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GMOワールド|宗谷 敏

中国の未承認GMコメ加工品をEUで発見〜NGOの告発

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2006年9月11日

 GreenpeaceとFriend of the Earthは、2006年9月5日、中国の未承認害虫抵抗性GMコメ(製品)がヨーロッパの食物連鎖に入っていたのを発見したと発表した。先月のドイツBayer CropScience社の未承認GMコメ微量混入事件の余波もおさまらないうちに、ヨーロッパを中心に推進派には頭の痛い問題が続く。

参照記事1
TITLE: Illegal Genetically Engineered Rice from China in European rice products
SOURCE: Greenpeace International
DATE: Sep. 5, 2006

 両NGOによれば、英国ロンドンのアジア食品専門店で販売されていたライスバーミセリ2製品とライススティック1製品及びフランスとドイツで購入したライススティック2製品から、微量のCry1Acたんぱく質またはCry1Ab/Cry1Acたんぱく質が検出されたという。これらは未承認Btイネに由来すると推定され、5つのブランドは別々のものだった。

 検査はドイツの検査会社が行ったが、GreenpeaceによればNGO御用達の組織と見られるのを嫌い、匿名を希望しているという。このヨーロッパ3国における混入事件の前振りには、中国湖北省で未承認のGMイネが種子販売、生産、消費されていたという05年4月のGreenpeaceの告発がある訳だが、この時も検査を行ったドイツGeneScan社である可能性が高い。

 Cry1Acたんぱく質などの安全性について、Greenpeaceは例の通り免疫抗体反応などのマイナーな研究結果を引用して不安を煽るのに熱心だ。しかし、Natureでコメントしているアムステルダム大学の食品アレルギー専門家は、引用されている研究は未調理のコメを対象としており、実リスクを示すものではないと述べている。

参照記事2
TITLE: Escaped Chinese GM rice reaches Europe
SOURCE: Nature, by Emma Marris
DATE: Sep. 5, 2006

 Greenpeaceらは、中国コメ(製品)の(世界的な)リコールと輸入禁止、今後はGMOフリー証明などの予防措置を課すよう欧州委員会に対し要求している。欧州委員会は事実確認のためにNGOにサンプル提供を求めると共に、中国政府へも照会を約した。同時に食品輸入者に対し、未承認GMOの輸入は欧州法違反になると警告している。

参照記事3
TITLE: Experimental Chinese GM rice enters EU
SOURCE: EUpolitix
DATE: Sep. 5, 2006

 相手が中国政府だけに、さすがに大手GM開発企業が相手の場合とはEUも対応が異なる。輸入者に全面的に責務を押しつけるのは酷な気もするが、政治力を欠くアジア食品の小口輸入者しか犠牲にならないと踏んでいるのか。しかし、当該製品のブランドが割れていることは、Greenpeaceが主張するように氷山の一角というリスクもあるから、落としどころとしては多少危険を伴うだろう。

 注目された中国政府の反応は、9月7日付で外務省報道官から「中国においてはGMコメの商業栽培は一切認められていない」という紋切り型のリリースが出されたのみだ。05年4月の湖北省未承認GMイネ流通問題の時は、事実確認を避けて逃げ切った中国政府だが、今回は外交・国際問題絡みなのでそういう訳には行かないだろう。

参照記事4
TITLE: No case of commercialized production of GM rice approved in China
SOURCE: Xinhua
DATE: Sep. 7, 2006

 一方、Bayer CropScience社の未承認GMコメ混入の方は、USDAの検査法確認、米国内コメ生産州農家の訴訟問題などに発展しているが、どうやら米国政府が後出しでLLRICE601を認可してしまい決着を付ける模様だ。

参照記事5
TITLE: USDA SEEKS PUBLIC COMMENT ON DEREGULATION OF GENETICALLY ENGINEERED RICE
SOURCE: USDA
DATE: Sep. 8, 2006

 既に同系統の2品種(LLRICE62とLLRICE06)の安全性が確認されていた事実が後ろ盾になった。問題のLLRICE601に対する承認拡大に関するパブリックコメントは、10月10日までの予定で9月8日に開始されている。(GMOウオッチャー 宗谷 敏)

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