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今月の質問箱|瀬古 博子

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消費生活アドバイザー。食品安全に関する広報業務に従事して十数年。個人の考えを書いています

アクリルアミド低減、欧州のアドバイスは「黄金色に」

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2016年3月16日

 最近、新聞やテレビでときどき取り上げられる「アクリルアミド」。炭水化物を多く含む食品を高温で加熱したときにできてしまう物質です。アミノ酸のアスパラギンとブドウ糖などの糖類が反応してできるとされています。

 FOOCOM.NETでも、松永編集長が「炒め野菜にほどほど注意〜アクリルアミドの発がん性問題(2016年2月9日)」「家庭でも生成するアクリルアミド・・・調理の秘訣、教えます!(2014年12月5日)」「アクリルアミドの発がん性問題 「ポテチに多い」で慌てる必要はない(2014年10月5日)」など、繰り返し書かれています。

「懸念がないとは言えない」とは?

 アクリルアミドの健康への影響について、リスク評価機関である食品安全委員会が評価中で、評価の案では、発がん性について「懸念がないとは言えない」としています。
 「懸念がある」ではない、「懸念がない」でもない、この表現。いったいどういう意味なのでしょう?

 アクリルアミドは動物実験の結果、遺伝毒性(DNAを傷つけて細胞をがん化させる性質)があるとされました。
 一方で、人を対象とした研究では、アクリルアミドの摂取量が多いとがん発生率が高くなるといった一貫した傾向が見られませんでした。

 動物実験で影響があった量と日本人の摂取量の比較については、
・日本人のアクリルアミド推定摂取量の平均値は0.24μg/kg体重/日
・動物実験で発がんを10%増やす摂取量は170~300μg/kg体重/日
 約1000倍の差があるということになります。遺伝毒性発がん物質の場合、この差は1万倍以下が対策が必要とされる目安とされています。
 以上のことから「懸念がない」でもなく、「懸念がある」でもない、「懸念がないとは言えない」との判断が導かれたようです。

トーストやポテトは「黄金色」に

 アクリルアミドは家庭の調理も含め、ふつうの食品に幅広く含まれるものなので、摂取量をゼロにすることはできません。しかし、調理の工夫などで、気をつけることはできます。
 「気をつけるに越したことはない」というつもりで対処すればよいのではないでしょうか。
 日本人の摂取源としては、高温で加熱調理した野菜類が多いといわれています。野菜のあれがいけない、これがいけないということではなく、問題は「調理法」です。

 アクリルアミドができるのは120℃以上ですから、焼く、揚げる、炒める、焙るなどの調理法のときは注意が必要です。
 ポイントは、
▶焦がさない。
▶焼き色、揚げ色は「薄め」に。
▶長時間・高温の加熱は控えめに。
▶じゃがいもは常温で保存(冷蔵保存すると糖分が増えてアクリルアミドができやすい)。
▶いも類や野菜類は切ったあと、加熱前に水でさらす。
▶ゆでる、蒸すなどの調理法はアクリルアミドができにくいので活用を。

 消費者が家庭でできる対策については、農林水産省が詳細な情報を出しています。

 海外でも、EFSA(欧州食品安全機関)が消費者に、「焦がすな、軽いきつね色に焼け」とざっくりアドバイスしています。例えばトースト、フレンチフライやコロッケのようなポテト製品は、「黄金色(golden yellow)に」、「じゃがいもは冷蔵保存しない」などです。

 FSANZ(オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関)では、「ポテトチップは明るい黄金色に調理し、最高温度は揚げる場合175℃、焼く場合230℃。じゃがいもは8℃よりも低い温度で保存しない」など、具体的です。「揚げる前に野菜類を洗うか水にさらす。」とも言っています。

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