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4月1日食品表示法施行 ここが変わる(2)栄養表示

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2015年3月30日

 現在、多くの加工食品に見かける栄養表示。これまでは企業の任意表示で、一定のルール(健康増進法に基づき定められた栄養表示基準)で表示されてきました。新法では栄養表示が義務化され、栄養表示基準をベースにして新たに食品表示基準が定められています。これから経過措置期間後の2020年まで、私たちは新基準のもとで変わっていく栄養表示を見ることになります。

 新基準のポイントは次のとおりです。
1)義務表示の「ナトリウム」は「食塩相当量」で表示
2)推奨表示は「飽和脂肪酸、食物繊維」の2項目、表示する場合は様式変更に
3)事業者の規模、対象食品によって、栄養表示の義務とならない場合がある
4)「〇〇たっぷり」など栄養強調表示の数値が変更に
5)栄養強調表示の相対表示、無添加表示のルールが変わる
6)栄養機能食品のルールが変わる
以上6点について、ご紹介していきます。

1)義務表示の「ナトリウム」は「食塩相当量」で表示

新基準の義務表示項目は、これまでと同様「エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム」の5項目ですが、「ナトリウム」は「食塩相当量」で表示されることになります。(食品表示基準第三条第1項 16p)

 従来のナトリウム表示では、利用する側は「ナトリウム(mg)×2.54÷1,000=食塩相当量(g)」と、いちいち計算して食塩相当量を求めなくてはなりません。しかも、この換算係数は消費者には一般的ではなく、2014年3月に消費者庁が公表した「栄養表示に関する消費者読み取り等調査」では、ナトリウムの表示から食塩相当量を計算できたのは、わずか3.9%にすぎなかったとされています。

 日本人の健康政策上、減塩対策が重要とされる中で、ナトリウム表示は活用しづらく健康指導のうえでもネックになっていました。医師や栄養士からもナトリウム表示を食塩相当量に統一することが強く求められ、消費者庁での検討会における議論を経て、ようやく「食塩相当量」の表記が新法で実現したのです。
 
 しかし実際に食塩を添加していない食品に「食塩相当量」と表示すると、誤認するケースが出てきそうです。そんなケースも想定して、新基準ではナトリウム塩を添加していない場合、ナトリウム〇mg(食塩相当量〇g)とする表示もあわせて認めることになりました。(食品表示基準第七条p63、第九条七 p75)

 このため、ナトリウムの表示方法について、下図のように2通りの表示が示されました。また、ナトリウムと食塩を併記する場合は、セットできちんと理解されるよう同じ枠内で表示をすることになっています。

*2014年10月31日消費者委員会第34回食品表示部会参考資料1より **表示単位は、ナトリウムのmgとし、食塩相当量の場合は栄養指導で用いられる単位であるg(グラム)とする。食塩相当量の場合は最小表示の位は小数点第1位とするが、0.1g未満の場合は小数点第2位までとする。

*2014年10月31日消費者委員会第34回食品表示部会参考資料1より
**表示単位は、ナトリウムのmgとし、食塩相当量の場合は栄養指導で用いられる単位であるg(グラム)とする。食塩相当量の場合は最小表示の位は小数点第1位とするが、0.1g未満の場合は小数点第2位までとする。

 ナトリウムを食塩相当量に代えて表示をするのは減塩教育上好ましいことなのですが、食塩以外のナトリウム塩も食塩相当量として表記することになるなど、科学的には正しいとは言えません。このため欧米ではナトリウム表示がほとんで、国際規格であるコーデックスのガイドラインでも、「食塩」表示は注釈で扱われており本文では「ナトリウム」となっています。

 それでも新法では、「食塩相当量」にこだわりました。消費者がいかに表示を活用して健康のために役立てるかということを重視したといえるでしょう。ようやく表示が変わるのですから、ぜひ食塩摂取量の目安(日本人の食事摂取基準2015年版における目標量:18才以上男性1日8.0g未満、18才以上女性1日7.0g未満)として利用してもらいたいと思います。

