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GMOワールドⅡ|宗谷 敏

どんなコラム?
一般紙が殆ど取り上げない国際情勢を紹介しつつ、単純な善悪二元論では割り切れない遺伝子組 み換え作物・食品の世界を考察していきたい
プロフィール
油糧種子輸入関係の仕事柄、遺伝子組み換え作物・食品の国際動向について情報収集・分析を行っている

米国各州のGM食品表示法案と住民発議の現状(上)

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2013年10月17日

 日経BP社の「日経バイオ年鑑」に毎年掲載している「遺伝子組み換え(GM)作物を巡る世界各地の動き」の年間ログ原稿執筆に追われて、しばらくFOOCOM.NETをサボってしまった。ログでは、米国各州のGM食品表示関係を煩瑣となるため殆ど省略したが、補完する意味でこれらを整理し、3月11日18日に纏めたものの半年後を探る。

<連邦議会の動き>

 先ず、連邦議会の動きを簡単に追っておこう。4月24日に下院と上院で、全国的なGM食品表示法案(GE Food Right-to-Know Act)であるH.R.1699S.809が、オレゴン州選出Peter DeFazio下院議員と カリフォルニア州選出Barbara Boxer上院議員により提案され、両院委員会で審議中である。
 5月15日には、下院農業委員会が、GM食品表示をする各州の権利を奪うものとOrganic Consumers Associationなどが解釈しているSteve King下院議員(アイオワ州)提出の農業法案(S- 954)改正案(通称PICA :the Protect Interstate Commerce Act)を可決した。
 5月23日に、上院は、Bernie Sanders上院議員(ヴァージニア州選出)が提案した各州にGM食品表示を許す農業法案(S-954)の改正案(S.Amdt. 965)を27票対71票で否決した。
 6月20日に、上院委員会は、GMサケに表示を必要とする文言を歳出法案に加えるLisa Murkowski議員(アラスカ州選出)の提案を、15票対14票で可決した。

 以下は、個々の州別の動き(ABC順)、年号がない月日はすべて2013年。

<北部アラスカ州>

 アラスカ州議会は、Geran Tarr下院議員提案のFDAに対しAquaBounty社のGMサケのさらなる潜在的リスク調査と表示を要求するHJR5を、下院は2月20日、上院は3月25日に両院とも満票で通過させた。

<南西部アリゾナ州>

 GM成分を含んでいるのに表示されていないのは不当表示に相当するという改正法案SB1180が、1月24日Ed Ableser上院議員により提案され、上院商業・エネルギー・軍事委員会が検討中。

<西部コロラド州>

 Jeanne Labuda下院議員が提出したGM食品に表示を必要とする法案HB1992は、2月21日のヒヤリングの直後に下院健康・保険・環境委員会が2票対7票で否決・廃案とした。

<東部コネチカット州>

 2月末に提案された調整粉乳とベビーフードにGM食品表示する法案H.B.6527を6月1日上院が可決(満場一致)、6月3日下院も可決(賛成134-反対3票)し、6月25日に州知事が署名した。但し、自州に隣接する1州を含む他の北東部4州が類似の法案を通過させ、それらの人口合計が2千万人を超えた場合のみ発効する。尚、加工食品全般にGM食品表示を求めるH.B.6519も下院で継続審議中。

<東南部フロリダ州>

 下院議員が3月5日提案したGM食品表示法案H1233は、5月3日に下院農業と天然資源小委員会が廃案にした。3月7日提案された上院のS1728も、5月3日に上院農業小委員会が廃案にした。Michelle Rehwinkel Vasilinda下院議員らが、2014年会期への法案提出を計画している。

