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斎藤くんの残留農薬分析|斎藤 勲

検疫所の輸入食品検査結果について勉強しよう

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2006年8月10日

 検疫所の輸入食品検査結果の7月分が発表された。7月の報告ともなると、ポジティブリスト制度施行から1カ月経過してからの結果であり、どんな変化があったのか見てみるのも面白い。まず、7月の食品衛生法総違反数は150件だった。

 内訳は6条違反(かび・腐敗やかび毒のアフラトキシン<基準は10.0ppb以下:農薬の一律基準0.01ppmと同じ>、有害物のシアン化合物などが含まれていた場合)が33件(大半はトウモロコシのアフラトキシン)、10条違反(指定外添加物)が10件、18条違反(器具・容器包装の規格、基準)3件、11条違反(食品または添加物の基準および規格)が104件と、半数以上を占めている。

 11条違反で目に付くのは季節柄もあるが、ウナギである。ウナギも加熱後摂取冷凍食品と養殖活ウナギの2種類あり、冷凍物は殺菌剤として使用されたマラカイドグリーン代謝物の検出など、活ウナギはエンドスルファン(ベンゾエピン、マリックス)とAOZ(ニトロフラン系合成抗菌剤の代謝物)の残留である。

 マラカイトグリーンは昔、金魚の病気によく使った記憶がある。中国でも2002年に食用動物に使用が禁じられているが、実際は守られていないため、日本の検疫所で違反となる。中国産養殖活ウナギで6件、天然活ドジョウで3件からエンドスルファンが0.008〜0.089ppm検出されている。

 エンドスルファンは魚毒性が高く、最近も三重県のほうで誰かが農業用水路に「マリックス」を投げ入れ、下流のボラやウナギの稚魚約300匹が死んだとの報道があった。このように養殖などにエンドスルファンを使うメリットは何もないと思われるが、使用されたエンドスルファンが土壌を汚染しその泥を食べたうなぎやとじょうに蓄積したのではないかと思われるが実情は定かでない。

 AOZはウナギから11検体検出されているが、遺伝毒性を有する発がん物質である可能性が高く、1日許容摂取量ADIを設定できないため、検出された食品は流通できなくなる。こういったものは早く使用を止めてほしいものであり、それができないと中国の評判は良くならないのは自明の理である。

 ほかの農薬では、台湾産生鮮マンゴー16件からシフルトリン、シペルメトリンが基準違反となっている。残留基準はシフルトリン0.02ppm、シペルメトリン0.03ppm(米国0.01ppmとEU0.05ppmの基準のほぼ平均)と厳しく、使わないほうが無難な残留基準である。マンゴーは今人気商品のため売りたいのはわかるが、以前から検疫所のデータをもとに注意喚起されていたものであり、もう少し輸入商社の方の迅速な対応が望まれる。

 1件気になったのは、ニュージーランド産生鮮レモンから基準のないチアクロプリド(バリアード)が検出された事例である。国内では01年登録の新しいネオニコチノイド系殺虫剤である。チアクロプリドはニュージーランドの基準ではアボカド、キウィフルーツ、ナシなどに基準はあるが、レモンにはない。それが、一律基準を少し超える量出ている。使えないのに出る‥‥。ドリフトなのだろうか?それとも使っているのだろうか?

 以前にも経験したことであるが、5月29日のポジティブリスト制度施行に伴い国内では農薬散布管理、とりわけドリフト対策が緊急課題として取り上げられており、それなりの対応はされていると思われる。しかし、米国など外国で大掛かりに果物、野菜を栽培をしているところでは、それほどドリフトに対してはきちんとした対応はなされていないというか、気にしていないのではないかと、個人的には思っている。その辺りを輸入商社の方は、東南アジアや中国だけでなく広くチェックしながら輸入しないと、危ないのではないだろうか。

 とはいえ、消費者の健康を守るという面では、6条違反のピーナッツ、ピスタチオ、トウモロコシなどから検出される有毒なアフラトキシンなどをきちんと水際で検査し止めていただくのが、最も検疫所に求められることだろう。検疫所の方々は毎日大変だとは思いますが、期待がかかるお仕事です。お体に気をつけて頑張ってください。(東海コープ事業連合商品安全検査センター長 斎藤勲)

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