2)推奨表示は「飽和脂肪酸、食物繊維」の2項目、表示する場合は様式変更に

 義務化の対象成分に加えて、将来的に義務化を目指す項目として、新基準では「推奨表示」の項目が新たに定められました。今回はこれが「飽和脂肪酸」と「食物繊維」の2成分です(食品表示基準第六条 p60)。消費者の関心の高いトランス脂肪酸について検討は行われたものの、2015年3月20日の消費者委員会・食品ワーキンググループ(第3回)で見送られることが決まりました。

 なお、義務表示、推奨表示には入らない栄養成分は、任意表示です。表示レイアウトは、食品表示基準の別記様式三(P745~746)に次のとおり示されています。

別記様式三

別記様式三

 新基準では、推奨表示の飽和脂肪酸、任意表示のn-3系脂肪酸、n-6系脂肪酸が脂質に含まれることがわかるように一字下げの―(ハイフン)から始まり、コレステロールは脂質の下に位置づける表示方法となっています(なお、ハイフンは内訳表示の一例とされています)。炭水化物は糖質と食物繊維から構成されることがわかるように一字下げのハイフン、さらに糖類は糖質に含まれることがわかるよう二字下げのハイフンから始まります。

 このように推奨表示、任意表示の成分が、どの栄養成分に含まれるのか、新しい表示ではその包含関係が理解できるような表示に変更されます。このレイアウトは欧米でも取り入れられており、表示によって栄養成分の関係の理解も深まります。別記様式のように表示される栄養成分が増えれば、健康管理に活かす機会も増えることになるでしょう。
 
3)対象食品、事業者規模によって栄養表示の義務とならない場合がある
 
 栄養表示の義務化の対象は、原則として予め包装された全ての加工食品と添加物となります。しかし、栄養表示をするのが困難なケース等もあり、対象によって様々な例外規定が設けられています。

 まずは、外食や中食などの対面販売の場合はそもそも食品表示の適用外です。また、製造場所で直接販売される食品(スーパーのバックヤード等で製造されて店頭で陳列して売られているような弁当類)は、表示義務はなく省略が可能です。同じようにみえる幕の内弁当でも、コンビニで販売されている場合は表示義務がありますが、スーパーで製造され販売する場合は表示が省略でき、持ち帰り弁当は適用外となります。

 また、省略できる食品として「一 容器包装の表示可能面積がおおむね30平方cm以下であるもの」「二 酒類」「三 栄養の供給源としての寄与の程度が小さいもの」「四 極めて短い期間で原材料(その配合割合を含む)が変更されるもの」「五 消費税法第九条第一項において消費税を納める義務が免除される事業者が販売するもの」が掲げられています。(食品表示基準第三条3項 P54~55) 

 消費者庁が3月前半に行った説明会では「週替わり弁当やお花見弁当などは、極めて短い期間で変更されるものとして省略できるか」といった質問があり、消費者庁担当者は「近日中にQ&Aで示すが、前提条件として省略できるのは事業者の実行可能性を踏まえたもので線引きするような類のものではなく、その点を理解してもらいたい」と答えています。

 なお、前述の省略規定のうち「五 消費税法第九条第一項において消費税を納める義務が免除される事業者」とは、年間の課税売上高が1000万円以下の小規模事業者のことです。しかし、これでは小規模事業者の範囲が狭すぎるとして業界団体等から反対意見が相次ぎ、当分の間は「中小企業基本法第二条第5項に規定する小規模事業者(おおむね常時使用する従業員の数が20人[商業又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む者については5人]以下の事業者)」も事業者の省略規定に含むとする経過措置が設けられました。(消費者庁説明会資料2 3p脚注の注3)

 以上のように省略できるケースが様々あり、栄養表示がされない食品もかなりの数になりそうです。栄養表示は事業者の負担も大きく、狭いスペースに栄養表示をしても一体どれほどの消費者が活用するのかという声も聞かれます。それでも今後5年間の経過措置期間を経て環境整備が進み、消費者が活用できるようになれば、栄養表示のある食品も増えていくことでしょう。

