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外食・中食、よろしゅうおあがり|道畑 美希

どんなコラム?
食のマーケティングやレストラン経営が専門。社会に出てから食を見続け、食べ続け、四半世紀。もはや語り部と化すおババのコラムです
プロフィール
京都大学農学部修士課程修了後、外食企業を経てフードコーディネーターに。東洋大学講師・Foodbiz-net.com代表

変わらぬ「白か黒か」の思考

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2011年6月19日

●産直市、被災地応援メニュー…継続に意義がある

 震災発生から3か月も経過した。政府や東京電力からは「実は○○でした」といった情報が次々と出てくる。政治の世界では、アホみたいな権力争いが繰り広げられている。被災者たちの憤りはどれほどか、悔しさやもどかしさでたまらなくなる。

 このサイトで紹介された福島県二本松市の旧東和町の生産者たちは、怒り心頭ながらも、冷静に農業生産を自ら分析し、地域一丸となって、生産と販売の回復に努力をされている。東洋大学が企画した産直市は大した売上にもならず、逆に生産者の皆様には、ごめいわくをかけた形になったかもしれない。が、継続することに意義があると自分勝手に思い込んで、次なる手を模索中。今月末には、旧東和町を訪ねてくるつもりだ。

 産直市と並行して、被災地産の野菜を使ったメニューを学生食堂で販売している。若い世代の学生は、特に気にすることもなく、同じ食べるなら被災地に貢献できるメニューを食べてみようという気持ちも手伝ってか、売上はまずまずである。
 でも一方で、「被災地産の野菜は危険だから、学食で販売しないで」「ちゃんと分析しているのか」などと社会人学生からメールがいくつか寄せられている。メディアやサイトで聞きかじった情報で、問い合わせてくる。しかし、数字を交えながら説明を重ねていくと、攻撃的なメールも黙ってしまったり、意外とやりとりが続かなかったりする。

●なんとなく〜感覚で動く消費者

 消費者とは、感覚でしか動いてないのだ、と改めて感じる。科学的な知識や理解の上に立って、数字を捉えてモノ言うわけでもないし、買う買わないを決めるわけではない。多くは、なんとなく~、という感覚だ。そして、そして、ふがいない政府や大きな権力への不満や反発も大きな要素になってはいないか。「被災地産の野菜を食べよう」なんて、行政側に賛同するのは敵だと言わんばかりのメールの文言。多くの選択は、敵味方、二極対立の思考のなかにあるようだ。

 2001年にBSE発生、それに続く大企業の偽装問題が発覚した折、「牛肉を買わない」という主婦たちは、牛肉の安全性への不安もあるが、行政や大企業への総スカンの気持ちを行動にあらわしているのだ」と書いていた評論家がいた。(その評論家の名前や書かれていた本が見つけられません。ごめんなさい。)。まったく、その通り。関西弁で言えば「あんたら、ええ加減にしいよ! 私ら、関係するもんは買わへんで~。」という感じだ。行政や企業は敵、テレビは味方。白か黒か、どちらかしかない。

 今回は、東京人も3月11日はそれなりに怖い思いもした、帰宅難民になった人も大勢いる。被害者側であるとの意識は大きい。政府や東電は敵、被災地は、助けてあげたい同胞なのだ。福島の野菜だから高くは売れない。安かったら買ってあげよう、都会人の勝手さは変わらない。

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