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斎藤くんの残留農薬分析|斎藤 勲

生産者と検査者との農薬異文化コミュニケーション

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2006年7月27日

 最近は仕事柄農業新聞を見ることが多い。ただし、ポジティブリスト制度施行後の進捗状況はどうかなといった、かなり偏った見方だが‥‥。関連して作柄状況、入荷状況、特集、広告なども見る。広告は普通の新聞よりもヒトの健康関連のものが多い感じがするが、中には?と首を傾げたくなるものも載っている。

 農薬では「ダコニール1000」の適用作物60種類以上の広告が分かりやすかった。理由は簡単。それぞれの適用作物の写真が載っているのだ。私のように通常スーパーに並ぶ野菜果実の名前位しか分からない凡人にはありがたい。「てんさい」ってこんな形なんだ、「トマト」と「ミニトマト」もちゃんと分けてあるね、「みしまさいこ」はこんなものにも使うんだなどなど、広告が学習材料になる。しかし、よほど身近で繰り返し経験すること以外は、年齢のせいもあるが、往々にして馬耳東風となる。

 農業新聞だから農薬の名前はたくさん出てくる。最近のものを拾ってみると、オーソサイド、アクタラ、ダントツ、トップジンM、カンタス、アミスター、アファーム、リドミル、トレボン、ダコニール、オリゼメート、ベンレートなど、並んでいる。農業新聞は通常農業関係者が読む新聞なので、その方たちにはそれほど違和感なく入ってくる名前だろう。

 しかし、食品衛生法関連というか、食品中残留農薬の検査を生業としているものにとって、通常これらの名前はほとんどお目にかからないというか、農水関連でなければ全く分からない。一方、キャプタン、チアメトキサム、クロチアニジン、チオファネートメチル、ボスカリド、アゾキシストロビン、エマメクチン、メタラキシル、エトフェンプロックス、TPN(クロロタロニル)、プロベナゾール、ベノミルと書くと、自分たちが分析対象としている農薬でありイメージがつかめる。

 農薬を使用するものと農薬を検査するものが別の世界に住んでいる、それが現状なのである。残留農薬検査の世界ではすべて化合物名で動いている。そもそも法律が化合物名である。標準品(化合物名で更に英語)、分析、結果、報告書すべて化合物名で統一されており、食品衛生法関連の担当者はその名前の中で生活している。

 異なる言葉を使っている関係はよいことではないが、今まではそうであったことは否めない事実だ。これからどうするかを考えよう。今回のポジティブリスト制度施行に伴い、生産者レベルでは登録ある農薬を適用できる作物に適切な濃度で適切な時期に散布使用することが求められ、さらに隣の畑に気を使いながらの作業も求められている。

 検査担当者は、農薬の規格基準も従来の倍以上に増えて、名前を覚えることさえ大変な時代であり、どこまで検査するのかも頭の痛いところだ。最近はLC/MS/MSといった高額機器もあちこちに導入され、農薬検査項目拡大に貢献しているが、お金のかかることである。

 そう考えると、やはり重要なのは手間暇かけて得られた検査データをどう有効活用するかがポイントとなる。検査担当者からの情報発信である。出口の検査データを入り口の生産者にどう伝えていくのか、検査担当者からの異文化コミュニケーションにおける翻訳作業が必要となる。

 農薬の化合物名に、商品名は1つだけではない場合もあるが、代表的なものを1つでもいいから対応させ、検査データに併記するとか、報告書には必ずかっこ書きするとか日常業務の中に出来るだけ取り込むといい。たまには仲間で暗記テストをやるのもよし。検査担当者が農薬名と共に商品名を使って検査結果を説明、紹介したら生産者はそれだけで次元を超えた対応をしてくれるだろう。それでこそ初めて対話というものが始まるような気がするのだが。

 主だった農薬と商品名の対応を載せておく(選定理由なし)。参考になれば幸いである。(東海コープ事業連合商品安全検査センター長 斎藤勲)

*農薬/商品名アドマイヤー/イミダクロプリド、アリエッティ/ホセチル、オマイト/プロパルギト、オルトラン/アセフェート、カルホス/イソキサチオン、グチオン/アジンホスメチル、ケルセン/ジコホール、サルバトーレ・ボンジョルノ/テトラコナゾール、ジョーカー/シラフルオフェン、スコア/ジフェノコナゾール、スタークル/ジノテフラン、ストロビー/クレソキシムメチル、スプラサイド/メチダチオンDMTP、スミサイジン/フェンバレレート、スミレックス/プロシミドン、ダースバン/クロロピリホス、デミリン/ジフルベンズロン、デナポン/カルバリル、トクチオン/プロチオホス、トルネード/インドキサカルブMP、ネマトリン/ホスチアゼート、バイジッド/フェンチオン、バイトレン/トリアジメホン、バスタ/グルホシネート、ビーム/トリシクラゾール、フジワン/イソプロチオラン、フリント/トリフロキシストロビン、ベストガード/ニテンピラム、ベフラン/イミノクタジン、ホリドール/パラチオン、マイトコーネ/ビフェナゼート、モスピラン/アセタミプリド、ラウンドアップ/グリホサート、レルダン/クロルピリホスメチル、ロブラール/イプロジオン

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