4)「〇〇たっぷり」など栄養強調表示の数値が変更に

 「ビタミンCたっぷり」など特定の栄養成分を強調した栄養強調表示も、食品表示基準の任意表示の中に規定されています(食品表示基準第七条 p66~70)。この成分の数値はこれまで食事摂取基準の考え方が根拠とされた「栄養素等表示基準値」によって定められてきましたが、新基準では「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の考え方がとり入れられて、数値が見直されています。(食品表示基準別表10 p504~507)
(栄養素等表示基準値の新旧比較はこちら)

 たとえば、ビタミンAであれば、従来の基準値の約1.7倍に変更されています。このように変更されたのは、新しい食事摂取基準2015年版が年齢、対象別に細かく基準が定められていること、また基準値の考え方のもとになる栄養素等基準値の計算方法が、これまでは6歳以上の数値を対象としていたのが、1歳以上を対象にするように変更されたからです。
この考え方をもとに、強調表示の数値も見直されたものが、食品表示基準の別表12(p516~523)に示されています。
別表12

 また、カロリーなど取り過ぎが心配な場合の強調表示の基準値や、含有量を「0(ゼロ)」とすることができる基準値(食品表示基準別表13 p523~526)については、変更はありません。たとえばエネルギーの場合、「含まない旨」の「ノンカロリー」「カロリーゼロ」と表示する場合は、これまでどおり100gあたり5kcal未満(固体・液体の場合も同様 )の基準値を満たさなければなりません。

 なお、栄養表示義務化の環境整備を進めるために2013年9月、成分値の「許容値の範囲」に柔軟性をもたせたルールの改正が行なわれましたが、こちらも食品表示基準に書き込まれています(第三条1項 p17~18)。
たとえば基本5項目を表示する場合、計算値などの合理的な推定により得られた数値を出せば、表示値の±20%の範囲を超えても許されるもので、この場合「推定値」「目安値」などの表示が必要となります。コンビニのゼリーやヨーグルトなどに既に表示を見かけますが、このルールは栄養強調表示がされた食品には認められていません。強調表示をするのであれば、きちんと許容値の範囲におさまるよう管理が求められます。

5)栄養強調表示の相対表示、無添加表示のルールが変わる
 
 栄養強調表示には、絶対表示と相対表示があります。相対表示は他の食品と比べて栄養成分の量や割合が「多い」「少ない」ことを強調する表示で、よく「当社従来品〇〇%カット」などの表示を見かけます。ここでも基準値が定められていて基準値以上の絶対差が必要ですが、新基準ではこの規定に加えて、25%以上の相対差を必要とすることにしました。(食品表示基準第七条P67~69)
 これはコーデックスの考え方を取り入れたもので、相対表示のルールを厳しくしたものです。「当社従来品の20%カット」といった表示は、今後は一部の例外(ナトリウムの含有量を25%以上低減することにより、保存性や品質等を保つことが困難な食品:食品表示基準第七条p69)を除いて表示できなくなります。

 また、無添加強調表示で、食品の「糖類無添加」「ナトリウム塩無添加」「食塩無添加」に関する強調表示について、それぞれ一定の条件が満たされた場合のみに行うことができるようになりました(食品表示基準第七条p70~71)。こちらもコーデックスの考え方を取り入れたものです。
「無添加」表示は糖類や食塩に限らず、様々な食品に見かけます。消費者を誤認させる「無添加」表示も多く、景品表示法に抵触すると思われるものもあります。今後も様々な「無添加」表示の見直しを進めてほしいものです。

6)栄養機能食品のルールが変わる

 日ごろの食生活の中で、手軽にビタミンやミネラルが補給できる食品に「栄養機能食品」があります。ヨーグルトや清涼飲料の食品タイプから、サプリメント形状のものまで様々な商品が販売されており、一定の基準を守ればビタミン、ミネラルの機能性について定められた表示をすることができます。新基準では栄養機能食品のルールについて見直しが行なわれ、対象成分、対象食品、表示事項(食品表示基準第七条 p63~66)の3点で変更が加えられました。

