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加工食品の原料原産地表示 パブコメ受けて経過措置期間「5年間」に延期

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2017年6月16日

 全ての加工食品に原料原産地を義務付けるべく、消費者庁が2017年夏の改正食品表示基準の告示・施行に向けて作業を進めている。同庁が改正食品基準案を公表したのは2017年3月。4月にパブリックコメントが募集され、この間で寄せられた意見総数は8715件(意見申出者は4500名を超えており、1人につき複数の意見をカウントした総数)となった。かなりの数で、国民の関心が高いことがわかる。

 このパブリックコメント等の意見を受けて、消費者庁はさらなる改正案を作成し、6月8日の消費者委員会食品表示部会の審議を求めた。当日参考資料1に、これらパブリックコメントの概要が93ページにわたって掲載されている。総論と各論32項目にわたっており、賛成、反対意見が幅広く寄せられている。

 この日、消費者庁が示した改正案における主な変更点は、1)「可能性表示」の呼称について、2)過去の産地別使用実績の期間の取り方について、3)経過措置期間について、4)消費者への普及・啓発について、の4つであった。

 1の「可能性表示」の呼称の変更について、これまで説明してきた「可能性表示」という呼び方が誤解を生むため「又は表示」としてはどうか、という提案だ。「可能性表示」という呼び方は表示が不正確であると消費者に認識されるので、呼び方をかえようというものだ。表示方法が変わるわけではないので、呼び方をかえてもなかみは変わらないのだが・・・。

 2の過去の産地別使用実績の期間の取り方について、これまで可能性表示や大括り表示等において、過去の実績を認めるのは製造年から3年前だがこの中の製造年から3年前の1年間は認めないとしていたものを、変更案では認めることとした。パブリックコメント等で、より幅広く認めるよう求める意見にこたえたものだ。

 3の経過措置期間について、これまでの基準改正案では2020年3月末までとして2017年夏の施行からの移行措置期間は2年半しかとられていなかった。これでは準備期間は足りないと、パブリックコメント等で多くの意見が寄せられ、消費者庁は延期をしたほうがいいと判断した。具体的な移行措置期間は、この日の食品表示部会で委員からの意見を求めた。
 この中では、日本ヒーブ協議会の川口徳子委員が出した資料が説得力があった。実際に複数企業の改版頻度を調査して包材メーカーの対応可能性を示し、原料原産地の調査と改版をする期間やシステム化に必要な期間を考慮すると4年半は必要だと結論づけた。他の委員も5年間は必要であると具体的な数字を出し、座長は最後に「5年程度が適当」とする部会の意見をまとめました。4年半とすれば2022年3月末まで、5年とすれば2022年夏までが移行期間となるだろう。

 4の消費者への普及・啓発について、複雑な制度であるため、消費者だけでなく事業者に対しても十分な啓発が必要とする意見が出された。

 以上がパブコメを受けた主な変更案である。ちなみに前回の食品表示部会では、基準改正案の骨格となる例外表示(可能性表示、大括り表示、可能性+大括り表示、製造地表示)について、多くの委員が「わかりにくい」として反対意見を表明していた。しかし、今回は部会長から「総論の意見ではなく、4つの変更点についての意見が求める」とされ、もはや例外表示の是非を検討する場面ではないとされている。

 また、パブリックコメントで9千近くの意見が寄せられたものの、今回の変更案を見ておわかりのとおり、移行措置期間だけは延期されたが、実質的な内容はほとんど変わっていない。WTO通報が行なわれており、数か国の国から意見が出されたというが、その内容も明らかになっていない。

 次回6月29日の食品表示部会、7月の開催を経て消費者委員会が答申を行い、この夏に食品表示基準が告示・施行されることになる。移行措置期間は下図(クリックするとはっきり見られます)のとおり2022年までとされるだろう。
食品表示基準のスケジュール

 さらに2017年度は遺伝子組換え食品表示制度が検討されている。来年度は食品添加物表示制度の見直しも予定されている。食品表示法は消費者・事業者にとって「わかりやすい表示」をめざしてつくられたはずだったが、わかりにくくなるのでは本末転倒だし皆が混乱するだろう。どこまで見直しは続くのだろうか。(森田満樹)

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