<ハワイ州>

 「この製品はGM原材料を含むか、GM原料から生産されました」という表示を義務づけるHB174が、2月7日下院農業委員会により「ハワイ州の外部から輸入された産物のみに当てはまる」と条文改正され、3月5日に下院を通過し、上院に送られた。3月21日、上院の3委員会は審議を延期した。
 2014年1月1日からGM食品の州内販売を全面禁止する改正法案HB349は、1月22日下院農業委員会がペンディングにした。
 併せて「GMされていない」または「GM成分を含まない」という表示を許し、その遵守を担保するための2法案のうちHB627は、1月22日に下院農業委員会がペンディングに、もう片方のHB631は、2月4日に下院農業委員会が審議を延期した。
 一方、上院でも2014年7月1日から表示なしでGM食品販売を禁止するSB615が1月18日に提案され、審議中だ。
 また州議会は、連邦議会、USDAとFDAに対しGM食品表示するための全国的なシステムを検討するよう要求するHR149を4月12日議決した。
 郡レベルの法案は、さらに過激だ。現在栽培されているパパイヤとトウモロコシを除くGMO の戸外での耕作を禁止するBill79改め Bill113と、医療・農業の公的研究所を除きGM栽培、開発と使用を禁止するBill109が、ハワイ郡議会で審議中である。また、カウアイ郡議会は、10月16日未明に論争の的だったBill2491を6票対1票で可決した。この法案は、郡内でGM試験栽培を行っているバイテク企業に対し、農薬使用量と栽培しているGM作物の報告を義務づけるもので、2014年年6月から発効する。

<中西部イリノイ州>

 David Koehler州上院議員が2月13日に提案したGM食品表示法案SB1666について、上院小委員会は6月20日、8月7日及び9月17日の3回にわたり州民からのヒヤリングを実施し、ペンディングになっている。9名の上院議員が法案支持を表明している。
 下院でもDeborah Mell州下院議員が、2月に2014年1月1日からGM食品表示を要求するHB3085を提案し7名の下院議員からの支持を集め、下院議事運営委員会でペンディングになっている。

<中西部インディアナ州>

 Dan Forestalt州上院議員が、1月に提案した2014年7月1日からGM食品表示させ「natural」表示を禁じる法案HB1196は、1月10日に農業と地方開発委員会が審議。

<中西部アイオワ州>

 Joe Bolkcom上院議員が、2月14日に90パーセント以上のGM成分を含む食品への表示を義務づける法案SF194を提案したが、4月3日の上院農業委員会でペンディング。

<東北部メイン州>

 GM食品表示法案L.D.718を、6月12日に下院が、6月27日に上院が可決した。但し、他の5州が類似の法案を採用するか、1州または複数の州の人口合計が2千万人を超えた場合のみ発効する(因みにメイン州の人口は130万人程度)とし、2023年1月1日までに条件が満たされない場合には廃案となる。

<東部メリーランド州>

 下院でGM食品の情報公開と表示を必要とし「natural」表示を禁じる法案HB903が提案されたが、審議を行った健康・政府事業委員会の否定的報告により、議会での作業は2月26日に撤回された。

<北東部マサチューセッツ州>

 下院議員たちが、積極的に立法に取り組んでおり、GM食品表示関連法案4本と種子表示法案1本が提案され、審議中だ。
8名の下院議員と上院議員1名が支持する、表示する食品中のGM成分の定義に関するH2093が、両院公衆衛生委員会でペンディング、6月11日にヒヤリングを開催。
 Todd M. Smola下院議員提案が提案したGM食品表示法案H808は、両院環境・天然資源と農業委員会でペンディング、6月3日にヒヤリングを開催。
 Michael Moran下院議員提案のGM食品のガイドラインを確立する法案H2037は、両院公衆衛生委員会でペンディング、6月11日にヒヤリングを開催。
 9名の下院議員と上院議員1名が支持するGM食品関連法H1936は、両院公衆衛生委員会でペンディング、6月11日にヒヤリングを開催。
 5名の下院議員と上院議員1名が支持する種子への表示法案H813は、両院環境・天然資源と農業委員会でペンディング、6月3日にヒヤリングを開催。

<中西部ミネソタ州>

 2月21日、下院議員14名が支持するGM食品と種子への情報開示(表示)を要求する法案HF850が提案され、農業政策委員会でペンディング。
 2月28日には、上院でも上院議員2名が支持する表示無しでGM食品と種子を販売することを禁じる法案SF821が提案され、農業・地方開発委員会でペンディング。

<10月18日の(下)に続く>

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