 1点めは対象成分。これまでは17種類(ビタミン12種、ミネラル5種)でしたが、新たに3成分が加わり、20成分になりました。追加3成分は、n‐3系脂肪酸、ビタミンK、カリウムとなります。対象成分の追加については、消費者委員会第33回食品表示部会の資料に検討の詳細が記されています。

 n-3系脂肪酸は、α-リノレン酸、EPAやDHAなどで知られていますが、表示は「n-3系脂肪酸は、皮膚の健康維持を助ける栄養素です」と決められています。認知能や冠動脈疾患に関するような表記は認められていません。また、ビタミンKの表示は「ビタミンKは正常な血液凝固能を維持する栄養素です」となっており、注意事項として「血液凝固阻止薬を服用している方は本品の摂取を避けてください」の表示が必要です。

 カリウムの表示は「カリウムは、正常な血圧を保つのに必要な栄養素です」とされ、摂取をする上での注意事項として「腎機能が低下している方は本品の摂取を避けてください」の表示が必要です。なおカリウムは過剰摂取のリスク(腎機能低下者において最悪の場合、心停止)を回避するため、錠剤、カプセル剤等の食品を対象外となります。

 新基準では栄養成分ごとに「下限値」「上限値」「表示できる栄養成分」「摂取する上での注意事項」が定められ、別表11(p507~516)に記されています。なお、数値の基準となる「栄養素等表示基準値」が「日本人の食事摂取基準2015年版」を踏まえて変更されています。これまでも栄養機能食品を利用する場合、「栄養素等表示基準値に占める割合%」を目安とする場合が多かったと思いますが、そのもととなる数値が変わったということです。また、下限値(栄養素等表示基準値の30%)も変更されています。成分によっては2倍ちかく変わっているものもあるので、留意が必要です。(栄養素等表示基準値の新旧比較)

 2点めは対象食品の範囲で、これまでの加工食品の形態に加えて、生鮮食品が加わります。これからは、生鮮食品売り場で「栄養機能食品」の表示を見かけるかもしれません。たとえばキウイフルーツの場合、可食部100gに含まれるビタミンCは69mg(五訂日本食品標準成分表より)。中くらいのもの1個で、栄養機能食品の下限値(30mg)をクリアしています。この際はビタミンCの量が下限値を下回ることが無いよう、ロットの管理等が必要となります。

 3点めは表示事項で、下記が見直されました。
・栄養表示基準値の対象年齢(18才歳以上)及び基準熱量(2,200kcal)に関する文言を表示すること
・特定の対象者(疾病に罹患している者、妊産婦等)に対し、定型文以外の注意を必要とするものにあっては当該注意事項を表示すること
・栄養成分の量及び熱量を表示する際の食品単位は、1日あたりの摂取目安量とすること
・生鮮食品に栄養成分の機能を表示する場合、保存の方法を表示すること

 以上を踏まえて、栄養機能食品の架空の表示と留意点をつくってみました。
栄養機能食品 
このように栄養機能食品は細かい表示が義務付けられており、利用する場合は表示をよく読むことが大切です。また、食事摂取基準では性別、年齢など対象ごとによって目標量等が細かく定められていますが、栄養素等表示基準値では成分ごとに1つの数値に丸められているため、利用者の求める目標量と乖離するケースもあることを知っておきましょう。

 新法では、栄養表示が義務化されることが目玉となり、あわせて様々な見直しが行なわれています。しかしせっかくの表示も、その情報を受け取る側が読み取る力がなければ意味はありません。消費者が暮らしの中でいかに活用できるようにするのか、消費者の理解を深めるための栄養教育など、啓発活動もあわせて求められます。

 続いて新法で新たに導入されることになった機能性表示食品制度についてみていきましょう。

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