)に達するだろうと述べている。なお、バイテク情報普及会(CBIJ)のホームページには、日本語版のプレス・リリースも掲載されるそうなので、併せてご参照願いたい。
 さて、オマケという訳でもないのだが、比較的珍しいロシアからのニュースを併せてご紹介する。ロシア科学アカデミーの生物工学センターで実施された、遺伝子組み換えダイズと野生種との交雑の可能性に関する実験結果である。
参照記事2
TITLE: Biosafety of the herbicide resistant GM soybean 40-3-2: experience in the Russian Federation
SOURCE: Black Sea Biotechnology Association
DATE: Jan. 7, 2005
 調査対象になったのは、Glycine Max(ダイズ)、Glycine Soja(ツルマメ)およびGlycine Gracilis(ツルマメとダイズの中間種)など40の野生の個体群から選ばれた215作物と栽培種2品種であり、ラウンドアップ・レディーダイズとの交雑について調査が行われた。
 2シーズンにわたる野外と温室両方での実験結果は、除草剤抵抗性の品種は見いだされず、どのような交雑も比較的まれであるだろうという結論が述べられている(興味のある方は、上記のホームページからリンクしているPDFファイルのレポートをご参照願いたい)。
 ところで遺伝子組み換えダイズ大国の米国が、なぜさっさとこういう実験をやらなかったのか?という疑問が当然起きる。中国や日本からの米国へのダイズ渡来には諸説ある(1854年のペリー提督お持ち帰り説は有名)が、ほとんど19世紀になってからであり、人工的栽培からのスタートになる。さらにブラジルに至っては、20世紀初頭日本からの移民が種子を持ち込んだのが最初と伝えられる。つまり、南北アメリカ大陸には野生種のダイズや近縁種は存在しない。(GMOウオッチャー 宗谷 敏)

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