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GMOワールド|宗谷 敏

絶対に訴えてやる!〜CFS、FDAのGM食品規制方法を提訴

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2006年6月12日

 2006年6月7日、米国では消費者団体が、FDA(米食品医薬品局)に対し訴訟を起こした。GM食品の安全性評価と表示を義務化しろという行政訴訟だ。本件を伝えるReutersの記事は、事実関係は押さえているが背景説明は略されている。そのあたりを補足しながら読んでみたい。

参照記事1
TITLE: Consumer Group Sues FDA Over Biotech Foods
SOURCE: Reuters
DATE: June 7, 2006

 原告の消費者団体とは、ワシントンD.C.に本拠を置き、弁護士Andrew Kimbrell氏が率いるCFS:The Center for Food Safetyで、訴訟はコロンビア特別区の連邦地方裁判所に持ち込まれた。先ず、Kimbrell氏やCFSとは何者か?

 Kimbrell氏は、米国でおそらく最も有名な反GMO活動家であるJeremy Rifkin氏(FOET:The Foundation on Economic Trendsの創設者)の薫陶を受け、自ら設立したICTA:International Center for Technology Assessmentの専務理事でもある。

 CFSは、技術全般を社会問題とするICTAの食品部門に特化したプロジェクトであり、両団体は姉妹関係にある。CFSは、04年のカリフォルニア州メンドシノ郡のGM作物栽培禁止キャンペーンヘの最大の出資者であり、最近ではBSE問題に絡んで米国の牛肉は安全ではないという見解を流布した。バックには、有機栽培や有機食品の積極行動主義者たちがついている。

 要するにただの消費者団体という訳ではなく、米国においては反資本主義の積極行動主義者グループに分類されているようだ。ネットで検索をかければ、こういう情報は次々ヒットしてくる。Fenton Communicationsというこれらの組織の広報活動を一手に引き受けるPR組織の存在など、なかなか興味深いものがある。

 次に、今回彼らが問題にしているFDAのGM食品規制と安全性評価システムを、簡単に見ておこう。FDAは連邦食品・医薬品・化粧品法(FFDCA)に基づき、GM食品を規制している。食品の安全性は、作出方法ではなく製品ベースで判断するというのが基本だ。

 所管するGMOの成分が従来品と比較して大きな相違を持たなければ、義務的な安全性評価対象とはならず、これに代わるものとして開発企業はFDAと事前協議を行う。企業による安全性評価データを、FDAがレビューして問題がないと判断されればそれで終わり(最終的な安全性担保義務は企業側に残る)となる。

 この協議で最も着目される点は、当然、GM作物自体の安全性・毒性・アレルギーを誘発するかどうかにある。この事前協議システムは、1992年5月に官報告示され、96年6月に追加のガイドラインが提供された。FDAは、企業に対しこの事前協議を受けるよう勧告は出してはいるが、法的拘束力はなくあくまで任意である。

 記事にもある通り、CFS と個人消費者や環境保護グループは、バイテク食品規則を強化するよう2000年3月FDAに請願を提出したが、無視されたと語っている。しかし、FDAも99年〜00年の公聴会などを通じ、まったく聞く耳を持たなかった訳ではない。

 この事前協議システムを義務化し、上市の120日前までに安全性評価データを提出する規則の提案は、01年1月にFDAから行われた(現在まだ実現していない)。GM食品表示については、01年1月にFDAガイドライン案が提案されているが、完全に任意である。なお、「GMOフリー」という表現については、不正確で消費者の誤解を招くとし、FDAは勧めていない。

 さて、この訴訟の行方は分からないが、例えば、アレルゲンを含むかどうかよく調べられていない、といった主張は完全に誤解である。上述の通り、事前協議でもっとも重視されるのはこの部分であり、FDAの安全性評価システムのフローチャートを引いてみれば、それは一目瞭然だ。

 一見甘いこの事前協議システムは、開発企業にとって実は案外厳しいものである。前述したようにFDAの事前協議の結果は、必ずしも政府による安全性の完全な担保にはなっていない。最終責任は、あくまで開発企業側にある。これはある意味オトナ社会の制度だ。

 とは言いながら、最近のバイテクの商品開発は多岐にわたり複雑化している。USDA(米国農務省)、EPA(環境保護局)も含めて、現行の規制が必ずしも充分とは言えなくなりつつあるのも事実だろう。既存の法律にパッチを当てながら運用してきたが、GMサケあたりから限界に来ている感も否めない。哲学はそのままでもいいが、制度の遅走りは避けるべきであり、CFSの主張とは異なる意味でレビューがなされてもいいと筆者は考える。(GMOウオッチャー 宗谷 敏)

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