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GMOワールド|宗谷 敏

コメコメ特許〜タイのジャスミン米とインドのバスマチ米、他

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2005年11月7日

 10月31日付、農業生物資源研究所のスギ花粉症緩和GM米の予防効果が、マウスでも確認された件は、世界でも広く報道された。今週はGMからは少し離れるが、コメの特許権などを巡る話題を二つ取り上げてみたい。

参照記事1
TITLE: Thai scientists patent rice genes
SOURCE: The Nation
DATE: Oct. 30, 2005

 National Center for Genetic Engineering and Biotechnology (BIOTEC)とKasetsart大学によるタイイネゲノム・プロジェクトの研究者たちは、ジャスミン米の香りを特徴づける遺伝子配列に関する米国特許を取得した。タイの研究チームは、米国以外にオーストラリア、フランス、中国、ベトナム、日本、インドおよびフィリピンにおいても特許を申請している。

 ジャスミン米は、タイの「香り米」として有名な長粒種だ。イネゲノムには約5万の遺伝子があるが、ジャスミン米ではそのうち8つの遺伝子が機能しておらず、これが香りを特徴つけていると目されている。日本の研究所は、これらの遺伝子の働きを止めることにより、普通のコメに香りを与えることに既に成功している。

 ジャスミン米の特許問題がクローズアップされたのは、01年11月、米国で二人の科学者が、ジャスミン米の品種改良を研究していることが明らかになったときだ。フィリピンにある国際イネ研究所(IRRI、61年創設)が、原種を寄付したタイ政府に報告せず、かつ海賊行為を禁止する協定も結ばず、95年の12月、ジーンバンクから米国の科学者にジャスミン米の種子を与えていたことが発覚、NGOを中心に途上国から非難が集中した。

 研究用のジャスミン米種子は、94年の10月から国連FAOとの信託協定に基づきIRRIが管理しており、この協定では信託されている遺伝資源に対する知的所有権は禁止されていたため、IRRIの信頼性を揺るがす事件に発展した。

 さて、世界のブランド米のもう片方のスターは、南アジアの宝冠とも呼ばれるインド原産の長粒種、バスマチ米だ。しかし、こちらの同じく遺伝資源を守ろうとするインドの取り組みは、タイに一歩遅れをとっている。

参照記事2
TITLE: DNA of basmati rice to protect it from West
SOURCE: India Daily
DATE: Nov. 4, 2005

 The Indian Council of Agricultural Research (Icar)の研究者たちは、2年以内に バスマチ米のDNAマッピングを完成させて、インド各地で栽培されているバスマチ米の72品種に特有な1種類のバーコードを開発することを計画している。

 欧米の企業が、バスマチ米に特許を取ってしまう“gene piracy”(「遺伝子海賊行為」)を阻止するのが目的である。誰もがバスマチ米はインドから来ることを知っているが、法廷で弁護士がそれを証明する方法が現在はない。

 この件で、インドは痛い目に遭っている。米国特許庁は、97年、テキサス州に本社を置くRice Tec社が開発したバスマチ米の改良3品種に特許を与えた。これを不満とするインドは訴訟を起こし、バスマチ米がインドとパキスタンが原産地であることを証明したが、01年10月の商標に関する係争で敗れている。

 ずいぶん前に国際種子条約のことや、カフェインレスコーヒーを巡るブラジルとエチオピアの争いに触れたが、遺伝資源や海賊行為を巡る論争はGM開発により激化したとも考えられるため、今後も併せて注視していくべき話題である。

 最後に、11月3日の欧州委員会のGMO認可も拾っておこう。承認されたのは、9月20日の農業閣僚会議で合意に失敗したDuPont社の子会社Pioneer Hi-Bred International社とDow AgroSciences社ユニットのMycogen seeds社共同開発による害虫抵抗性と除草剤耐性を同時に導入したGMトウモロコシ1507系統であり、輸入と飼料用途利用を10年間にわたり認めた。

参照記事3
TITLE: Commission authorises import of GM maize 1507
SOURCE: EurActiv
DATE: Nov. 3, 2005

 今年に限れば、Monsanto社の害虫抵抗性トウモロコシMON863(8月8日)およびの除草剤耐性ナタネGT73(8月31日)に続く欧州委員会3番目の承認に当たる。(GMOウオッチャー 宗谷 敏)

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