科学的根拠に基づく食情報を提供する消費者団体

執筆者

森田 満樹

九州大学農学部卒業後、食品会社研究所、業界誌、民間調査会社等を経て、現在はフリーの消費生活コンサルタント、ライター。

食品表示・考

新しい製造所固有記号見つけた!消費者庁HPで検索してみた

森田 満樹

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先日、近所のスーパーでクリームシチュウのルウを買ったら、外箱表示に新しい製造所固有記号が書いてあるのを見つけました。写真上の商品です。「製造所固有記号は賞味期限表示のカッコ内に記載」とあり、(+SF)が新記号となります。新記号は新ルールに基づき「+(プラス)」が目印です。下の商品は同じ会社の旧記号で「+」はありません。

 

新製造所固有記号

 

製造所固有記号とは、表示されている販売者・製造者と実際に製造した事業者が異なる場合に、その情報をアルファベット等の記号で示したもので、記号は国に届出されています。新しい製造所固有記号制度では、消費者庁のデータベースを通して事業者が新記号を申請することになりましたが、このデータベースを通して消費者が新記号を検索できるようになりました。どこで製造されたのか事業者に問い合わせなくても、消費者庁のウェブサイトで調べればわかるようになりました。

新制度は、本年2016年4月1日よりスタートしています。しかし、新記号の商品はなかなか見つかりませんでした。旧記号から新記号に移行するための期間は、2020年3月31日までとされ、まだ時間があるからです。スーパーで買い物の度に探していたのですが、ようやく見つかりました。新記号は旧記号と見分けがつくように、記号の前に+(プラス)が付けられており、これでデータベースで検索できます。

さっそく検索してみましょう。
まずは消費者庁のウェブサイトから「製造所固有記号データベース」を開きます。(消費者庁トップページの「食品の安全や表示について知る」をクリックして、スクロールしていくと「消費者の方」の下に「製造所固有記号の届出情報を確認される方へ」が出てきます。そこをクリックすると「製造所固有記号届出データベース」が開きます。)

 

データベース画面

 

データベースの「製造所固有記号の届出情報を確認される方へ」の下に、「●製造所固有記号の検索」があります。ここがわかりにくいのでもっと大きく見やすくしてくれたらいいのにと思いますが、気を取り直してクリックすると下記の検索画面がでてきます。

 

検索画面入力

 

この一番上の項目、製造所固有記号の後に「*入力必須」と赤字であります。ここに新記号を入力します。ここでは、+を外して「SF」と入力します(プラスが付いたままだと検索不能となります)。検索ボタンを押すと、SFで登録した会社が18件(2016年12月15日現在)出てきますので、2番目の項目の「製造者又は販売者」に情報を入力して絞り込みます。この商品の製造者は「ハウス食品株式会社」ですが、「部分一致検索」で「ハウス食品」とか「ハ」などと入力して検索すると、表が出てきます。

ハウス食品製造所

 

実際にどこで製造されているか、右側の製造者の名称をみるとハウス食品株式会社とあり、委託工場ではなく自社工場であることがわかります。工場の住所は静岡県袋井市とあります。SFは県と市の頭文字から取ったのね、などと推察します。

●製造所固有記号がどこにあるか、一括表示で確認を

食品表示の制度が見直されるにつれて、パッケージに書かれる情報は増えていきます。商品によっては情報がぎっしりで、製造所固有記号がどこにあるのか、わかりにくい場合もあります。ペットボトルならばキャップの下や液面の上など、ものによっても場所が違います。製造所固有記号がどこに表示されているのかは、一括表示の枠内、枠下に書いてあります。

また、この商品のように製造所固有記号と他のアルファベットが併記される場合もあります(何かあった時に細かく遡ることができるように、商品のロット番号や製造時間を示す記号を併せて付されるため)。この商品の一括表示は次のとおりで、最後の行に「製造所固有記号は賞味期限表示のカッコ内に記載」と説明があります。検索するときは、カッコ内だけを抜き出して入力します。

一括表示

ところで話はかわりますが、上記は新表示でアレルギー表示の一括表示の方法も新方式になっています。私が感心したのは、ここが赤字でアレルゲン表記されていること。原材料名の欄で大事な情報が埋もれないように、工夫されているのです。旧表示の商品は赤字ではなかったので、新制度となって見直したのでしょう(ちなみにEUでは、アレルギー表示は太字で表示されることが義務付けられています)。この先、原料原産地表示が義務付けられることを考えると、どうなるのか。この商品の商品名は「北海道シチュークリーム」で、北海道産生乳100%の生クリームを使用しているということですが、重量順位1位は食用油脂です。ここに製造地を表示するのか…。原材料名の表示が増えてますますわかりづらくなりそうです。

●何かあったら検索できることを覚えておこう

製造所固有記号が新記号になっても、わざわざ検索する方は少ないと思います。でも、商品事故など何かあった時に、パソコンやスマートフォンからすぐに検索できると覚えておくと便利です。今回、食品表示法で製造所固有記号が見直されたのは、2013年末の冷凍食品の農薬混入事件がきっかけでした。手元にある食品がどこで製造されたのかが消費者庁のウェブサイトでわかれば、自主回収も進むでしょう。また、PB商品やお土産品などでは、委託工場で製造しているのか、住所はどこなのか調べることもできます。

パソコンやスマートフォンがないからと、あきらめないで。+のついた製造所固有記号の製造所がどこか、消費者が問い合わせ先に連絡をすれば、事業者は返答する義務があります。いずれにしても、製造所固有記号からどこで製造したかを知るにはひと手間かかりますが、新制度では知りたい情報にアクセスできるよう一歩進んだのです(森田満樹)。

執筆者

森田 満樹

九州大学農学部卒業後、食品会社研究所、業界誌、民間調査会社等を経て、現在はフリーの消費生活コンサルタント、ライター。