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パブリックコメントを出そう!〜中間論点整理に関する意見交換会を聞いて〜小比良和威さん

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2012年3月29日

 前回の記事でもお伝えしたが、食品表示一元化検討会の中間論点整理についてパブリックコメントの募集が行われている。それに関連して、3月23日に意見交換会が開催された。今回は、その内容をお伝えする。

 発表者は、事前に意見発表に応募した個人と団体で、全部で23の発表者があつまった。この発表者が3もしくは4名ずつのグループにまとめられ、グループ単位で各発表者の発表(持ち時間8分)の後に、発表者間でのグループ討論が行われた。事前に公開されたプログラムには、業界団体や市民団体の発表順が、特にグループ分けされておらず、なぜこの順序かと思ったのだが、グループ間のバランスを取るために、市民団体や業界団体の発表時間が固まることなく、ばらされていたのだった。

 消費者庁のHPには、当日のプログラムや要旨集が掲載されいている。各発表者の意見の概要はそちらから知ることができる。ただし、個人の発表者については個人名は掲載されていない。意見要旨集には各団体の意見がどの論点に意見を述べているかわかるようになっている。それを集計すると、最も意見が多かったのが論点4の原料原産地と論点5の栄養表示義務化について。次いで、論点1の目的と論点2-1の制度のあるべき姿となっていた。これらの4つの論点には20を超える意見が寄せられ、参加者のほぼすべてが言及したことになる。一方、論点2-2のわかりやすさに向けた取組と論点3の販売形態についての意見はすくなかった。発表は必ずしも論点に沿う必要はないため、論点にない項目についての意見もあるが、大まかな参考にはなるだろう。

 参加団体に目をむけると、事業者団体としては製粉協会、清涼飲料工業会、日本果汁協会、日本植物油協会、全日本菓子協会、全国和菓子協会が意見を述べた。各団体から共通して出た意見は、原料原産地表示の義務化は困難という意見だった。一方、消費者団体側からは、消費者の権利を条文に盛り込むこと、原料原産地の原則表示や遺伝子組換え食品の表示(特に、表示対象の拡大と、意図せざる混入の許容率5%の引き下げ)の3点が主張された。なお、食の安全・監視市民委員会、主婦連合会、生活クラブ生協連合会、日本消費者連盟、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンの各団体は食品表示を考える市民ネットワークに所属している。

検討会の進め方には多くの批判

 検討会の進め方には多くの批判が集まった。主な点は・中間論点整理が結果的に意見の羅列に終わっている・3法のみの一元化で良いのか・管理取り締まりと一体の議論をしなければ、などであった。これらに関しては検討会を通して度々行われてきた批判であり、驚くにあたらない。もともと、限られた開催回数の中で各論まで踏み込むのは無理があるという話も出ていたので、法律の大枠についての議論になるのは理解できないこともない。しかし、そうした見通しが示されたのは中間論点整理の取りまとめの最中であった。

消費者の権利

 消費者基本法にうたわれている消費者の権利を明記してほしい。これは検討会でも山根委員が度々主張していることである。この意見交換会でも山根委員が所属する主婦連をはじめ、食品表示を考える市民ネットワークに所属している各団体から同様の意見が述べられた。だが待ってほしい。おそらく、意見交換会の場におられた方々で、食品表示一元化が消費者の権利の権利をないがしろにしても良いと考えておられる方はいないだろう。問題は、それをあえて明記するか、その精神に則って法が作られるのが当然だからあえて明記まではしないかだ。私などは消費者政策の基本に据える事項であるからこそ、消費者基本法が作られたのだから、重ねて記載する必要までは感じないのだが、どうなのだろうか。それとも、消費者に関する法律には、すべて消費者の権利を明記すべきなのだろうか?

