ホーム >  FoodScience過去記事 > GMOワールド > 記事
こちらのページは以前、日経BP社 FoodScienceに掲載されていた記事になります。
当サイトから新規に投稿された記事については、こちらよりご覧ください。

GMOワールド|宗谷 敏

承認はもたつくが商業栽培が萌芽〜EUのGMトウモロコシ、他

  • シェア
  • Check
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Share
2005年9月26日

 モラトリアム中のGM作物承認滞貨一掃に大車輪の欧州委員会だが、承認手続きのもたつきはもはやEUの様式となった観がある。一方、各加盟各国レベルでは、一部の国でGM作物(Btトウモロコシ)の商業栽培が開始され、栽培面積は拡大基調にあるという。

参照記事1
TITLE: EU Governments Block Approval of Monsanto Hybrid Corn Variety
SOURCE: Bloomberg
DATE: Sep.19, 2005

参照記事2
TITLE: EU farm ministers deadlocked over GMO maize approval
SOURCE: Reuters, by Jeremy Smith
DATE: Sep.20, 2005

 GMトウモロコシ2系統の輸入と動物飼料への使用に関して検討した9月19日開催のEU専門家委員会は合意に達せず、翌9月20日開催の農業大臣閣僚会議は可決・否決に必要な票数を集められなかった。

 環境専門家委員会で討議されたのは、複数の害虫(鞘翅目及び鱗翅目)に抵抗性を併せ持つMonsanto社のMON863とMON810をスタッキングしたハイブリッドタイプである。例の物議を醸したラット・スタディ に関係する系統だ。投票の結果は、賛成7カ国、反対12カ国、棄権5カ国、投票せず1カ国と伝えられる。

 一方、農業大臣閣僚会議の方はDuPont社の子会社Pioneer Hi-Bred International社とDow AgroSciences社ユニットのMycogen seeds社との共同開発による害虫(鱗翅目)抵抗性と除草剤(グルホシネート)耐性を同時に導入した1507系統の認可について検討したが、合意に失敗した。

 記事にあるとおりこの投票結果で注目に価するのは、ルクセンブルグ、ギリシャやオーストリアと共に強固なGM反対派の常連だったデンマークが賛成に回ったことだ。加盟国個々の態度軟化が象徴的なのは、先々週触れたフランスをはじめ域内5カ国での、Btトウモロコシ商業栽培の開始や拡大傾向に象徴される。。

参照記事3
TITLE: French maize farmer sees more GMO converts
SOURCE: Reuters, by Muriel Boselli
DATE: Sep. 19, 2005

参照記事4
TITLE: Are Europe’s farmers warming to GMO maize?
SOURCE: Reuters, by David Evans
DATE: Sep. 22, 2005

 Reutersのインタビューに答えたフランスの農家は、欧州委員会の承認作業の遅れや、消費者の懸念などにも理解を示しながら、栽培してみてBtトウモロコシの経済性と安全性を認め、来年はさらに作付けを増やすという。

 Btトウモロコシ栽培をリードするのは6年前から商業栽培を開始したスペインである。今年は5万ヘクタールが収穫され、全トウモロコシ栽培面積の約20%に相当する7〜8万ヘクタールが播種されたと推測される。Greenpeaceなどの環境安全性に対する批判に対し、推進派はこのスペインの例をもって共存は可能だし明確な経済的利益があると反論する。

 スペイン以外の諸国での商業栽培面積はまだ数百ヘクタール規模に限定される。ちなみにフランスでは500ヘクタール、ドイツ568ヘクタール、ポルトガル757ヘクタール、チェコ共和国150ヘクタールと報告されているが、各々拡大基調にあると伝えられる。

 話題は変わるが、最後にほとんど国内一般報道のないコーデックスの第5回バイオテクノロジー応用食品特別部会について簡単に触れておく。この国際会議は、日本が議長国を努め9月19日から23日まで・幕張メッセにおいて開催された。

 4年ワンシリーズの第1回に当たり、今後何を議題とするべきかが諮られた結果、GM動物由来食品とGM栄養改変作物(主に途上国に有益なものというスコープの整理がなされた)の安全性評価について討議することが採択され、オーストラリアと日本(共同議長国)、カナダを各々議長国としてワーキンググループが設置されることとなった。

 筆者が注目していたAP-Adventitious Presence(食用農産物に対するGM原料物質の偶発的な、技術的には不可避の混在)の採択については意見がまとまらず、次回に提案国の米国がディスカッションペーパーを準備することとなった。対象とする微量混入GM原材料は未承認(unauthorized)とすることも確認された。

 また、スタッキング(承認済みGM作物同士の在来育種法による掛け合わせ)の安全性評価は、提案国の日本と支持を表明していたEUがこれを取り下げたため、議題とはしないことが決定された。(GMOウオッチャー 宗谷 敏)

⇒ GMOワールド記事一覧へ

専門家コラム一覧

FoodScience 過去記事

以前、他のサイトで掲載されていた記事をこちらより選択してご覧いただけます。

お知らせ

FOOCOMが「第1回食生活ジャーナリスト大賞」を頂くことに決まりました(3/28)
FOOCOMはこのほど、食生活ジャーナリストの会(JFJ)の「第1回食生活ジャーナリスト大賞(ジャーナリズム部門)」…【全文を読む】
FOOCOM.NET 会員募集 科学的根拠に基づく食情報を消費者に提供するために、ご協力ください。