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GMOワールド|宗谷 敏

一つずつ回った歯車〜ブラジルダイズ、インドのワタそしてEUのトウモロコシ

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2005年3月7日

 2月28日付けReutersが、アフリカ諸国のGM特集を簡単にやっていたので、少し補足しながらそれを書こうと考えていた。ところが、週の後半に至りブラジル、インドおよびEUで各々重要な動きがあったので、そちらに振り替える。

参照記事1
TITLE: Brazil OKs Law to Legalize Biotech Crops
SOURCE: AP, by Alan Clendenning
DATE: March 3, 2005
 3月2日、ブラジル下院は352票対60票の大差で、バイオセーフティ法案を可決した。同法案は既に昨年12月上院を通過しており、Luiz Inacio Lula da Silva大統領の署名をもって発効する。この結果、Monsanto社はブラジル国内でのGMダイズ種子の販売が、ついに可能となる。
 勢いづくMonsanto社現地法人は、従来からの除草剤耐性GM(ラウンドアップレディー)ダイズに加え、新たに害虫抵抗性GMのダイズとトウモロコシ開発に2000万ドルを投資する計画を明らかにした。研究対象は、Nematodes(ダイズ線虫)などに対し抵抗性を有するBtダイズと見られるが、この開発は米国でもまだ成功していないだけに注目される。
参照記事2
TITLE: Monsanto Brazil to Invest $20 Mln in New GMO Soy
SOURCE: Reuters
DATE: March 4, 2005
 一方、この政府の決定はアマゾン熱帯雨林破壊に拍車を駆けるものだと、環境保護主義者たちは焦燥感を強めている。この記事にはないが、去る2月12日、環境保護運動の指導者の米国人で、ブラジルに帰化したDorothy Stang尼僧(74才)が、パラ州で暗殺される悲劇も起きている。
 Stang尼僧は、森林乱伐や農地拡大に反対し、土地を持たない小規模農家のために尽くしてきた。経済拡大政策で再選確実と見られるLula大統領だが、闇の部分も奥深い環境問題とのバランスは相変わらず大きな課題である。
参照記事3
TITLE: Environmentalists fear Brazil’s lifting of GMO ban
SOURCE: Reuters, by Andrew Hay
DATE: March 3, 2005
 次はインドである。3月4日、政府遺伝子工学認可委員会(GEAC:Genetic Engineering Approval Committee)は、ノハリアナ、パンジャブおよびラジャスタンの北部3州におけるBtワタ6品種の商業栽培を、新たに認可した。さらに同地域におけるBtワタ8品種の試験栽培も併せて認可された。従来、Btワタ商業栽培は、南および西の6つの州でしか許されていなかった。
参照記事4
TITLE: India Allows Biotech Cotton in the North
SOURCE: AP, by S. Srinivasan
DATE: March 4, 2005

 02年に商業栽培を認可されたMonsanto社のBtワタ3品種は、この3月で3年間の承認期限が切れる。この認可更新を阻止すべく運動を展開してきたGreenpeaceは、水を差された形で怒りを露わにしている。なお、3月4日のGEACでは、Monsanto社の認可更新に関しては結論が出せず、決定は延期されたとの情報(05.03.04.The Hindu)もある。
参照記事5
TITLE: Genetically Modified Foods Gain a Toe Hold in EU
SOURCE: Reuters, by Jeremy Smith
DATE: March 4, 2005
 そしてEUでは、3月4日、欧州食品安全庁(EFSA:European Food Safety Authority)が、GMトウモロコシ 1507のヒトと動物の健康や環境への安全性を認める判断を下した。GM 1507は、DuPont社の子会社Pioneer Hi-Bred International社とDow AgroSciences社に属するMycogen seeds社が販売し、害虫ヨーロッパコーンボウラーに対する抵抗性と、除草剤グルフォシネートへの耐性とを併せ持つ。
 GM 1507の域内への輸入や栽培を実際に許すかどうかの判断は、法制度委員会などの検討を待たなければならない。しかし、EFSAが科学的立場からポジティブな見解を出したことは、バイテク推進に熱心な欧州委員会にとっても追い風となろう。またEFSAとしては、新しく発効した食品・飼料規則などに基づく初の安全性評価である点も注目を集めた。
 世界生産量でダイズ第2位のブラジルとワタ第3位のインドのこれらの動きは、有形無形の様々な影響が予想される。そして、EUのトウモロコシと奇しくもGM主要3品目が、揃って一つずつ歯車を回した3月第1週のGMOワールドだった。(GMOウオッチャー 宗谷 敏)

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