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GMOワールド|宗谷 敏

MASとGM論争の英国ラウンド〜Guardian紙から

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2006年11月13日

 2006年8月31日に朝日新聞の投稿欄に掲載され、関係者の耳目を集めたJeremy Rifkin氏の「遺伝子操作 組み換え作物は時代遅れに」が、ほとんどそのままの形で10月26日付英国Guardian紙に転載された。11月7日には同紙にRifkin氏への反論が掲載されたので、今週はこれを読んでみたい。

 Rifkin氏の主張を一言で言えば、MAS(DNAマーカー選抜技術)がGMに取って代わり、GMは衰退を余儀なくされるだろうという内容である。本件に対しては、GMOワールドの9月25日付の末尾に、スペースの関係からいささか舌足らずではあったが愚考を示した。

 その後、9月27日に同じFoodScienceで松永和紀氏が行き届いた解説を書いて下さったのだが、誤解と偏見に満ちたRifkin氏の主張を表面的に鵜呑みにして、GM技術は退潮などと論じている輩もいるらしい。この種の問題を論じるためには、まず言及されている技術を等身大に捉え直す検証や発言者のバックグランド探求が必要となる。その意味からは、松永氏の論考はGuardian(Tony Combes氏)を凌駕しているので、是非読み比べて頂きたい。

参照記事1
TITLE: There’s no chance that this technology will replace GM
SOURCE: Guardian, by Tony Combes
DATE: Nov. 7, 2006

 「私は、Jeremy RifkinがMASを『最新で』『最前線にある』と吹聴したと聞いた。Rifkinは、01年にもNew York TimesでMASを『未来がある』と賞賛している。

 農業の持続可能性を保証するために、育種家と科学者は技術の道具箱へのアクセスが必要となる。交雑による伝統的育種法、MASとGM技術が道具箱の3つの中身だろう。最初のものは歴史もあり信頼されるが、ツールは限定的であり精度には困難を伴う。MASは特定の目的に焦点を絞るためにより有利ではあるが、精度については何をしたいかによるし、精度を維持するツールが必要とされる。GM技術は伝統的な育種法の限界を超えて、農家が農産物を改善したいと望む利益だけを移転して、それを達成しつつある。

 穀物遺伝学者であるMike Galeは、「もし世界を食べさせるために地域で十分な食糧生産を望むなら、われわれ植物育種家は道具箱のすべての道具を必要とする」と述べた。

 Rifkin は農業へのバイオテクノロジー使用に対する彼の憎悪の赴くまま、MASはGM技術と「代替可能」でありえると示唆して、彼の考えるより良い判断を押しつける。しかし、これら2つの技術は非常に異なっている。

 例えば、Rifkinの主張は、「特定の食用作物の他の品種または近縁種から望ましい形質を見つけて、それらを既存の商業化品種と交雑育種させる」ことでMASが働くというというものだ。これは非常に鈍い道具だ。正しいマーカーを識別するのに何年もかかるかもしれない。これに対し、遺伝子接合では、有用な遺伝子を植物体に挿入することによって特定の優れた形質を付与する。例えば、それは除草剤耐性であるかもしれない。USAD(米国農務省)の報告によれば、米国では農家がスプレーする除草剤の量を減らしている。あるいはそれは、特に資源が乏しい国で、殺虫剤使用を減らせる害虫抵抗性であるかもしれない。

 そしてそれは、途上国で地球温暖化に対する最も重大な挑戦の1つと認識された半乾燥地域での植物の生育を可能にする干ばつ抵抗性を含む。この作物がすでに試験栽培されているが、積極行動主義者はアフリカの農民が利益を得るのに間に合うことを許すだろうか?
 これらすべての進歩は農業環境に極めて重要な利益をもたらしている。しかし、我々はMASが何をもたらすことができるかについて、ほとんど知らない。驚くべきことではないが、ヨーロッパの農家さえ今ではGMトウモロコシの利益を選択することができるし、現にスペインでは98年からそれが行われている。

 The Agricultural Biotechnology Councilの役割は、GM農産物と技術に関するオープンな討論を通じて理解を促進することだ。だから我々は、NGOからの反GMキャンペーンによる誤報を遺憾に思う。GM作物の利益を選択しようとする農家が、それを試みようとするのに、繰り返しメディアが恐ろしい物語を燃料補給する(そして、なぜGM作物が繰り返し増加を続けているのか)、真の失敗がここにある」(記事抄訳終わり)

 Tony Combes氏は、The Agricultural Biotechnology Councilの理事長代理で、英国Monsanto社の法人問題担当理事である。Rifkin氏の主張に対し、多少感情的になってしまったのが惜しまれる。そのためか、記事末尾から延々続くこの記事に対する投稿のほとんどは、「反GMキャンペーンによる誤報」に根ざした反論である。(GMOウオッチャー 宗谷 敏)

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