原料原産地表示をどうするか

 原料原産地表示の原則義務化に対して、各事業者団体からは具体的に表示が困難な背景の説明がなされた。小麦粉や果汁のような、あるいみ「単一」の原料からなるように見える製品においても、事業者は品質の安定化や安定供給を行うために、多くの産地のものをブレンドして供給を行っている。もし、原料原産地表示を行うことを優先して、産地を絞るようなことになれば、品質のバラつきが大きくなったり、供給量や価格が不安定になる恐れがある。また、輸入品には原料原産地表示が適用されないため、国内産業の空洞化を招き、輸入にシフトすることが予想されるという懸念も述べられた。これらの主張は原料原産地表示の議論の際に以前から述べられてきたことである。また、原料原産地表示は国内産業の保護とセットになっており、韓国では表示を行うことと同時に輸入品へ関税も高く設定していることなどが紹介された。そうした、食を取り巻く制度全般を見ずに表面的な制度のみを論じることは危険だろう。

遺伝子組換え表示

 主たる論点ではないが、遺伝子組換え食品についても多くの意見が出された。主な内容は、表示対象食品の拡大とともに、意図せざる混入に対して認められている5%の引き下げ(EU並みの0.9%)だ。混入率の見直しには私も賛成だが気になることもある。バイテク情報普及会がとりまとめている遺伝子組換え食品の法制度(http://www.cbijapan.com/worldcontext/legislation.html)では、EUをはじめとして、多くの国では「遺伝子組換えでない」という表示は認められていない。しかし、「遺伝子組換えでない」という表示についての意見はまったく出なかった。遺伝子組換え食品の表示でEUに倣うのは混入率だけでいいのだろうか。

アレルギー表示に関する貴重な意見も

 食物アレルギーの子を持つ親の会からは、アレルギー被害の実例をもとにした貴重な意見があげられた。その中には以前、食品の表示に関する共同会議において、表示対象にするかの議論対象となった「ゴマ」に関するアナフィラキシーショックの事例なども紹介された。また、同会は単に表示対象を増やすのではなく、実際の症例に基づいて表示項目の整理も併せて行うべきという意見を述べた。実際、アレルギーの表示対象の中には症例が少ないものがある一方で、先のゴマのように症状が重篤にもかかわらず表示が見送られているものがある。また、交差反応が起こりやすいために、項目をまとめた方が良いのではないかと思われるものもある。しかし、表示を「整理しよう」という声は事業者や行政からは言い出しにくい。こうした貴重な声はアレルギー表示見直しの際に積極的に取り入れてほしい。

必要なのは丁寧な議論

 傍聴していて感じたのは、同じ「食品」の表示を論議しながら、それぞれのイメージしている食品というのは共有化されているのか?ということだ。例えば、「書ききれないほどの原料を使っているような食品があることが問題」という、発言があった。一見、なるほどと言えなくもないが、それでは「お節料理」はどうなるのか? コンビニの弁当にも、おかずの種類が多く、ヘルシーな見た目のものがある。それらは当然、使用する原材料の種類も増え、場合によっては「書ききれない」ほどになるだろう。

 また、原料原産地表示においても、グループ討議において事業者側から、「原料原産地表示が安全性や品質に及ぼす影響はない一方で、表示のためのコストは莫大になる」という意見がでると市民団体側からは「すべての原料原産地表示を求めているわけではない」という言葉が聞かれた。しかし、原則義務化を求めるとは、すべてに表示を行うということである。本当に、どこまでの表示が必要と考えているのか、コスト負担がどの程度ならば許容できるのか、必要なのは一方的な主張ではなく、実効性まで考えた丁寧な議論だ。

パブリックコメントの意見募集は4月4日(水)まで

 すでに、残り1週間を切ってしまったが、まだまだ意見を述べることは可能だ。食品表示について意見をお持ちの方は遠慮せずに、パブリックコメントに意見を出してほしい。ただ、その際に2つのことをお願いしたい。1つは中間論点整理の内容や参考資料などに目をとおしていただくこと。もう一つは、ご自身も食品を提供する側にまわる場合もあることを念頭においていただくこと。例えば、会社勤めをやめてカフェを経営した場合、あなたは食品を提供する側に立つことになる。仮に外食に対する表示が強化される場合、あなたが必要な表示を行う側になる。その時に、どんなことを伝えたいか、どんなことが可能なのか?身近な「食品表示」に関することだけに、そうした想像力も駆使して臨んでほしいと思う。

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